(毎日新聞 2023/10/25)
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は24日、全国民を対象にした愛国主義教育を制度化する法案を可決した。国営新華社通信が伝えた。小中高校や大学などの教育機関に加え、家庭と企業にも愛国主義教育の浸透を求める。香港やマカオも対象で、香港政府トップは25日、既存の歴史博物館を第二次大戦中の抗日運動に焦点を当てたものに変更する構想を明らかにし「より強固な愛国心を養う」とアピールした。

 新法は来年1月から施行される。景気低迷や米国との大国間競争に直面する習近平指導部としては、国民の愛国心に訴えることで一党支配体制の安定を図る狙いがあるとみられる。また、新法は「歴史文化教育と『1国2制度』実践教育を進め、香港やマカオの同胞の愛国精神や国家主権、領土保全に対する自覚を高める」と規定し、中台統一に向けた台湾住民への宣伝教育の強化もうたっている。

 香港の李家超行政長官は25日発表の施政報告で、愛国主義教育を国民教育システムに組み込むと表明。24年に公立の「香港海防博物館」を「香港抗戦海防博物館」に改称して抗日の歴史を重点的に紹介するとし「民族の自信と愛国心を高める」と述べた。

 香港では1941年12月、旧日本軍が現地を統治していた英国の部隊を破り、45年8月まで占領。厳しい軍政に対する住民の抵抗運動が起きた。李氏は隣接する広東省深圳市の当局と協力して、抗日運動の歴史を紹介する考えも示した。【台北・林哲平】