(産経新聞 2023/12/25)
24日に投開票された東京都武蔵野市長選は立憲民主党や共産党が支持する無所属新人で前市議の笹岡裕子氏(37)が、初当選した無所属新人で前市議の小美濃安弘氏(61)=自民、公明推薦=に及ばなかった。339票の僅差だった。次期衆院選に立民から出馬する松下玲子前市長の辞任に伴う選挙で、革新勢力にとって18年ぶりに自民系に市長の座を譲る結果となる。

一方、同市議補選(欠員2)も同日投開票され、立民最高顧問の菅直人元首相の長男、菅源太郎氏(51)=立民公認=が2位で初当選した。

源太郎氏は平成15、17年に旧民主党候補として衆院岡山1区に出馬したがそれぞれ落選。今回が初めての議員当選となる。近年は菅直人事務所で秘書を務めていた。

同市議補選は市長選に出馬した笹岡氏ら2人が市議を辞任したため実施された。市長選に関しては77歳の菅直人氏が地盤とする東京18区(武蔵野市、小金井市、西東京市)の後継候補を事実上松下氏に指名し、松下氏が11月30日付で市長を退職し実施された。

笹岡氏は松下氏の後継候補の位置付けで杉並区や世田谷区など革新系首長の応援も受けたが競り負けた。市議補選も自民党推薦の新人、山崎高志氏(51)がトップ当選し、源太郎氏はギリギリでの当選となる。自民に不祥事が相次ぐ中でも振るわない結果に終わり、次期衆院選を巡っては知名度が高い松下氏も厳しい展開を強いられそうだ。


(朝日新聞 2023/12/16)

 2年前、外国籍の住民も投票できる住民投票の制度をつくろうとした東京都武蔵野市。当時の松下玲子市長は多様な声を市政に反映したいとしたが、激しい反対もあり、条例案は市議会によって否決された。有識者による論点整理がいまも続くなか、国政転出を表明した松下氏。17日告示の市長選で選ばれる新しい市長が、この条例にどう向き合うかに注目が集まっている。

 住民投票条例案は、2020年に施行された市自治基本条例に基づき、21年に市が提案した。市政に関する重要な問題について、投票資格者の4分の1の署名で住民投票が実施できるとし、18歳以上で住民基本台帳に3カ月以上登録されていれば、国籍を問わず投票できるという内容だった。

 40を超す自治体が当時、外国人が参加できる住民投票制度をすでに持っていた。しかし、「憲法で認めていない外国人参政権の代替になり得る」などといった声が上がる。制度に反対する署名活動やデモも行われ、武蔵野が全国的な注目を集めた。(略)



自民党の長島昭久衆院議員は25日、東京都武蔵野市長選を18年ぶりに自民系が制した背景について、令和3年12月に否決された日本人と外国人を区別せず投票権を認める住民投票条例案を巡る攻防を指摘した。産経新聞の取材に答えた。長島氏は「全国から危機感が寄せられ、松下市政に対する市民の危惧が顕在化した。市政を方向転換する千載一遇のチャンスに陣営が愚直に正攻法で戦い抜いた」と語った。条例案を主導した松下玲子前市長は次期衆院選出馬のため今年11月に退職した。

長島氏は選挙区区割り変更に伴い今年3月まで同市を地盤としていた。

松下氏は3年10月の市長選で大差で勝利。自民党は派閥のパーティー収入不記載事件で逆風下にある。

長島氏は「住民投票条例を否決して以降、松下市政はさまざまな面で追い込まれていった。松下氏も次期衆院選出馬とはいえ市政を投げ出す形となり、住民の危惧が後押ししてくれた」と指摘した。

新市長に就任した小美濃安弘氏に対しては「イデオロギーや政治思想に寄った政策ではなく、市民本位の市政を貫いてほしい。市民生活の隅々に目を配ってくれるはずだ」と期待を込める。

立憲民主党や共産党が支持する37歳の無所属新人が僅差とはいえ敗れたことについては「立民の蓮舫参院議員らが空中戦で応援するなど、地に足がついていなかったのではないか」と振り返った。

長島氏は旧民主党や旧希望の党を経て令和元年6月に自民に入党。武蔵野市を含む旧東京18区に選挙区を変更し、支持基盤を固めようとしたが3年10月の衆院選で立民の菅直人元首相に敗れた。比例東京ブロックで復活当選した。



24日投開票された東京都武蔵野市の市長選で初当選した自民、公明推薦の元市議・元都議、小美濃安弘氏(61)は、当選後、争点の1つだった外国人にも投票権を与える住民投票条例の制定について「公約通り凍結する」と明言した。

この住民投票条例をめぐっては、松下玲子前市長が2位にダブルスコアで再選を果たした令和3年、議会に条例案を提出。外国籍市民に在留期間などの要件を設けず投票権を与えるという内容で、議会では「市民理解が得られていない」などという意見が上がり、反対多数で否決された。

その後、学者らを集めた有識者懇談会を設置。今年7月から論点整理をスタートさせた矢先の11月、松下氏は突如、菅直人元首相から東京18区(武蔵野市など)の地盤を譲り受け、衆院選へ出馬すると表明した。

小美濃氏は3年の議決では市議として反対側に回り、今回の選挙戦でも凍結を公約に掲げた。今後について、「2年前の市を分断するような議論はしたくない。論点整理は終わらせたいが、市民の意見を入れず、まず学者でというままでは、同じような分裂、分断の議論になりかねない」と話した。