(毎日新聞/YAHOO 2023/06/07)
 香港政府は6日、2019年の政府に対する抗議デモで歌われた楽曲「香港に栄光あれ」の放送や配信を禁止するよう香港高等法院(高裁)に申請したと明らかにした。「1国2制度」を採用する香港では中国国歌「義勇軍行進曲」を国歌としているが、香港政府は「香港に栄光あれ」が国歌として誤認されると国家分裂につながりかねないと主張。「国歌に対する侮辱であり、中国と香港に深刻な損害を与える」と述べている。

 禁止を求めているのは「香港に栄光あれ」の歌詞やメロディーの演奏やインターネット上での配信、印刷、販売などあらゆる行為。動画投稿サイト「ユーチューブ」上で公開されている日本語版を含む動画32本も禁止対象にしている。

 香港では、刑事事件の容疑者を中国の司法機関に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」の改正を巡って、19年に大規模な抗議デモが発生。「民主と自由よ 永遠にあれ」などと呼びかける「香港に栄光あれ」が生まれ、デモ参加者らの間で広く歌われたほか、各国の言葉に翻訳されてネット上で拡散した。

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▲「香港に栄光あれ」を合唱する香港の抗議デモ参加者ら=香港・九竜で2019年9月、ロイター

 香港メディアによると識者からは、裁判所が禁止を認めればさらなる表現の自由の制限につながると懸念が出ている。香港当局者は「国家の安全を守る必要があれば、表現の自由は制限されるべきだ」と述べている。

 「香港に栄光あれ」は過去にスポーツの国際大会で誤って香港の「国歌」として演奏され、香港政府が主催者に抗議するトラブルが相次いだ。日本を含む一部の国ではネット上で「香港 国歌」と検索すると「香港に栄光あれ」を紹介するサイトがトップに現れる。これを問題視した香港政府が米グーグルに変更を要求したこともある。【台北・林哲平】