(中央日報 2019/04/12)

韓国政府の「福島水産物」輸入禁止措置がそのまま維持される。韓国と日本が約5年間にわたって繰り広げてきた貿易紛争で、韓国が当初の予想を覆し、事実上、勝訴した。

世界貿易機関(WTO)上級委員会は11日(現地時間)、日本が提起した福島水産物輸入禁止措置提訴事件で、韓国の措置が妥当であるという最終判決を下した。1審にあたる紛争処理小委員会(DSB)パネルの判定を覆す結果だ。

貿易紛争の最終審にあたる上級委員会は、韓国の輸入禁止措置が日本政府の指摘とは違い、不公正貿易ではないと判断した。「恣意的差別」ではないうえ「不当な貿易制限」でもないという判断だ。1審で日本側に軍配を上げていた最も重要な2つの決定を覆し、韓国が「逆転勝ち」を収めたといえる。

WTOの判定により、2013年9月福島県を含む8県(福島・茨木・群馬・宮城・岩手・栃木・千葉・青森)で水揚げ・加工された28魚種の水産物に対して下された輸入禁止措置は今後も維持することができる見込みだ。

韓国は2011年3月の福島原発事故以降、同年9月に福島など8県すべての水産物輸入を禁止した。これに対し、日本は2015年5月にWTOに韓国を提訴した。福島原発事故以降、日本産農水産品輸入を禁止する51カ国のうち、日本がWTOに提訴した国は韓国が唯一だ。昨年4月、韓国の上訴で始まった最終審でも、韓国が敗訴する可能性が高いという見方が支配的だった。WTO上級委員会で判定が覆ったことは異例のことだ。

ただし、上級委員会は韓国側にも不十分な点があったと指摘した。韓国政府が輸入禁止を決める際、「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」いわゆるSPS協定の基準に合わせて制限事項を公開しなければならないが、この部分で不足していた点があるという1審の判定を支持した。韓国が提起した専門家パネルの専門性に対する異議提議も棄却した。


(聯合ニュース 2019/04/12)

 東京電力福島第1原発事故を受け韓国が福島など8県産の水産物輸入を禁止していることを巡り、世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きの「最終審」に当たる上級委員会が事実上、韓国勝訴の判断を示したことに対し、韓国政府は12日、「WTOの判定を高く評価し、歓迎の意を表する」との立場を示した。また、「日本に対する現行の輸入規制措置は変わりなくそのまま維持される」としながら、「日本の8県の水産物はすべて、今後も輸入が禁止される」と表明した。 

 政府はさらに、「日本産の輸入食品から放射能が微量でも検出される場合、追加の放射性核種17種に対する検査証明書も引き続き要求することになる」と述べた。

 WTO上級委員会の判断に関しては、「一審(に相当するWTOの紛争処理小委員会)で日本が提起した主要4争点のうち、一部の手続き的な争点を除くほぼすべての争点でパネルの判定を破棄し、われわれの輸入規制措置がWTO協定に合致すると判定した」と説明。一審で日本の主張が認められた後、「国民の健康と安全が最優先」という原則を守ろうとした韓国政府の対応と努力が今回の判断に反映されたとの認識を示した。

 政府は「この先も輸入食品の安全管理に最善を尽くす」と述べ、「検疫の主権と制度的なセーフティーネットを引き続き維持、補完していく」と強調した。(略)


 WTO紛争解決『韓国による日本産水産物等の輸入規制』上級委員会報告書の発出について(外務大臣談話)(外務省 2019/04/12)

1 本12日(現地時間11日),世界貿易機関(WTO)紛争解決手続に基づいて,我が国が韓国に対して申立てを行っていた紛争案件『韓国による日本産水産物等の輸入規制』に関し,WTO上級委員会報告書を公表しました。

2 報告書において,上級委員会は,韓国の輸入規制措置が,WTO協定に照らし,日本産水産物等を恣意的又は不当に差別していること,必要以上に貿易制限的なものであることを認定したパネル報告書(第一審)の判断には瑕疵があるとして取り消しました。韓国の措置が協定に整合的であると認められたわけではありませんが,我が国の主張が認められなかったことは誠に遺憾です。

3 他方で,上級委員会は,韓国が輸入制限措置を強化した際の手続に瑕疵があったことについては,パネルの判断を支持し,WTO協定に非整合的であるとの判断をしたことは評価しています。

4 我が国としては,上級委員会報告書の内容を分析し,今後の対応を検討していきます。いずれにせよ,我が国としては,韓国に対して規制措置全体の撤廃を求めるという立場に変わりはなく,上級委員会の今次報告書を踏まえ,韓国との協議を通じ,措置の撤廃を求めていきます。

5 日本産農林水産物・食品に対して輸入規制措置を継続している国・地域に対しても,同様にそうした措置の撤廃・緩和を求めてまいります。

【参考】本件の経緯と概要
(1)2011年3月の東京電力(株式会社)福島第一原子力発電所における事故後,韓国は日本産水産物等への輸入規制を順次導入。更に2013年9月に輸入規制を強化した((1)8県産水産物(注)全面輸入禁止及び(2)追加的な放射性核種検査要求の対象を水産物を含む全ての日本産食品に拡大)。
 (注)8県:青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉

(2)こうした措置がWTO協定上の義務に違反しているおそれがあるため,2015年5月,我が国は韓国に対してWTO紛争解決手続に基づく協議を要請し,同年6月に協議を実施した。同年8月,我が国は,WTOにパネル設置要請を行い,翌9月パネルが設置された。

(3)2018年2月,パネルは,韓国による日本産水産物等の輸入規制措置は「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に非整合的であると判断し,韓国に対して措置を同協定に適合させるよう勧告する報告書を公表した。

(4)WTO紛争解決制度においては,紛争当事国はパネル報告書について上級委員会に申立てをすることができる(いわゆる二審制)。2018年4月,韓国はパネルの判断を不服として上級委員会へ申立てを行った。

(5)今般発出された上級委員会報告書は,パネルの判断(上記3)の一部を取り消した。

(6)上級委員会報告書は,WTO紛争解決了解の規定により,加盟国への送付の後30日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)の会合において採択され,紛争当事国は,これを無条件で受諾することとなる(上級委員会報告書に関する更なる申立てはできない)。


(日本経済新聞 2019/04/12)

世界貿易機関(WTO)は11日、韓国が福島など8県の水産物の輸入を禁止している問題で、韓国の措置を事実上容認する最終報告書をまとめた。韓国の輸入禁止を差別的で不当とした一審の判断を破棄した一方、韓国の措置がWTOのルールに整合しているとは述べていない。「玉虫色」とも言える判決内容は、WTOの重要な柱である紛争解決機能に影を落とす可能性もある。

「まさか」――。現地時間11日午後5時にWTOがホームページで最終判決を公表すると、ジュネーブの通商関係者は驚きの声を上げた。結果は日本の逆転敗訴。事前には多くのメディアが「一審に続き日本の勝訴が濃厚」と報じていた。

韓国は2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故を理由に、福島や青森、岩手など8県で水揚げ・加工された全水産物の輸入を禁止した。これに対し、日本は科学的根拠がないとしてWTOに提訴した。

今回、WTOの最終審にあたる上級委員会は、韓国の措置は必要以上に貿易制限的で不当とは言えないと判断。18年2月に一審の紛争処理小委員会(パネル)が出した判決を覆した。韓国以外にも中国やシンガポールなど20カ国以上が、今も日本産食品の輸入を規制している。勝訴を追い風に緩和や撤廃を働きかけるつもりだった日本には痛恨の結果となった。

WTOには食品の安全を確保し、健康を守る「衛生植物検疫(SPS)」協定がある。この協定は、各国が食品添加物や残留農薬など独自の基準を設けることを認めている。しかし、必要以上に基準が厳しければ貿易の妨げとなるため、「十分な科学的証拠」や「きちんとした危険性の評価」などを条件としている。

パネルは韓国の措置をSPS協定が禁じる「恣意的または不当な差別」にあたると判断した。だが、今回、上級委員会が公表した80ページ近くに及ぶ最終報告書では、パネルのSPS協定の解釈に誤りがあると指摘。輸入制限する際の基準が正当かは判断できず、食品で許容できる放射線レベルなど安全性問題でも見解を示さないとした。

一方、韓国の措置はWTOのルールに整合しているとも主張していない。上級委員会として正しいかの判断は下しておらず、釈然としない部分がある。河野太郎外相は12日未明、「韓国の措置がWTO協定に整合的であると認められたわけではないが、我が国の主張が認められなかったことは誠に遺憾」との談話を発表した。

近年、WTOの紛争解決機能は著しく低下している。上級委員の定員7人のうち4人が欠員となっているのが一因で、米国が欠員補充を拒否し続けている。さらに米国は上級委員会が個別の紛争案件の解決に不要な法的判断をし、「行き過ぎた解釈をしている」と強調。今回の韓国との紛争案件で上級委員会が「慎重姿勢」を示した背景には、こうした「米国の不満も微妙に影響している」(通商筋)との声も聞かれる。

米中貿易戦争など重要な紛争案件が増える中、はっきりとしない判断が続けば、WTOの紛争解決機能は形骸化しかねない。