「韓米関係復元のためには韓日関係改善を」船橋主筆
(中央日報 2007/12/25)    


 21日午後に東京築地の朝日新聞社ビルで会った船橋洋一・同社主筆は、ひとまず同午前に李明博(イ・ミョンバク)次期大統領と福田康夫首相が電話会談したことに触れた。船橋氏は、当時の詳しい状況まですでに把握していた。

  「相互訪問の意志を確認し、韓米日首脳会談も行なおうという話題で和気あいあいとしたが、通話が終わるごろ、李氏周辺の人々がいっせいに拍手すると、福田首相を含む日本側の人々も拍手で応じた。これは事前の脚本があったわけでもなく、こう着していた両国関係を何とかして解決したい、とするお互いの意志が自然発生的に『拍手』という形で表現されたものだと思う」。



次は一問一答の主な内容をまとめたもの。

◇韓日関係

-盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が04年以降3年間も日本を訪問していないほど両国関係が最悪の状態となっているが…。

  「両国関係がなぜここまで来たのかについて、両国首脳のブレーンらが冷静に考えてみる必要がある。リーダーの独特な性格に起因した部分もあるが、さらに深い原因がある。▽北朝鮮の威嚇についての認識の違い▽韓米日連携システムの喪失--などが構造的原因だ。最近では、中国を中心に、『韓米日』ではなく『米日中』の3国間対話システムを作ろうという動きが出ている。以前ならば、日本で『韓国が不快に思うだろうし、韓国が動揺すれば良くないからやめよう』と、ブレーキをかけたはずだが、このところはそうではない。この時点に李氏が就任するようになり、新しい転機を作ることを期待している」。 


-何から解いていくべきか。

  「第一は、韓日関係がいくら悪くても、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の枠組みは必ず維持しなければならない。第二は、両国首脳の交流を中断するのは絶対にダメだ。第三は、韓日協力関係を平和維持活動(PKO)に結び付けることだ。国連の活動を両国が共同で行なえば、国際社会で主導権を握ることもでき、全世界の平和にも役立つ。最後には、韓日自由貿易協定(FTA)の交渉を早期に再開することだ。韓米、韓日、そして日米のFTAが取りそろってこそはじめて真の韓米日協力の土台と柱が完成される。これを5年内に仕上げなければならない。韓国の立場としては、いつか統一が実現した場合に招かれる莫大な経済的負担と衝撃を緩衝する効果もある」。 


◇韓米同盟の回復 

-李氏は米国との関係改善を最優先するとしているが。

  「盧武鉉政権の5年間、韓国との同盟に対する米国の信頼感は大きく傷付けられた。とりわけ、韓国の『バランサー論』は、米国を『同盟国として、いったいどうするつもりなのか』という混乱に陥らせた。米国防総省を中心に、韓国の大統領が李明博氏に変わったからといって『再び韓米同盟が堅固化した』と判断する人は誰もいない、と思う。それだけ打撃が大きかった。だが、回復しなければならない」。 


-韓米関係を改善するため、究極的にどうすべきか。

  「日本も同じだが、韓国と日本いずれも『米国が以前とは違う、との認識を持たなければならない。米国は今後の4~8年間、中東から抜け出せない。それによって、米国の力は衰えざるを得ない。したがって、東北アジアの安定は米国の力だけでは維持できない。韓国も日本も、それをどう補足していくかについて考えなければならない。私の考えでは、韓米関係を改善するためには、韓日関係を改善しなければならない。米国との関係が以前とは違う日本としても、日米関係を良くするためには、韓国との関係を改善しなければならない。もはや日米同盟・韓米同盟といった両国関係の強化では足りず、『韓米日間の東北アジア協力』という、『点』ではない『面』が肝要だ」。 


◇対北政策

-李明博政権の対北政策はどんな方向へ進むとみられるか。

  「誰がリーダーになろうとも、破たん状態の北朝鮮の実存的危機が爆発しないようにしつつ、非核化を誘導するのが最も重要な課題となる。政権が変わったからといって(対北政策の)代案が突然出てくるとは思えない。第二は、米国の力が弱まっているとの点だ。イラク・アフガニスタンの問題は長引きかねない。よって、東北アジアでの(米軍の)軍事・外交的オプションは限定的だ。だから、北朝鮮への圧力には限界がある。最後に、中国の力が大きくなり、北朝鮮では『下手すれば中国に支配される』との危機意識と警戒感が深まっている。すなわち、北朝鮮は、中国に対しても一定の発言力を持つために核を持つ、つまり単に米国のために核を持つ時代ではなくなった。したがって結果的に、対北政策は『介入(engagement、包容)政策』を選ばざるを得ない。

李明博氏にあまり多くのものは期待しがたい。ただ、韓国がまるで北朝鮮の弁護人のような役割を果たすのは正しくない。原則に基づいた介入政策が必要とされる」。 


◇6カ国協議と北朝鮮

-北朝鮮は、李明博政権がスタートした後どんな出方をするだろうか。

  「ひとまず、朝・米交渉で米国が『すべての核施設リストを把握しているから、素直に認めなさい』と求めれば、激しく反発し、6カ国協議に応じられない、といった具合の出方をする可能性がある。その場合、韓国が米国に対し『そうせずに北朝鮮を再び6カ国協議に復帰させるために、こうしたものを譲ろう』として宥和政策を取るのか、また米国がどう対応するのかを見守るだろう。逆に米国がそうした譲歩案を提示する場合、日本との連携を見守るかも知れない。北朝鮮の戦略的試験に、韓国と米国がどこまで耐えられるかが注目される」。 


-しかし、北朝鮮にとっても、宥和策に転じたブッシュ政権の残りの1年間に問題を解決するのがむしろチャンスになる、という見方もある。

  「北朝鮮は、さらに多くの譲歩を獲得するため、ブッシュ政権の下で譲歩の『極限』まで進んだ後、民主党政権と交渉する、という戦略を取るだろう。民主党が政権を取っても、結局は中東問題が足かせとなる状況が続き、軍事的オプションがない、という判断からだ。軍事的オプションのない米国は『絵に描いた虎』と、北朝鮮は信じている。だが、北朝鮮も過信しすぎると誤算になる。米国に軍事オプションはないかも知れないが、政治・外交的に徹底した圧力をかければ状況は変わる」。 


◇李明博氏に望むこと

-盧政権で遺憾に思える部分があったとすれば。

  「内政には触れがたいが、統一部のパワーが強すぎた。外交通商部(外交部)が統一部に従属した機関のようになる場面が何度かあった。韓国の外交官は世界最高の洞察力と交渉力・人間味を備えている。ところが、盧政権はそれを十分活用できなかった。外交部の位相が弱く、大統領府・統一部が強ければ、いくら韓国の外交官と会って話しても、進展がない。だから、韓日関係を担当する日本の外交官は、05年以降の約2年間は『盧政権の間には何もならない』と政治家らに話していた。政治家も『それじゃ、盧政権の間にはやめよう』とし、2~3年間は仕事を何もしなかった」。


-李明博氏に望む点は。

  「李氏は戦後韓国のリーダーのうち、グローバル・ビジネスの感覚に優れている最初のリーダーだ。その強みを生かすべきだ。日本との関係も、ひとまず経済・ビジネスで復旧させてほしい。李氏のようなダイナミックなブルドーザーが登場したから、韓日ビジネス協力というようなものを…。各国の業務は経済でありビジネスである、との原点に戻る必要がある。中国の深刻な環境問題を、韓日両国が連携し解いていくことにおいて、『李明博のイニシアチブ』を発揮するのはどうだろうかと思う。韓国と日本が共同で『クリーン・エネルギーバレー』を釜山(プサン)や九州・福岡などに作ることを期待している」。



船橋洋一(Wikipedia)

略歴
北京生まれ。
灘中学校・高等学校を経て、1968年東京大学教養学部卒業。
学位は法学博士(慶應義塾大学)。
1968年朝日新聞社に入社。
北京支局、ワシントン支局、経済部編集委員、アメリカ総局長を歴任。この間ハーバード大学ニーメン・フェロー、アメリカの政策シンクタンク、ブルッキングス研究所客員研究員なども務める。
2007年6月26日、
主筆(一般記事と社説など論説の双方を統括する職)に就任。

人物
朝日新聞では珍しい親米派の大物記者。外交交渉の裏側を描いた著作が多いが、同盟のあり方の研究書など、学究肌を窺わせる著作も多い。

東京本社経済部次長の後は、経済部長、編集局次長、編集局長という本社のラインのポストとは無縁だった。しかし秋山耿太郎社長の改革路線で、広岡知男以来30年間空席だった、4本社編集局長と論説主幹の上に立つ主筆のポストに起用された。





朝日チックなことも言っていますが、インタビュー内容だけみると「朝日新聞関係者」とは思えませんね。


就任後の半年間でアサヒの方向が“なにか”変わったとは思えませんが、
最近の「第一報“実名報道”→更新後“偽名報道”」は“なにか”の表れですかねw







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高山 正之



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