(産経新聞 2024/04/08)
【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対する民意の「中間評価」となる総選挙(定数300)は、10日に投開票が行われる。劣勢が伝えられる与党内では、大統領の弾劾訴追が可能となる議席の3分の2を革新系野党が獲得する事態を懸念する声も上がる。期日前投票は過去最多を記録し、当日の投票率が結果を大きく左右する見通しだ。

与党「国民の力」の重鎮議員らは7日、野党側の大勝阻止を求める緊急会見を相次ぎ開いた。羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)共同選挙対策本部長は、野党の「200議席獲得」の可能性に言及。「政府が機能不全になるだけでなく、国会が弾劾をめぐる乱闘の場になってしまう」と訴えた。

4年前の前回総選挙では、当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権を支えた「共に民主党」を含む革新系が計190議席を獲得。歴史的な大勝となったことから、今回の選挙では当初、同党が勝利する場合でも議席は一定程度減少するとの見方が大勢だった。

しかし、選挙戦を通じて、人事や内政の懸案への尹大統領の対応に批判が拡大した。世論調査では「政権を牽制(けんせい)するために野党候補が当選すべきだ」との回答が「政権を支援するために与党候補が当選すべきだ」を終始上回り、選挙情勢に影響を及ぼしている。

革新系が200議席を獲得すれば、尹大統領の弾劾訴追も可能となる。憲法裁判所の判断が出るまで大統領権限は停止され、外交にも影響が出るのは必至だ。

約50の激戦区次第で結果が大きく変動する可能性も残るが、夕刊紙、文化日報は8日、「(与党側が)135議席を確保するだけでも善戦という分析が支配的だ」と指摘。第1党の奪取は困難との見方を示した。

今後注目されるのは、投票率「55%の壁」だ。保守系支持層の高齢者が積極的に投票に臨むのに対し、革新系では支持政党への評価が高い場合に投票し、低い場合には投票放棄する傾向にある。その結果、過去4回の総選挙では、投票率が55%を上回った2回は革新系が、下回った2回は保守系がそれぞれ勝利した。

5、6日に行われた期日前投票では、投票率が前回比4・6ポイント増の31・3%となり、過去最高を記録した。最終投票率が66・2%だった前回を上回り「70%に迫る」(聯合ニュース)との見方も出る。一方、2022年の大統領選では期日前の投票率が過去最高を更新したものの、最終投票率は前回を下回っている。