【こちら特報部】繰り返す「在日特権」論は100年前のドイツと同じ 社会保障の行き詰まりを「あいつらのせい」に転嫁(東京新聞 2024/03/01)
根強く繰り返される「在日特権」という言説。だが、税制面での特権について国税庁は2月28日、国会で「ない」と明言した。昨年11月には自民党の杉田水脈衆院議員が「実際には存在します」とX(旧ツイッター)に投稿するなど、保守系国会議員やネット右翼らの「ある」という主張はやまないが、政府が公式に否定した格好だ。杉田氏を含む裏金議員の問題が問われた政治倫理審査会開催の日に、本当の特権は誰にあるか考えてみた。(岸本拓也、西田直晃)
◆国税庁が国会できっぱり否定
「国税当局が、対象者の国籍や特定の団体に所属していることをもって特別な扱いをすることはない」
在日コリアンらへの憎悪をあおる悪質なデマとして知られる「在日特権」について議論された28日の衆院予算委員会分科会。高橋英明氏(日本維新の会)が、税制面の優遇などがあるのかとただすと、国税庁の田原芳幸・課税部長はきっぱりと否定した。
高橋氏が「朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)とか、それに関わる法人個人にも一切の優遇措置はないのか」と重ねて問うと、田原氏は「繰り返すが、特定の団体なり、その会員に対して、特別な取り扱いをすることはない」と明言した。
在日特権は、在日コリアンが、日本社会で優越的な「隠れた特権」を持っているとする言説で、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが主張してきた。内容はデマにあふれ、ネットの検索動向を示すグーグルトレンドによると、14年をピークに世間の関心は薄れていった。
◆杉田水脈氏の「存在する」発言で再燃
しかし、特定民族などへの数々の差別発言で知られる自民党の杉田水脈衆院議員が昨年11月、X(旧ツイッター)で在日特権は「実際には存在します」などと投稿して批判を受けると、その言葉がにわかに注目された。
ただ、これまでも特権の存在は、ことごとく否定されてきた。在特会がやり玉に挙げてきた在日コリアンらに認められている「特別永住資格」もその一つ。1991年の出入国管理特例法で定められ、一般の永住者と違い、入国審査時の顔写真の撮影や指紋採取などが免除される。
これらは特権なのか。特別永住者について議論された2014年10月の参院内閣委員会で、山谷えり子・国家公安委員長(当時)は「特別永住資格は特権ではなく、法律や通達に基づくもの」と答弁。当時、在特会関係者と一緒に写真撮影したことが問題視された山谷氏でさえ、特権とは言わなかった。
◆特別永住資格には「歴史的な背景がある」
改めて出入国在留管理庁に聞くと、担当者は「歴史的な背景がある話で、優遇や特権と呼ばれるものとは性質が異なる」と話した。
日本は1910年に日韓併合で朝鮮人を「日本国民」にして、労働力として日本で炭鉱労働などに従事させた。しかし、終戦後の52年にサンフランシスコ平和条約が発効されると、在日コリアンらの日本国籍は剝奪された。
すでに日本に生活基盤のある在日コリアンらが引き続き暮らせるよう韓国政府と議論。その子孫を含め、安定的な生活が送れるように整備されたのが特別永住資格だった。先の担当者は「日本への定住性が強いことや、日本国籍を失わせてしまったことへの配慮は必要で、結果的に一般の永住者と違いが生じた」と説明した。
生活保護を巡っても在日コリアンが「優遇」されているとの主張もあった。改めて、厚生労働省保護課に尋ねると、担当者は「特別永住者だからゲタを履かせることはない。日本人と同じように、支給要件に合致すれば出すし、しなければ出さない」と否定した。
◆「荒唐無稽なデマ、口にする国会議員がいることに驚き」
在日特権は存在しない。政府があらためて示す見解に対し、ジャーナリストの安田浩一氏は「そもそも、この文言をまだ持ち出す人がいることに驚き。荒唐無稽なデマに過ぎないのに。ましてや国会議員が口にするのは異常としか言いようがない」と絶句する。
その上で、在日コリアンの置かれた現状について、「現実には多くの在日コリアンが日本国籍を取得している。優遇措置が存在するなら、わざわざ日本国籍を取得する必要はない。むしろ、日本人と同様に税金を払いながらも、外国人参政権がなく、政治参画の機会すら持てない。そちらのほうが問題だ」と指摘。「マイノリティーがこうした差別を訴えると、『不当な利益を求めるな』という主張が横行しがち。現代における差別扇動の典型的な表現だ」
◆差別のために妄想とデマを寄せ集める、レイシストの作法
ネット右翼の中には、過去に一部の自治体が行っていた在日コリアンへの税の減免措置を「特権だ」と決め付ける言説もある。安田氏は「植民地時代に国籍を一斉に剝奪され、終戦直後には社会保障から排除された無権利状態だった。行政による必要な措置であり、それは特権でも何でもない。在日コリアンを差別したいがために、あらゆる妄想の産物やネット上のデマを寄せ集め、形式的な理由をつくり、武装して差別の正当化を図る。それがレイシストの作法だ」。
今回も、国税庁が在日特権を公式に否定したにもかかわらず、いぜんネット上には、「実質的に特権まみれ」「通名悪用すればいくらでも悪さできる」「ナマポ(生活保護)在日に優先してんじゃん」といった書き込みがあふれる。こうした排外主義的な動きの源泉に何があるのか。
「ヘイトは愛国心の発露ではなく、『政府は私を大事にしてくれるのか』という不安感の裏返しでは」と語るのは、駒沢大の山崎望教授(政治理論)。「社会保障や安全保障の行き詰まりを考えたとき、国に見捨てられる恐れが潜在意識の中にある。その点が日本人と関係のない人々の排除に向かっていく」
東京造形大の前田朗名誉教授(人権論)は「『日本人が損している』『本来得られるはずの利益が得られていない』といった思い込みが背景にある。下に見ている旧植民地出身者に目を付け、そのいびつな感情を『あいつらのせいだ』と転嫁している。100年前のドイツでも、ユダヤ人に対して同じ見方をしていた。世界中どこでも起きうる現象形態だ」と話す。
◆「特権があって当然」という思いがあるからでは
本来なら、政治家はこうしたヘイトやレイシズムに歯止めをかける立場だ。だが、岸田文雄首相が22年に杉田氏を総務政務官に起用するなど、自民党内には、歯止めをかけるどころかヘイトを容認したり、拍車をかけるよう動きや発言が後を絶たない。
前田氏は「一部の地方議員にも排外的な言説をあおる動きがあるが、『差別するつもりはない』という言い訳がまかり通っている。歴史認識の違いで済まされてしまい、議論が成立しないまま、差別と迫害につながっていく」と危ぶむ。
2月29日から岸田首相らが出席して始まった政倫審では、「政治資金は非課税」といった政治家への税制上の優遇措置も問われている。安倍派から寄付された計1564万円が政治資金収支報告書に不記載だった杉田氏、同氏を重用した安倍晋三元首相の名を冠した安倍派の幹部らは裏金疑惑にまみれている。存在しない特権を唱えたり黙認したりしてきた側が、「政治家特権」を享受してきた。
山崎氏は言う。「政治家には『特権があって当然』という思いが多かれ少なかれあるのでは。特権を持っていい人、よくない人という線引き、奇妙なおごりや選民意識が見え隠れする。非常にゆがんだ意識だ」
◆デスクメモ
「在日特権」などのヘイト言説は、旧ツイッターなどで根強く使われる。根拠を示さず短く攻撃的に言い切ってしまう危うさ。旧ツイッターより8字少ない132字制限のこのメモを5年9カ月書いてきて、痛感している。自分はきょうで最後。今まで本当にありがとうございました。(歩)
『納税=参政権』を主張する人達は、せっかく『納税額』や『公的・私的扶助の受給(今でいう「生活保護」など)』によって選挙権が与えられたり停止されたりした制度が、現在のように納税の多寡や社会的弱者かどうかに関係なく、一定の年齢以上のすべての『国民』が参加できる制度になったのに、そこを重要視するとはね。
『参政権者=国民』の枠を広げたい人達の“気持ち”は理解できますが(賛成はしませんが)、それを「納税しているから」と主張している人たちは浅はかとしか思えませんね。
『納税=参政権』を主張する人達は、せっかく『納税額』や『公的・私的扶助の受給(今でいう「生活保護」など)』によって選挙権が与えられたり停止されたりした制度が、現在のように納税の多寡や社会的弱者かどうかに関係なく、一定の年齢以上のすべての『国民』が参加できる制度になったのに、そこを重要視するとはね。
『参政権者=国民』の枠を広げたい人達の“気持ち”は理解できますが(賛成はしませんが)、それを「納税しているから」と主張している人たちは浅はかとしか思えませんね。
| 【地方(府県・市・町村)】 ◆府県の選挙権は直接国税5円以上、被選挙権は直接国税10円以上。 「府県会規則」(明治11年7月22日太政官布告第18号) 第十三条 府県ノ議員タルコトヲ得へキ者ハ満二十五歳以上ノ男子ニシテ其府県内二本籍ヲ定メ満三年以上居住シ其府県内二於テ地租拾円以上ヲ納ムル者二限ル 第一款 風癲白痴ノ者 第二款 懲役一年以上実決ノ刑ニ処セラレタル者 第三款 身代限ノ処分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終エサル者 第四款 官吏及教□職 第十四条 議員ヲ選挙スルヲ得へキ者ハ満二十歳以上ノ男子ニシテ其郡内二本籍ヲ定メ其府県内二於テ地租五円以上ヲ納ムル者二限ルへシ 但前条ノ第一款第二款第三款ニ触ルル者ハ選挙人タルコトヲ得ス ◆市、町村の選挙権は直接国税年額二円以上 「市制」 (明治21年4月25日法律第1号) 「町村制」(明治21年4月25日法律第1号)(以下の「市」を「町村」に) 第七条 凡帝国臣民ニシテ公権ヲ有スル独立ノ男子二年以来(一)市ノ住民トナリ(二)其市ノ負担ヲ分任シ及(三)其市内ニ於テ地租ヲ納メ若クハ直接国税年額二円以上ヲ納ムル者ハ其市公民トス 其公費ヲ以テ救助ヲ受ケタル後二年ヲ経サル者ハ此限ニ在ス但場合ニ依リ市会ノ議決ヲ以テ本条ニ定ムル二箇年ノ制限ヲ得面スルコトヲ得 此法律ニ於テ独立ト称スルハ満二十五歳以上ニシテ一戸ヲ構ヘ且治産ノ禁ヲ受ケサル者を云フ 第八条 凡市公民ハ市ノ選挙ニ参与シ市ノ名誉職ニ選挙セラルル権利アリ又其名誉職ヲ担任スルハ市公民ノ義務ナリトス ◆府県は直選制から、市会・市参事会会同及び郡会・郡参事会会同による復選制に。 「府県制」(明治23年5月17日法律第35号) 第三条 府県会議員ノ選挙ハ市二在テハ市会及参事会会同シ市長ヲ会長トシ郡二在テハ郡会及郡参事会会同シ郡長ヲ会長トシ左ノ規定二之ヲ行フヘシ但会長ハ投票二加ハヲサルモノトス(下略) 第四条 府県内市町村ノ公民中選挙権ヲ有シ其府県二於テ一年以来直接国税十円以上ヲ納ムル者ハ府県会ノ被選挙権ヲ有ス ◆府県、直選制に戻る。選挙権は直接国税5円→3円以上に、被選挙権は直接国税10円以上と据え置き。 「府県制」(明治32年3月16日法律第64号) 第六条 府県内ノ市町村公民ニシテ市町村会議員ノ選挙権ヲ有シ且其ノ府県内二於テ一年以来直接国税年額三円以上ヲ納ムル者ハ府県会議員ノ選挙権ヲ有ス 府県内ノ市町村公民ニシテ市町村会議員ノ選挙権ヲ有シ且其ノ府県内二於テ一年以来直接国税年額拾円以上ヲ納ムル者ハ府県会議員ノ被選挙権ヲ有ス (略) ◆府県、納税額による制限は廃止、直接国税納入者には選挙権、被選挙権が付与される。 「府県制中改正法律」(大正11年4月19日法律第55号) 第六条第一項及第三項ヲ左ノ如ク改ム 府県内ノ市町村公民ニシテ一年以来其ノ府県内二於テ直接国税ヲ納ムル者ハ府県会議員ノ選挙権及被選挙権ヲ有ス (略) ◆府県・市・町村、制限条項の全面撤廃。ただし生活保護を受ける者などは対象外。 「府県制中改正法律」(大正15年6月24日法律第73号) 第六条 府県内ノ市町村公民ハ府県会議員ノ被選挙権及選挙権ヲ有ス (略) 市町村公民権停止中ノ者ハ選挙権及被選挙権ヲ有セス (略) 「市制中改正法律」(大正15年6月24日法律第74号) 「町村制中改正法律」(大正15年6月24日法律第75号)(以下の「市」を「町村」に)第九条 帝国臣民タル年齢二十五年以上ノ男子ニシテ二年以来市住民タル者ハ其ノ市公民トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラス 一 禁治産者及準禁治産者 二 破産者ニシテ復権ヲ得サル者 三 貧困ニ因リ生活ノ為公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者 四 一定ノ住居ヲ有セサル者 (略 五,六,七は受刑者・前科者に対する規定) そして戦後、女子にも選挙権・被選挙権付与。 |

たしかに当初は必要な措置だったのかもしれないけど
戦争が終わって半世紀以上経っているのにそれが維持されたり
関与していない世代にまで世襲で与えられているのは特権じゃないのかと
それに法律や通達に基づくその法律や通達に書かれることが特権ではないのかと
>特別永住者だからゲタを履かせることはない。
>日本人と同じように、支給要件に合致すれば出すし、しなければ出さない
この外国人なのに日本人と同じように出すのが特権ではないの?
全世帯に占める受給者等比較すれば在日世帯だけ受給者が多かったでしょう
specificasia
が
しました