(毎日新聞 2025/03/04)
 宗教法人法で定められた質問権に基づく調査への回答を拒んだとして、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側に過料を科すよう求めた申し立てで、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は3日付の決定で、「民法上の不法行為は解散命令の要件に含まれる」との初判断を示した。

 その上で、田中富広会長に過料10万円を科した東京高裁決定(2024年8月)を支持し、教団側の不服申し立てを退けた。過料を巡る手続きは終結した。

 裁判官5人全員一致の意見。教団の解散命令請求を巡る裁判は異なる手続きだが、民法上の不法行為が解散命令の要件に含まれるかどうかという争点は共通している。小法廷の決定は、解散命令の判断に影響を与える可能性がある。

 宗教法人法は、解散命令の要件として「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を挙げ、こうした行為をしたと疑われる場合、質問権を行使できると定めている。

 文科省は献金被害に遭った元信者らが起こした民事訴訟で、教団側の民法上の不法行為が認められていたことを理由に、22年11月~23年7月、7回にわたり質問権を行使したが、教団側に一部の回答を拒まれたとして23年9月、東京地裁に過料を科すよう申し立てた。

 教団側は過料の手続きで「民法上の不法行為は解散命令の要件には含まれず、質問権の行使自体が違法」と反論していた。

 これに対し、小法廷は、民法上の不法行為は、他人の権利や利益を侵害するもので、不法行為を理由に宗教法人として不適切となることも十分あり得ると指摘。教団側に過料10万円を科すことを認めた東京地裁、東京高裁決定を支持した。

 教団側は、東京地裁で続いてきた教団に対する解散命令請求の審理でも、民法上の不法行為は解散命令要件には含まれないと主張している。

 解散命令請求の審理は25年1月に終結し、今後判断が出される見通し。【巽賢司】



宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への質問権行使を巡り、教団が回答を拒んだとして文部科学省が過料を科すよう求めた非公開の裁判手続きで、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は、教団の田中富広会長に過料10万円を科すとした2審東京高裁決定を支持し、教団側の抗告を棄却した。過料を巡る裁判手続きが終結した。東京地裁に係属中の解散命令請求の判断にも影響を与えそうだ。

3日付。裁判官5人の全員一致の結論。同小法廷は、解散命令の要件である「法令違反」の対象に「民法の不法行為が含まれる」との初判断を示した。1、2審も同様の判断を示していた。

宗教法人法は、法令違反があり、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした宗教法人に対し、裁判所が解散命令を出せると規定。また、要件に該当する「疑い」があれば、省庁などが質問権を行使できるとしている。

回答を拒んだり虚偽の報告をしたりすれば、行政罰として10万円以下の過料が科される。

同小法廷は、民法の不法行為は故意・過失によって他人の権利や利益を侵害するもので、関与した宗教団体に「法律上の能力を与えたままにしておくことが不適切となる事態も十分ありうる」と指摘。法令違反に民法も含めることは「規定の趣旨に沿う」とした。

解散命令が確定した場合、教団は宗教法人格を失い、税制上の優遇措置が受けられなくなるが、宗教上の行為は禁止されない。また、宗教法人法は単なる法令違反でなく「著しく公共の福祉を害する行為」を求めていることからも、同小法廷は、民法の不法行為が解散命令の判断対象になると解釈しても「規定が過度に緩やかとはいえない」とした。

その上で、要件に該当する「疑い」があった教団への質問権行使は適法で、教団が適切に対応しなかったと結論づけた2審の判断を支持した。

解散命令請求の可否を判断するため、文化庁は令和4年11月から計7回、質問権を行使。教団側は質問権の行使自体が違法だと主張していた。

解散命令請求を巡っては、地裁での非公開審理が今年1月、実質的に終結。地裁は近く判断を示すとみられている。