〈赤いダイヤ〉「ビッグデータ」の光と闇 交通違反、見せしめ
(毎日新聞 2019/12/27)
〈官民一体で街全体を作り替える勢いで進む中国の技術革新(イノベーション)。次世代産業をリードする新技術「赤いダイヤ」探しにまい進する現場を歩いた。〉
上海に近い江蘇省無錫市。10月上旬、大学の講義を終え、タクシーで家に向かっていた女子大学生(22)は思わず声を上げた。窓越しに見た繁華街に設置された大型モニターに、友人の顔写真が映し出されていたためだ。一部がモザイクで隠されているものの、名前や身分証明証の番号までさらされている。急いで写真を撮り、友人に送ると「確かに私のようだ」との答えが返ってきた。
モニターは「交通違反者暴露台」と呼ばれる。信号無視など市民の交通マナーの悪さに頭を痛めた地元警察が2017年8月、市内3カ所に設置したものだ。

交差点の監視カメラが信号無視など交通ルールに違反した歩行者や自転車を自動で探知。撮影した画像の顔写真と、当局が保有するデータを照らし合わせて本人を特定し、5分以内にモニターに表示する。特定率は95%以上といい、違反者には警察から連絡が入り、罰金が命じられる仕組みだ。
今では市内の主要な交差点に設置が進み、上海、南京、洛陽など他の大都市でも導入が進んでいる。無錫のタクシー運転手、劉さんは「システムのおかげで住民の交通マナーが一気に良くなった」と歓迎するが、モニターにさらされた女子大学生の友人は「これまで警察に自分の顔写真のデータを登録した覚えはない。信号無視は申し訳ないが、気味が悪い」と疑念が消えない。

中国では身分証番号と電話番号がひも付けられ、そこにスマートフォンアプリなどさまざまなサービスのデータが枝葉のように結びついている。政府は12月から、携帯電話販売店に対し、スマホ契約時の顔写真データの登録徹底を命じた。さまざまな個人情報が集約され、それを当局が巧妙に利用している実態がある。
中国の最先端技術を追う「赤いダイヤ」第6弾では、ビッグデータがもたらす光と影に迫った。
「顔を追跡」官民一体 治安維持 中国、AI駆使
(毎日新聞 2019/12/27)
◇監視カメラ 22年に6億2600万台
「データはデジタル経済における石油のようなものだ」。今年6月、大阪で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席した習近平国家主席は、ビッグデータの重要性を強調し、「中国はデジタル経済大国となった」と自国の優位性に自信を示した。
ハイテク分野で米国と覇権を競う中国はビッグデータの研究、応用を新興産業発展の柱に据え、多額の資金を投じてきた。代表的な「成功例」が監視システムによる治安維持への活用と言える。膨大なデータ収集にまい進する当局と、それを技術面で支える民間企業が両輪となって中国独自のシステムを構築してきた。
浙江省杭州市に本社を置く杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)は世界最大の監視カメラメーカーとして知られ、江蘇省無錫の交通監視システムにも協力する。記者が本社を訪ねると、最新の監視技術を集めた展示室に案内された。
街灯がほとんどない夜間の道路。しかし、監視カメラのモニター画面には通行する車の車種や色、ナンバーに加え、運転席の人物まで鮮明に映し出されていた。データはすべて記録され、膨大な情報が日々、蓄積される。警察が逃走車両のナンバーを検索すれば、瞬時に該当車両の通行記録が映像表示される仕組みになっているという。
「買い物や通話の記録、監視カメラの映像などさまざまなデータを組み合わせて分析すれば、その人とつながりの深い人物が誰かまで、ある程度特定できます」。案内してくれた担当者は「個人情報の問題があるので実用化はしていないが、技術的には十分可能です」と笑みを浮かべた。
2011年創業の北京曠視科技(メグピー)は、自社開発した顔認証システム「FaCe++」で躍進した有力新興企業だ。同社のシステムは中国電子商取引最大手、アリババ集団など大企業でも採用され、顔認証を使った電子決済や無人スーパーの来店者管理、顔認証でドアを開閉する最新の社員証システムなどに活用されている。当然、中国の監視システムにもこの技術が取り込まれている。
同社で最新の監視システムの取材が許された。市街地に設置された監視カメラが記録した歩行者の顔情報を、人工知能(AI)が分析。指名手配犯の顔写真のデータベースと照合し、該当者がいれば、ただちに当局に連絡が入る。既に実用化が進んでおり、同社によると18年9月までに5000件を超える犯罪で、1万人以上がこのシステムによって逮捕されたという。


中国では顔認証データを含む個人情報を第三者が取得することに対する市民の抵抗感が比較的薄く、当局による「監視の目」が日常の光景として定着している。「日本や欧米にも顔認証技術を手がける企業は多いが、最も強力なライバルとなるのは同じ中国企業。この分野ではいかにデータを蓄積、活用するかが重要だからだ」。メグビーの蔣燕副総裁は中国の利点を強調する。
■海外展開の動き反発強める米国
英調査会社コンパリテックの分析では、中国では2億台を超える監視カメラが稼働し、22年には設置数が6億2600万台に達する見通しだ。習指導部は現在、120カ国以上が参加する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の沿線国を中心に、「デジタルシルクロード」の構築を推し進めている。電子決済などとともに、中国独自の監視システムの輸出も進行中だ。
ハイテクとビッグデータを組み合わせた「監視の目」が世界に広がりつつある。
半面、こうした動きは中国への反発を強める副作用ももたらしている。米商務省は今年10月、中国新彊ウイグル自治区でウイグル族の虐待、拘束に関わったとして、中国の一部政府系機関と中国ハイテク企業8社への制裁に踏み切った。対象にはハイクビジョンとメグビーも含まれる。監視技術への貢献度の高さが「中国当局の少数民族弾圧に加担している」と見なされた形だ。制裁対象企業は米企業との取引が事実上、禁止され、今後の事業展開に大きな制約となる。中国独自のビッグデータ活用は海外展開の本格化を前に、大きな壁にぶつかっている。
リベラルを称する市民団体や野党から「習主席の国賓反対」の声は聞こえませんね。
リベラルを称する市民団体や野党から「習主席の国賓反対」の声は聞こえませんね。

『これで顔バレしないアル』と得意顔のアルくん
だが『怪しい奴め』と肉眼で見つけられたにだ ww
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