(聯合ニュース 2023/11/30)
 日本政府が、東京の寺に残る高麗大蔵経の木版印刷物を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に推薦することを決め、韓国で波紋が予想される。

 文部科学省によると、日本政府は先ごろ世界記憶遺産への登録を申請する候補として「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書(そうしょ)」と「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」の2件を選定した。登録の可否は2025年のユネスコの審査で決定される見通しだ。

 増上寺の三種の仏教聖典叢書は中国・南宋時代(12世紀)と中国・元時代(13世紀)、朝鮮・高麗時代(13世紀)に大蔵経の木版で印刷した仏教印刷物だ。

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▲増上寺が所蔵する高麗大蔵経の木版印刷物「無量寿経」(文部科学省のホームページより)

 文部科学省はこれらの印刷物について「江戸幕府を創設した徳川家康が収集し、増上寺に寄進したもの」とし、「多くの大蔵経が王朝の変遷や戦乱により散逸するなか、15世紀以前に作られた三つの大蔵経がほぼ完全な状態で所在されていることは世界で他に類を見ない」と登録申請の背景を説明した。

 世界記憶遺産はユネスコが貴重な記録物を保存、活用することを目的に価値のある資料を選定するもので、他国に起源を持つ記録物の登録申請も可能だ。だが、韓国を代表する文化財のひとつである高麗大蔵経の木版印刷物を日本がユネスコに登録申請することを巡り、韓国の仏教界などから反発が起きそうだ。日本は21年に増上寺の三種の仏教聖典叢書を世界記憶遺産に推薦したが、登録が見送られていた。

 徳川家康が収集「仏教聖典群」、1万点超が完全な状態で現存…広島原爆資料とともに「世界の記憶」国内候補に (読売新聞 2023/11/28)

 文部科学省は28日、歴史的文書の保存などを目的とする国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」の国内候補に、「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典 叢書そうしょ 」と「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」の2件が決まったと発表した。2025年の登録を目指す。

 「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」は、12~13世紀に中国と朝鮮で作られた版木による木版仏教聖典群。総数約1万2000点に及び、徳川家康が収集して浄土宗大本山の増上寺(東京都港区)に寄進した。ほぼ完全な状態で伝わり、仏教研究の基礎になっている。21年にも国内候補となったが、登録されなかった。高精細画像をウェブ公開しており、再申請ではデジタル記録としての意義も強調した。

 「広島原爆の視覚的資料」は、広島市に原子爆弾が投下された1945年8月6日から同年12月末にかけて、市内や近郊で撮影された写真1532点と動画2点。被爆した市民や報道カメラマンらが撮影した。爆心地から至近距離で撮られた「きのこ雲」や、被爆翌日の市中心部の焼け跡の写真などが含まれる。広島市と、中国新聞社などの報道機関が共同で申請した。

 岸田首相は28日、首相官邸で記者団の質問に答え、「いずれも登録するにふさわしい貴重な記憶遺産だ。登録に向けて取り組んでいきたい」と述べた。