(産経新聞 2023/02/16)
【ソウル=桜井紀雄】韓国・ソウルのホテルで16日夜、天皇誕生日の祝賀レセプションが在韓日本大使館主催で行われ、同レセプションでは初めて国歌「君が代」が流れた。日本政府は韓国での反日感情の強さから例年、国歌を流すことは見送ってきた。昨年発足した尹錫悦(ユンソンニョル)政権が対日関係の改善を目指す中、日本政府もいびつな両国関係を脱却する好機と判断した。

韓国で天皇誕生日祝賀レセプションが開かれるのは2018年12月以来で、今の天皇陛下が即位されてから初めて。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期されてきた。

韓国では、天皇誕生日レセプションに出席しただけで「親日派」として非難されることがあった。大手紙の記者出身の朴普均(パクポギュン)文化体育観光相も昨年、就任前の人事聴聞会で過去の出席が問題視され、「安倍晋三政権(当時)の歴史歪曲(わいきょく)に関する現場取材だった」と苦しい釈明に追い込まれた。

日本関連の行事では、14年に自衛隊創設60年の記念行事の会場に予定されていたソウル市内のホテルが、「国民感情を勘案した」として開催前日に提供を拒否する事態も起きている。

日本大使館関係者は君が代を〝自粛〟してきたことについて、「出席者に負担をかけないよう配慮してきたが、過剰な面もあった」と指摘。大使館主催の行事で国歌の演奏は自然なことであり、日韓関係改善の流れの中、今回、「あるべき姿にする」として、韓国国歌とともに君が代を流すことを決めたと説明した。

レセプションでは、韓国外務省の李度勲(イドフン)第2次官が祝辞を述べた。日本を訪れた韓国人が1月だけで56万人を超え、訪日外国人の4割近くに上るなど、韓国で日本旅行ブームが起きる中、会場には、日本の自治体が各地の魅力を紹介するブースも多数設けられた。