(日本経済新聞 2021/04/14)
カゴメが中国の新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのを2021年中にやめることが13日、分かった。同自治区では少数民族ウイグル族らの人権侵害をめぐり国際社会で批判が高まっている。同社はコストや品質に加え「人権問題が判断材料のひとつになった」と説明する。今後、ほかの日本企業の判断に影響を与える可能性もある。
中国はトマトの生産が盛んで、カゴメは新疆ウイグル自治区からペースト状の加工品を日本に輸入して、ソース類の原料にしていた。同自治区からの輸入は20年中に停止した。輸入済みの原料については21年中に使用を終える。今後は同自治区から調達しない。
すでにこの数年で同自治区からの調達を減らしており、現在はグループで使うトマトの1%に満たないという。ほかの国からの輸入で補い、生産に影響は出ない。ウイグル問題に絡み、取引停止などの措置に踏み切るのは日本の大手企業で初めてとみられる。
カゴメはホームページで新疆ウイグル自治区で原料を生産していることを公表してきた。工場や畑を定期訪問しており、これまで使用してきたトマトも「人権侵害の問題がある環境下でつくられたものではないことを確認している」という。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、19年の中国本土のトマト生産量は、世界1位の6276万トン。全世界の生産量の約35%を占める。特に新疆ウイグル自治区は夏の日差しが強く、昼夜の温度差があることから、良質なトマト原料を生産できるとされる。

ウイグル族問題を巡っては、投資家や人権団体が企業への圧力を強めている。米国の機関投資家団体ICCRは3月下旬、新疆ウイグル自治区の強制労働などに関わっていると思われる47社に、取引先の詳細などを開示するように求めた。カゴメは入っていない。
アルファベットやアップル、フォルクスワーゲンなど欧米企業のほか、ファーストリテイリングなど日本企業が対象になった。収益面で中国への依存度が高い企業は、ウイグル問題を批判して中国国内で反発されるリスクと、従来通りに事業を続けることで人権問題に鈍感だとして欧米で批判されるリスクの間で板挟みになっている。
スウェーデンのアパレル大手、へネス・アンド・マウリッツ(H&M)は20年9月、現地に工場を持つ中国企業との取引を停止すると表明した。3月下旬から、中国のアリババ集団の通販サイトなどでH&Mの商品が検索できなくなっており、取引停止の表明が影響したとみられている。
カゴメは日本で製造した野菜ジュースなどを輸出しているが、中国本土での売上高はグループ全体の0.4%にとどまる。トマトの代替調達ができ、収益の中国依存度が低い点で、カゴメは取引停止を判断しやすい状況だったといえる。
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