(朝日新聞 2019/02/05)

 「THIS IS JAPAN NAVY」。韓国海軍から火器管制レーダーを照射されたとして、防衛省が昨年末に公開した映像で、海上自衛隊機の乗員がこう名乗っていることがインターネット上などで話題になり、防衛省に問い合わせが相次いだ。直訳すると「こちらは日本海軍」。ただ、防衛省が映像に添えた日本語の字幕には「こちらは日本国海上自衛隊」とある。その背景は?

 海自の正式な英語名は「Japan Maritime Self-Defense Force」、略称は「JMSDF」だ。だが、約13分の映像で、海自隊員は三つの周波数帯で、2回ずつ呼びかけ、一貫して「ジャパンネイビー」と名乗った。防衛省は「無線で他国の船舶に連絡する際は相手が理解しやすいよう、以前からジャパンネイビーと自称するよう内規に定めている」と説明する。

 海自のパイロットが航空管制官と交信する際のコールサイン(呼び出し符号)にも「ジャパンネイビー(JN)」を使うと国土交通省の航空保安業務処理規程に定めてある。

航空評論家の青木謙知氏は「コールサインは所属を識別するための記号に過ぎず、言葉に深い意味はない。
雑音交じりで聞き取りにくい無線通信では、簡潔で分かりやすいことが重要」という。

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 陸上自衛隊(Japan Ground Self-Defense Force)のコールサインは「ジュリエットゴルフ(JG)」。ジャパンの「J」で始まる女性の名前と、グラウンド(陸)の「G」で始まるスポーツの名前をあわせたものだ。無線通信で聞き間違いを防ぐため、「A」は「アルファ」、「B」は「ブラボー」などと国際的な取り決めで単語が割り当てられており、その「J」と「G」をつなげた。青木氏によると、「ジャパンアーミー」(日本陸軍)としなかったのは、民間機のコールサインに使われる「JA」と重なるためという。

 空自は「Japan Air Self-Defense Force」が正式だが、「ジャパンフォース(JF)」。直訳すれば「日本軍」だ。

 そもそも、「戦力の不保持」を定めた憲法9条2項のある日本では、自衛隊に「軍」の用語をあてはめることは避けられてきた。

 佐道明広・中京大教授(日本政治外交史)によると、1954年の自衛隊創設時、改憲・再軍備をめざす改進党は、「自衛軍」「国防省」を主張した。しかし軽武装・経済優先の吉田茂首相(当時)が、旧軍復活を警戒する官僚の後押しも受け、「自衛隊」「防衛庁」で決着させた。67年には佐藤栄作首相(当時)が「自衛隊を今後とも軍隊と呼称することはいたしません。はっきり申しておきます」と打ち出した。「歩兵」は「普通科」、「砲兵」は「特科」、「大佐」は「1佐」などとする言い換えも定着した。

 だが、90年代以降、政府は自衛隊の存在感を高めてきた。昨年の日本の防衛費は、ストックホルム国際平和研究所の集計では、世界8位。佐道教授は、兵站(へいたん)を「後方支援」と呼び、事実上の空母を「多用途運用護衛艦」と名付けるような「言葉でごまかしてきた矛盾にこそ、もっと目が向けられるべきだ」とするが、「実務上の必要からジャパンネイビーと名乗ることは問題ではない」と話す。

 国連PKO(平和維持活動)に派遣経験のある陸自隊員は「自己紹介する時は正式名称を名乗ったうえで、ジャパンアーミーと言い添えていた」と明かす。

 防衛省幹部は「正式名称が世界で定着することが望ましいが、実態と合っていないと批判する国もあるだろう。現場で通じる呼称を使い続けるのが無難」という。(古城博隆)


韓国紙が〈「This is Japan Navy(こちらは日本海軍だ)」として自分たちを「海軍」と称したのも安倍政権の指向が投影された呼び方という分析も出ている。〉(中央日報2018年12月30日)なんて報じていましたが、朝日からこんな記事が出るとは驚きですね。