韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は12日、文化日報の元論説委員だったパク・ミン氏を韓国放送公社(KBS)の新社長に任命する案を承認した。これに対し、最大野党「共に民主党」は「天下り人事で公共放送KBSの歴史に汚点を残す瞬間となった」と反発した。

 同党は声明で、「尹大統領は国民の放送であるKBSをどこまで壊すつもりなのか。人事聴聞会でも、パク候補者の資質不足が明らかになった。政治的な偏向を露骨に露呈し、出演者の渉外や放送の制作、編成に介入するという趣旨の発言を平気で口にした」と非難した。

 さらに、「ジャーナリストとしての基本的な資質や倫理意識さえ疑われる人物を天下りさせるために、行き詰まった政権と主観もない理事会が蛮行を犯した。歴史は、これをはっきりと記憶するだろう」と警告した。

 また、「尹大統領が国会で可決された放送3法まで無力化しようとすれば、国民とマスコミの怒りは爆発するだろう」とし、「尹政権は今からでも放送掌握の野心を放棄し、国民の声に耳を傾けるべきだ」と主張した。


(朝鮮日報 2023/11/14)

〇チュ・ジヌ氏降板、『ザ・ライブ』編成除外
〇文政権時に左遷された人物を多数起用

 韓国公共放送局KBSの朴敏(パク・ミン)新社長が13日、報道本部長など本部長・センター長級の幹部9人と主要部署の局長・部長級60人の交代人事を断行した。

偏向放送だと批判を浴びてきたKBS第1ラジオの時事番組『チュ・ジヌ・ライブ』、KBS第2テレビの『ザ・ライブ』などについては、進行役の交代と編成除外措置が取られた。このため、朴敏社長は就任と同時にKBSに本格的なメスを入れた、と評価されている。

 朴敏社長は前日12日の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による裁可の直後、李椿鎬(イ・チュンホ)元取材主幹を戦略企画室長に任命し、報道・編成本部長など主要幹部級人事に対する発令事項を内部イントラネットで発表した。前政権の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直後に左遷され、インターネット担当のマルチプラットフォーム編成局記者を務めていた張漢植(チャン・ハンシク)元未来戦略企画局長が報道本部長に任命されるなど、これまで主要職務から外されていた人物が多数起用されたことが分かった。

 KBS第1ラジオ『チュ・ジヌ・ライブ』は12日、ラジオセンター長内定者が担当プロデューサーに電話をかけ、進行役チュ・ジヌ氏の降板を告げたことが分かった。

KBS第2テレビ『ザ・ライブ』は朴敏社長就任初日の13日夕に編成表(番組表)から消え、代わりに大河ドラマ『高麗契丹戦争』の再放送が急きょ放送された。

ラジオセンターには「これまでの時事番組出演者の出演を中止し、新たな出演者をオファーせよ」という指針が下されたという。今年5月にKBS放送関係者連合会などが分析したところによると、KBSラジオの時事番組は「親野党系出演者が61%、親与党系出演者が8%」と、事実上、野党の「スピーカー役」をしてきたことが分かった。

 メインニュースの「顔」も変わった。KBSは13日、『ニュース9』の新たな男女アンカーとして、『日曜診断ライブ』の司会をしていたパク・チャンボム記者と、週末に『ニュース9』を担当していたパク・チウォン・アナウンサーを起用したと明らかにした。パク・チャンボム新アンカーは今年7月の『日曜診断ライブ』で文在寅政権を批判するクロージング・コメントをし、再放送で削除されるという事態になっていた。

 朴敏社長は13日の就任あいさつで、「国民が正しい判断ができるよう、正確かつ偏見のない知識と情報を提供しなければならない」「公営放送を個人や集団の理念・所信を実現させる場だと考える人は居場所がないだろう」と述べた。

 全国民主労働組合総連盟(民労総)傘下のメディア労組KBS本部は同日、記者会見を開き、「今回の人事や一部番組の編成除外などの措置は、放送法で保障されている『放送編成の自由と独立』を侵害するものだ」と主張した。シン・ドンフン記者


(ハンギョレ新聞 2023/11/14)

〇パク・ミンKBS社長、出勤初日に時事番組の打ち切り・アンカー交代 
〇言論労組KBS本部「法的責任を問う」

 韓国放送(KBS)のパク・ミン社長の就任初日から、これまで与党勢力から「不公正放送」と攻撃されていた時事番組が突然編成から外され、出演者が交代させられるなど、KBS内部では制作の自主性の侵害と不当な人事が物議をかもしている。全国言論労働組合(言論労組)KBS本部は13日、パク社長の就任式直後にKBS本館で記者会見を開き、「今回の措置は放送法で保障された『放送編成の自由と独立』を侵害したもの」だと反発した。

 労組の説明を総合すると、13日朝、社内のネットワークを通じて、月曜日から木曜日の夕方の時間帯に編成されていた時事番組「ザ・ライブ」(KBS2TV)がまるごと削除された事実が判明した。労組は声明で「会社側は制作スタッフと何の議論もなく編成自体を削除してしまった。当面は編成の削除と代替に過ぎないが、事実上の打ち切りの手順に突入したもの」だと主張した。「ザ・ライブ」の放映時間には、大河歴史ドラマ「高麗契丹戦争」などが再放映される。

 出演者の降板とアンカーの交代も相次いだ。労組の話によると、ラジオセンターでは前日夕方、次期センター長の内定者が「チュ・ジヌ・ライブ」の担当プロデューサーに電話でチュ・ジヌ氏の降板を通知し、制作スタッフが拒否の意向を明らかにすると、「社規に言及して脅迫してきた」という。さらに、チェ・ギョンヨン記者の辞職後、時事番組「最強時事」を担当している後任の進行者(キム・ギファ)と、報道本部で「ニュース9」を担当するアンカーのイ・ソジョン氏も交代通知を受けたことが確認された。

 「チュ・ジヌ・ライブ」などは、与党が「不公正放送」だとする主張を続けていた代表的な番組だ。

7日に開かれた当時KBS社長候補だったパク・ミン氏の人事聴聞会の場では、与党「国民の力」所属の議員を中心に「チュ・ジヌ」という名前が11回言及された。「チュ・ジヌ・ライブ」に対し、「あのような虚偽、歪曲、偽り、ねつ造をそのままにしておいていいのか。一罰百戒の責任を負わせなければならないのではないか」(パク・ソンジュン議員)という質問が出ると、当時社長候補だったパク・ミン氏は「そのように措置する」と答えた。

 労組は法的責任を問うという立場だ。KBSは労使団体協約(2022年)を通じて「編成・制作・報道の責任者は実務者の意見を尊重しなければならない」(第22条)、「番組改編前には制作スタッフと協議しなければならない」(第31条)などの規定を明示している。放送法も同様に第4条を通じて「放送編成の自由と独立」を保障している。労組は「パク・ミン体制の役職者を放送法および団体協約違反で告発する計画」だと伝えた。

 番組改編とあわせて大規模な人事措置もなされた。KBSは12日12時、本部長・センター長・局長級72人に対する人事発令を発表した。言論労組の韓国放送本部長はこの日、ハンギョレの電話取材で「人事や社長就任の前に、番組の出演者の交代が指示されたことが確認されている。無理に押し切ったため、9時のニュースのアンカーは視聴者に最後のあいさつもできなかった」とし、「こんな状況は入社以来初めて」だと述べた。

 パク・ミン社長は13日、就任のあいさつで「公共放送を個人や集団の理念や所信を実現する場と考える方々は、今後はKBSに居場所はない」としたうえで、「受信料を浪費する積弊を一掃しなければならない」と述べた。

 パク社長は前日の12日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領によって第26代KBS社長に任命された。14日に「国民に向けた記者会見」を行う予定だ。パク・カンス記者