ソウル・南山の慰安婦追悼公園、強制わいせつで起訴された「韓国民衆美術界の巨匠」の手で造られていた(朝鮮日報 2023/07/28)

※参考:「大地の目」(上)と「世の中のへそ」(下)



〇有名画家・林玉相がスタッフに強制わいせつ
〇犯行から3年後に追悼公園「記憶の場」設計
2016年、ソウル・南山の旧韓国統監官邸跡地に「記憶の場」という追悼公園が造られた。大韓帝国総理・李完用(イ・ワンヨン)と韓国統監・寺内正毅が1910年に韓日強制併合条約を締結し、1939年まで朝鮮総督官邸だった場所に、日本軍従軍慰安婦被害者を忘れないための追悼公園を作り、そのメッセージを継承しようという趣旨だ。当時の朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長と「日本軍慰安婦記憶の場造成推進委員会」が中心になり、市民1万9755人の寄付金を基に2016年8月29日に除幕式が行われた。
ところが、造られて7年しかたっていない「記憶の場」をめぐり、存続させるべきかどうかという論争が巻き起こっている。「記憶の場」を設計し、モニュメントまで製作した人物が、このほど強制わいせつ罪で起訴されて法廷に立った画家・林玉相(イム・オクサン)被告(73)であることが問題になっているからだ。

「民衆美術界の巨匠」と呼ばれて活動してきた林玉相被告は2013年8月、自身の美術研究所のスタッフAさんに対する強制わいせつ行為により先月起訴された。林玉相被告は今月6日の初公判で、「瞬間的な衝動と誤った判断で被害を与えた」と述べて罪を認め、検察は懲役1年を求刑した。

「民衆美術界の巨匠」と呼ばれて活動してきた林玉相被告は2013年8月、自身の美術研究所のスタッフAさんに対する強制わいせつ行為により先月起訴された。林玉相被告は今月6日の初公判で、「瞬間的な衝動と誤った判断で被害を与えた」と述べて罪を認め、検察は懲役1年を求刑した。
「記憶の場」には林玉相被告のモニュメント設計意図が銅板に刻まれている。「当初、日本軍従軍慰安婦の『記憶の場』を日本による朝鮮侵略の橋頭堡(ほ=足掛かり)である韓国統監官邸に建てるということについて、侮辱感や拒否感もあった。しかしそれと同時に、これは全く異なる意表を突く卓越した逆転の発想であることに気づいた」「だから、新たな地形を構想した」「根本から変えること、土地の形状を全く新しくしようというものだった」。銅版には林玉相被告のサインが残っている。
林玉相被告はここに「大地の目」と「世の中のへそ」という2つの作品を設置した。「大地の目」には慰安婦被害者247人の氏名と証言が刻まれており、「世の中のへそ」には「記憶しない歴史は繰り返される」という言葉を韓国語・英語・中国語・日本語で書いた。

※参考:「大地の目」(上)と「世の中のへそ」(下)


美術界からは「自身の研究所スタッフに対して、威力をもって強制わいせつに及んだ犯罪者が、慰安婦被害者たちを記憶するためのモニュメントを製作するなんて話にならない」「一日でも早く撤去すべきだ」という声が上がっている。美術史家ファン・ジョンス氏は「親日(日本と関係が深い)画家と烙印(らくいん)を押された画家たちの肖像画でさえ全て掛け替えられているのに、強制わいせつ犯が作った作品を残す理由などない。歴史的空間に建てられた林玉相被告の作品はすべて撤去しなければならない」と話す。
林玉相被告は2016年6月、「記憶の場」の起工式に出席した。その時、同被告は「女性とは何か、傷とは何か、ハルモニ(慰安婦被害者)たちが望むことは何かについて悩み、アイデアの糸口をつかんだ」「被害者たちの名前と証言を鏡のように滑らかな黒曜石に刻み、市民が自身の姿を映し出しながら読めるようにした」と述べた。
■強制わいせつから3年後に慰安婦被害者の追悼公園を設計
「林玉相研究所」のスタッフとして働いていた被害者Aさんが林玉相被告から強制わいせつの被害に遭ったのは2013年8月のことだ。それから3年後、同被告は慰安婦被害者のための公園を設計し、大衆の前に出て「作品意図」を発表した。
Aさんの弁護人を務めるキム・ジェリョン弁護士は本紙の電話取材に「被害者は同じ美術界に携わる者として、絶大な力を持つ加害者が反省せず、対外活動を継続していることを長年にわたりニュースで見て、深い怒りと恐怖、絶望を感じ、林玉相被告に法的責任を問うため、自らの内面を強くする時間が必要だった」「今年2月に勇気を出して告訴した」と説明した。
公訴時効満了まであと1カ月という今月6日に検察が懲役1年を求刑し、来月17日に判決を控えている。
Aさんの弁護人を務めるキム・ジェリョン弁護士は本紙の電話取材に「被害者は同じ美術界に携わる者として、絶大な力を持つ加害者が反省せず、対外活動を継続していることを長年にわたりニュースで見て、深い怒りと恐怖、絶望を感じ、林玉相被告に法的責任を問うため、自らの内面を強くする時間が必要だった」「今年2月に勇気を出して告訴した」と説明した。
公訴時効満了まであと1カ月という今月6日に検察が懲役1年を求刑し、来月17日に判決を控えている。
■「ナヌムの家」や国立現代美術館にも作品が…
京畿道広州市にある、慰安婦被害者たちが暮らす施設「ナヌムの家(分かち合いの家)」にも林玉相被告が慰安婦被害者たちのために製作した作品が展示されている。下半身が地面に埋まり、地面の上に両手と上半身を出し、垂れ下がった胸をあらわにした高齢女性が考え込んでいる様子の「大地-母」という連作だ。

国民の税金で運営されている国の施設の展示にも同シリーズの作品が展示された。国立現代美術館ソウル館で昨年10月から今年3月12日まで開催された「林玉相:ここ、立ち上がる地」という展示会だ。民衆美術系の美術評論家出身のユン・ボムモ館長=当時=が主導して開催された個展で、被害者Aさんが警察に告訴したのは同展示会の真っ最中だった2月だった。同美術館関係者は「『林玉相被告の回顧展をソウル館で開催するのは、(施設の)性格上、ふさわしくない』と内部学芸員の反対が多かったが、館長が無理やり開催を続けた」「林玉相被告の強制わいせつについては最近のニュースで知った」と話した。ある美術界関係者は「強制わいせつ犯が慰安婦被害者のための作品を作り、そのイメージを前面に押し出して国立機関の展示作品として出したというのがおぞましい」「林玉相被告が残したモニュメントは全国各地にあるが、何よりも先に慰安婦被害者たちのための作品は直ちに撤去を決めなければならない」と述べた。
1970-80年代に民衆運動に参加した林玉相被告は、第18代・第19代大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)元大統領支持を公表していた。同被告が描いた朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾ロウソク集会の作品は、文在寅氏の大統領就任時、青瓦台(韓国大統領府)本館に掲げられた。
美術評論家チョン・ジュンモ氏は「女性の人権と慰安婦被害者たちの人生を思い返せば、撤去以外に答えはない」「このようなことに対し、いつもなら烈火のごとく怒り、見解を表明してきた女性団体は現在沈黙しているが、これは何を意味するのだろうか」と語った。許允僖(ホ・ユンヒ)記者
美術評論家チョン・ジュンモ氏は「女性の人権と慰安婦被害者たちの人生を思い返せば、撤去以外に答えはない」「このようなことに対し、いつもなら烈火のごとく怒り、見解を表明してきた女性団体は現在沈黙しているが、これは何を意味するのだろうか」と語った。許允僖(ホ・ユンヒ)記者
ソウル・南山の慰安婦追悼公園に「強制わいせつ犯の作品」と説明を付けざるを得ない体たらく【7月28日付社説】
ソウル・南山の韓国統監官邸跡地にある「記憶の場」は、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長時代の2016年、日本軍従軍慰安婦被害者たちのことを記憶にとどめようという目的で造られた追悼公園だ。この「記憶の場」を設計し、モニュメントを製作したのは、「民衆美術人」と呼ばれる画家・林玉相(イム・オクサン)被告だ。林玉相被告は2013年8月に自身の美術研究所スタッフに対して強制わいせつ行為に及んだとして先月起訴され、今月6日の初公判で事実関係を認めた。検察は「犯行経緯・内容・わいせつの程度は決して軽いとは言えず、悪質だ」として懲役1年を求刑した。強制わいせつ犯が「慰安婦」の苦難を記憶にとどめようというモニュメントを製作しただなんて話にならない。
林玉相被告は2016年6月の「記憶の場」起工式で、「女性とは何か、傷とは何か、ハルモニ(慰安婦被害者)たちが望むことは何かについて悩み、アイデアの糸口をつかんだ」と言った。これほどの偽善があるだろうか。同被告は「瞬間的な衝動だった」と述べて罪を認めたが、少なくとも慰安婦追悼公園やモニュメント製作だけは断るべきだった。文在寅(ムン・ジェイン)氏は大統領就任後、林玉相被告が描いた朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾ロウソク集会の絵を青瓦台(韓国大統領府)本館に掲げた。清渓川にある労働運動家・全泰壱(チョン・テイル)烈士像、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の墓石、共に民主党本部の金大中(キム・デジュン)元大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の胸像なども同被告が製作した。こうしたことがあってか、親・盧武鉉系関係者らは強制わいせつ犯の慰安婦追悼公園・モニュメント製作という衝撃的な偽善に一斉に沈黙している。
林玉相被告が製作した絵・壁画・彫刻・モニュメントなどの美術作品は韓国の全国各地にあり、ざっと数えても100作品前後に達するという。京畿道広州市にある、慰安婦被害者たちが暮らす施設「ナヌムの家(分かち合いの家)」にも林玉相被告が慰安婦被害者たちのために製作した「大地-母」という連作の一つが展示されている。ほかはともかく、自身の美術研究所スタッフに対して、威力をもって強制わいせつに及んだ人物が作った慰安婦被害者のモニュメントをそのままにしておくなどということは、あり得ないことだ。それは被害者に対する冒涜(ぼうとく)だ。林玉相被告は自分の罪を認めているだけに、関連作品は速やかに撤去すべきだろう。また、林玉相被告の罪はほかでもない強制わいせつだけに、別の美術作品の中でも女性や人権に関するものをそのままにしてはならない。あえて林玉相被告の作品を残しておかなければならないというなら、慰安婦追悼公園とモニュメントの隣に、同被告の強制わいせつの事実を告げる説明文を別途に設置すべきだろう。

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