(朝鮮日報 2023/08/06)
【ユ・ヨンウォンの軍事世界】国連軍司令部はなぜ重要か

 「戦時に(韓国に対する)作戦統制権を強化しようと考えて、国連軍司令部の再活性化(revitalization)をしているのではないですか?」

 2019年12月に韓国大統領府で開かれた韓国軍首脳部激励昼食会で、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は崔秉赫(チェ・ビョンヒョク)韓米連合司令部副司令官(現・ソウル安保フォーラム理事長)に向けてこのように尋ねた。戦時作戦統制権(統制権)の韓国軍移管後も米国が、強化された国連軍司令部(国連司)を通して引き続き統制権を行使しようとしているのではないか、という疑念が込められた質問だった。崔・副司令官は「国連司の再活性化と作戦統制権強化は関係なく、事実と異なる」と答えた。国連司再活性化は、17カ国から成る国連司が米国を除いては事実上有名無実化している点を補完するための米軍のプログラムだ。2006年ごろから始まり、カーティス・スカパロッティ司令官時代の14年に公式化した。

■「あなたは韓国軍なのか、米軍なのか」

 崔・副司令官など一部の韓国軍関係者の努力にもかかわらず、国連司再活性化に対する文在寅政権の中心的関係者らの不信とけん制は、政権の期間中ずっと続いた。昼食会に先立つ19年7月には、米国が6・25戦争の医療支援国であるドイツの連絡将校の国連司派遣を進めたが、韓国大統領府と国防部(省に相当)の強い反対で白紙にもなった。

「南北関係の最大の障害物」(文正仁〈ムン・ジョンイン〉大統領特別補佐〈統一・外交・安全保障担当。肩書は当時。以下同じ〉、2019年9月)、

「国連司が話にもならない越権を行使している」(イム・ジョンソク元大統領秘書室長、2020年5月)、

「国連司は族譜(系図のことだが、歴史あるいは後ろ盾といった意味も持つ)がない。南北関係に干渉しないようにコントロールしなければならない」(宋永吉〈ソン・ヨンギル〉国会外交統一委員長、2020年8月)などの発言も出た。ここには、文大統領が政権末期まで意欲的に推進した「終戦宣言」に対し国連司が障害物になると判断したことも影響を及ぼした。

 一部の韓国軍関係者が大統領府など政府の中心的関係者らと異なる意見を表明すると、さまざまな形式の圧迫もあったという。当時の大統領府内の事情に詳しい消息筋は「大統領の高官が、ある高位の将官に『(あなたは)韓国軍なのか、米軍なのか。星が四つ付いていて(米軍に)そんな話もできずに、何をしているのか』となじる趣旨で話していたのを知っている」と伝えた。

 文政権の国連司けん制とこれに伴う在韓米軍司令官(国連軍司令官兼任)との間の摩擦は、昨年、エイブラムス元司令官の口を通しても確認された。エイブラムス元司令官は昨年7月、米国ワシントンで開かれた停戦宣言69周年記念「同盟平和カンファレンス(かいぎ)」で「(国連司は)誰も話をしたがらない、『汚い小さな秘密(little dirty secret)』のようだった」と語った。

■世界唯一の長期・特別あつらえ安全保障保険」

 国連司の七つの後方基地は、米海軍の基地の中では海外最大となる第7艦隊の母港・横須賀をはじめ、日本本土にある横田空軍基地、佐世保海軍基地、キャンプ座間(陸軍基地)の4基地と、沖縄にある嘉手納空軍基地、普天間海兵隊基地、ホワイトビーチ海軍基地の3基地で構成される。

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横須賀には原子力空母をはじめイージス巡洋艦・駆逐艦などおよそ10隻が常時配備され、48時間以内に韓半島へ緊急出動できる。国連司軍事停戦委員会の首席代表として後方基地を見て回ったことのあるチャン・グァンヒョン予備役陸軍少将の著書『国連軍司令部インサイト』によると、佐世保海軍基地は韓半島に最も近い軍需支援基地で、弾薬およそ580万トン(ママ)、油類2億1100万ガロン(ママ)が備蓄されている。第7艦隊所属の艦艇およそ70隻が3カ月間使っても残るほどの膨大な量だ。沖縄の嘉手納基地には世界最強のF22ステルス戦闘機などが配備されていて、北朝鮮地域まで1-2時間以内に出撃できる。

 チャン・グァンヒョン氏は「国連司の後方基地がなければ、韓半島有事の際、戦争をきちんと遂行できない」とし「国連司は、国連がもっぱら韓国のために発売した、世界初かつ唯一の長期・特別あつらえ安全保障保険」だと語った。

中立国監視委員会のスイス代表として数年の勤務経験があるウルス・ガーバー退役少将は2021年2月、ワシントンのCAPS(アジア太平洋戦略センター)で開かれたセミナーで「今後、地球上に国連司のような組織を再び作るのは事実上不可能」とし「停戦協定締結後、70年近く国連司が存続していること自体が、韓国にとっては本当に大きな幸運」と語った。一部では、今後平和協定が締結されて停戦体制が終わり、平和体制に入っても、国連司の名称と役割を変えて存続させるべきだという主張も浮上している。