(朝日新聞 2024/06/13)
 1400万都民のリーダー選びは、事実上の与野党対決となったことで、小池都政8年の評価のみならず、国政の今後を占うものとなる。建設的な政策論争を通じ、自民党の裏金事件で失墜した政治の信頼回復にも資する選挙戦にしてもらいたい。

 20日告示の東京都知事選に、現職の小池百合子氏が3選をめざして立候補する意向を表明した。自民、公明両党などが自主的に支援する見通しだ。立憲民主、共産、社民各党は、立憲を離党して無所属で立つ蓮舫参院議員を支援する方針で、両氏の対決を軸とした構図が固まった。

 8年前に初の女性都知事となった小池氏は、当初、自民党都連との対決姿勢を前面に出していた。しかし、新型コロナ対応や五輪開催を通じ、政権与党であり、都議会最大会派である自民党との協調に転じ、最近は都内の選挙で協力する場面も目立つ。

 独自候補の擁立を見送った自民側からすれば、現職の強みを持つ小池氏を支援することで、4月の衆院補欠選挙以降、各地の地方選挙で負けが続く流れを食い止めたいという狙いは明らかだ。

 こうした両者の関係を批判するのが蓮舫氏だ。小池都政を「自民党の延命に手を貸す」ものと断じ、「反自民・非小池」を掲げる。ただ、小池氏の政策の何をどう改めるのか、説得力のある選択肢を示せなければ、有権者の支持は広がるまい。蓮舫氏の挑戦は、次の総選挙での野党の戦い方の試金石になろう。

 都政の課題は多岐にわたるが、争点の一つは明治神宮外苑地区の再開発計画だ。多数の樹木伐採や超高層ビルの建設に反対の声は根強い。約100年も守られてきた都心の緑の将来に、明確な見解と展望を示す必要がある。

 首都直下地震への備えも待ったなしだ。木造住宅密集地域は10年で半減したが、帰宅困難者への対応や、停電で湾岸のタワーマンションが「陸の孤島」となった時の生活支援など、新たな課題への計画づくりが急がれる。

 推計では、35年に都民の約4人に1人が65歳以上になる。一方、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は、都で0・99と1・0を下回った。類例のない少子高齢化を迎える巨大都市の見取り図を、各候補には提示してもらいたい。

 小池都政を評価するうえで見過ごせないのが、歴史への向き合い方だ。関東大震災時に起きた朝鮮人虐殺の犠牲者を追悼するメッセージの送付をやめたことについて、改めて明確な説明を求める。