(ハンギョレ新聞 2024/09/28)
〇韓日の歴史問題では「日本の責任」に言及するが、本質は「保守政治家」
〇国防軍・核共有・アジア版NATOを主張する「安保タカ派」
日本の次期首相を事実上選ぶことになる自民党総裁選で、石破茂元幹事長(67)が劇的な勝利を収めた。議院内閣制である日本では、政府与党のトップが首相になるため、石破氏は来月1日に開かれる臨時国会で首相に就任する見通しだ。石破氏は歴史問題については比較的前向きな人物で、韓日関係に及ぼす影響も注目される。
自民党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長は、27日に開かれた自民党総裁選の決選投票で、石破元幹事長が合計415票(党所属の国会議員368票、党員・党友47票)のうち、過半数の215票(国会議員189票、党員・党友26票)を得て、当選が確定したと発表した。これに先立つ1回目の投票では、石破氏は全736票(国会議員と党員・党友で各368票)のうち合計154票を得て、2位で決選に進出した。しかし、決選相手の高市早苗経済安全保障相とは27票差も広がり、見通しは暗かった。特に、決選の勝負でカギを握る国会議員票では、石破氏の46票に対し高市氏は72票で、大差がついた。
しかし、決選で大逆転劇が起きた。石破元幹事長は国会議員から189票(全368票)を得て、党員・党友票(全47票)も過半数の26票を獲得し、相手を圧倒した。総裁選挙のたびに党内基盤の弱さから苦汁をなめてきたが、予測を覆す結果となった。石破新総裁は当選後の演説で「国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語り、この日本国をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安全で安心な国にするために全身全霊を尽くしていく」と述べた。
石破元幹事長の逆転勝利の背景には、相手候補の短所が浮上したことがあると、読売新聞などが報じた。43歳の若さと斬新さを前面に出し、序盤では大量得票するとみられていた小泉進次郎元環境相は、討論会の初期から「政策理解の不十分さ」「政策実現のための戦略の不透明さ」「経験不足」が露見したと、同紙は指摘した。
1回目の投票では1位となった高市早苗経済安保相は、過度な右派色に対する悪影響が指摘された。高市氏は、首相就任後も太平洋戦争のA級戦犯が合祀されている靖国神社に参拝すると公言していた。しかし、現職首相の靖国神社参拝は、2013年の安倍晋三元首相が最後だった。当時は米国も「失望した」と批判するなど、外交的に問題になった。読売新聞は、高市氏が首相になれば「岸田文雄政権で改善した日韓関係が損なわれ、日米韓の連携にヒビが入る」という恐れがあったと報じた。
石破新総裁は歴史問題について「(日本が)独立国だった韓国を併合し、名字を変えることが行われた」「わが国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にある」と述べるなど、自民党の政治家のなかでは前向きな方だ。
しかし、石破氏は基本的には日本政府の与党自民党の保守政治家であり、日本政府の基本的な立場から抜け出すことは難しい。靖国神社参拝はしないが、韓国最高裁(大法院)による強制動員損害賠償判決は国際法違反だと考え、独島(日本の呼称では竹島)の領有権を主張することでも知られていることからもわかる。また、首相就任後は、党内の保守派をよりいっそう意識する可能性がある。
防衛相を務めた石破氏が主張する安全保障政策自体も、タカ派的な部分がある。石破氏は、現行の平和憲法の要である戦力保有を禁止する憲法9条に、自衛隊の根拠規定を挿入しようとする自民党の基本政策に賛成している。石破氏の最近の著書には、これよりさらに保守的な、自衛隊を国防軍と規定する憲法改正の主張もある。米国の核兵器を日本と共同運用する「核共有」を議論しようと主張している。「アジア版北大西洋条約機構(NATO)設立」も主張しているが、実現の可能性については懐疑的な見方が多い。
韓国大統領室は「韓日両国は自由、人権、法治の価値を共有し、安全保障、経済、グローバル・アジェンダで共同利益を追求する最も近い隣国であり、協力パートナーであるだけに、韓国政府は両国が前向きな姿勢で未来指向的な関係の発展のためにともに努力することを期待する」という反応を示した。
石破新総裁は、総選挙という試験台に立たされるものとみられる。岸田内閣は派閥の政治資金パーティー収入の裏金問題などで支持率が20%台まで落ちた状態であるため、総選挙が行われる場合、自民党は容易ではない勝負を強いられるものとみられる。石破氏は衆議院の早期解散問題については「主権者は国民であり、自民党の都合だけで勝手に(解散を)決めてはいけない」と保留の立場を取っているが、早期解散は議論され続けている。東京/ホン・ソクジェ特派員
(朝鮮日報 2024/09/28)
韓日の歴史問題で比較的穏健な声を上げてきた石破茂・元自民党幹事長(67)が次の日本の首相になることが決まった。日本の政権政党である自民党は27日午後、東京都内の党本部で総裁選挙を行い、石破元幹事長を第28代総裁に選出した。
石破元幹事長は同日行われた決選投票で215票を獲得し、194票だった高市早苗・経済安全保障担当相を21票差で抑え当選した。石破元幹事長は9人の候補者が乱立した今回の総裁選挙の第1次投票では154票で高市氏(181票)と27票差の2位だったが、決選投票で劇的な逆転に成功した。
石破新総裁は2008年を皮切りに2012年、2018年、2020年と4回にわたり総裁選挙に挑戦したが、いずれも苦杯をなめた。しかし「最後の挑戦」と宣言した今回の選挙でついに勝利を手にした。石破新総裁は父親も政治家の世襲一家だ。父の故・石破二朗氏は官僚を経て政界に入り、鳥取県知事や自治大臣などを歴任した。
石破新総裁の祖父も鳥取県知事や自民党幹事長を歴任した。石破氏は慶応大学法学部を卒業後、数年銀行員として働き、父の死後に当時政界の大物で父の友人でもあった故・田中角栄氏の勧めで1983年に田中派の事務所で働き始め、政界に足を踏み入れた。
29歳だった1986年に鳥取県から出馬し、当時最年少の衆議院議員として当選。その後は現在に至るまで当選12回を数える。石破氏が自民党総裁に挑戦したのは2008年からだ。この時は、1回目の投票で過半数を獲得した麻生太郎氏があっさりと勝利した。その後も2012年と2018年には安倍晋三氏と対決し、2020年には菅義偉氏、岸田文雄氏と戦った。
これら一連の過程を経て石破氏はいつしか一般国民の世論調査で常に次期首相候補として1位か2位となり、地方の党員からは高い人気を集めるようになった。実際に2012年の総裁選挙では1回目の投票で1位となったが、当時は派閥トップの支持が結果を左右する時代だったため、2回目の投票で安倍晋三氏に敗れた。安倍政権初期には内閣の一員にもなったが、2016年以降は閣僚や党の要職には就かず、安倍政権に批判的な立ち位置を常に維持しながら「苦言を呈する人物」と認識されてきた。
石破新総裁は韓日の歴史問題では右翼勢力とは違った声を上げてきた。2019年8月に韓国政府が韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)終了を決めた直後には自らのブログを通じ、ドイツによる戦後の反省に言及しながら日本政府を批判した。石破氏はこのブログで「わが国(日本)が敗戦後に戦争責任を正面から直視しなかったことが多くの問題の根源になっている」「この状況が今日さまざまな形で表面化していると思う」と指摘した。さらに「日本にも韓国にも『このままで良いはずがない。何か解決して過去の小渕首相-金大中大統領時代のような良い関係に戻ってほしい』と考える人は少なくないだろう」と訴えた。ミン・ソヨン記者

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