(朝日新聞 2025/03/07)
インバウンド需要が高まるなか、駅の電光掲示板では、電車の行き先が様々な言語で表示されるのを見かけるようになった。ネット上では「日本人が利用しづらい」などと否定的な意見もあるが、実情はどうなのか。駅を歩いてみた。
「正直邪魔」「うっとうしい」「日本語と英語だけでいい」。英語、中国語、韓国語を含めた多言語表示に対し、ネット上では、こうした批判も飛び交う。特定の外国語表記を指して「迷惑だ」というSNSの投稿もあった。
記者は2月下旬、東京・池袋駅を訪れた。東武東上線の改札にある電光掲示板では、行き先の表記が秒単位で変化していた。日本語10秒→英語8秒→中国語4秒→韓国語4秒と流れ、1周するのに26秒かかる。
東武鉄道は多言語表示にした理由について、「外国のお客様もいるため」と説明する。SNS上での批判的な意見に対しては「案内の参考にさせていただく」という。
利用客にも尋ねてみた。
■「丁寧で良いと思う」
通勤のために週1~2回、東武東上線を使うという20代男性は「時間の確認のために電光掲示板はよく見る」と言う。多言語表示については「気にならないですね。英語も読めるし、漢字も読めるので」。
別の50代女性会社員も「英語と言ってもローマ字じゃないですか」と笑う。「日本の電車(の運行系統)は複雑。いろんな国の人が使いやすく、丁寧で良いと思う」と話す。
首都圏のある鉄道会社で働く男性(23)は「わずかな時間で情報を得たいという人の気持ちは理解できる」と言う。日本の鉄道は「世界一の定時運行」と言われるほど時間に正確で、多くの人がその時間に合わせて行動しているからだ。
ただ、それでも多言語表示は必要だと言う。駅員の人員削減が進むなか、案内が読めない人からの相談が押し寄せると、対応しきれない懸念があるからだ。「駅員を増やして対応することになれば、鉄道会社の経営を圧迫し、運賃アップの一因につながりかねない」と話す。
■鉄道各社の取り組みは
交通エコロジー・モビリティ財団の沢田大輔・バリアフリー推進部次長も駅員の負担軽減のためにも多言語化は有意義だとみる。一方、「ユーザーとして最も多い日本人に情報が届きにくくなってしまえば本末転倒だ」とも指摘する。
沢田さんは、外国人と日本人双方が不便しない対応として、掲示板を拡張して表示できる情報を増やす▽日本語→外国語→日本語と交互に日本語を表示させる▽常にひらがなのルビを振る▽音声と組み合わせて情報を伝える――が考えられるという。
実際、鉄道各社の多くは、外国人観光客向けの情報発信のあり方を示した国土交通省のガイドラインを踏まえつつ、工夫をこらしている。
東京都交通局では、駅や車内の表示は基本的に日英中韓の4言語だが、駅の掲示板などでは常に日本語を表示。4言語と日英の2言語を使い分ける京急電鉄も、駅に表示される行き先については日本語を常に表記する仕組みだ。東京メトロでは日本語と外国語を交互に表示しているほか、外国語には原則、ひらがなでルビをふっている。
京王電鉄は、災害時の情報発信も考慮して4言語を表示しているという。車内画面で日本語(漢字・ひらがな)を優先的に表示しており、これまでに日本語の表示時間が短いといった苦情などは確認されていないという。JR東日本と西武鉄道では、基本的に駅、車両ともに日英の2言語表示。西武鉄道は、一部の特急の車内表示に4言語を採り入れているという。
■数秒~十数秒待てば日本語表示
いずれも数秒から十数秒で日本語が出るのになぜ、多言語表示に対して批判的な声が上がるのか。 ヘイトスピーチに詳しい大阪公立大の明戸隆浩准教授(社会学)は、「掲示板の見にくさなどは実際にある問題で、誰にとっても見やすい案内板を目指すべきだという主張は理解できる。ただ、その問題に接続して『排除すればいい』という主張をあおる人がいる」と話す。「生活に関わる問題提起と、そこに接続しようとする排外主義を切り離す必要がある」と指摘する。
明戸准教授が背景にあるとみるのが、「将来不安」だ。「日本や世界の先行きへの不安が高まるなかで、社会的に立場の弱いマイノリティーがはけ口になりやすい」と言う。こうした排除をあおるような言説が広まることで、自治体や市民団体が地域の外国人向けに行っている多言語での生活情報や相談員サービスなども、「お金の無駄」と切り捨てられることを懸念する。
労働力不足の日本では今後も、外国人を受け入れ続けることになる見通しだ。「これからも言葉や文化の違いを乗り越える必要が出てくる。自分たちの利便性を損なうものは『排除すればいい』では共生できない」と話している。(平川仁、中野浩至)
■主な鉄道各社の行き先表示の例
【JR東日本】 駅では日本語と英語を表示
【京王電鉄】 駅の看板や車内案内では4言語(日英中韓)表記。車内では日本語を優先的に表示
【京急電鉄】 駅コンコースとホームの電光掲示板では4言語と2言語を表示。日本語は常時表示
【西武鉄道】 駅では日本語と英語を交互に表示
【東武鉄道】 駅構内と車内の案内は4言語表記
【東京都交通局】 基本的に4言語表記。駅の掲示板などでは日本語の漢字が常時表示
【東京メトロ】 駅では4言語表記。原則として日本語と外国語を交互に表示し、ひらがなのルビも併記(鉄道各社の回答から)
交通エコロジー・モビリティ財団の沢田大輔・バリアフリー推進部次長も駅員の負担軽減のためにも多言語化は有意義だとみる。一方、「ユーザーとして最も多い日本人に情報が届きにくくなってしまえば本末転倒だ」とも指摘する。
沢田さんは、外国人と日本人双方が不便しない対応として、掲示板を拡張して表示できる情報を増やす▽日本語→外国語→日本語と交互に日本語を表示させる▽常にひらがなのルビを振る▽音声と組み合わせて情報を伝える――が考えられるという。
実際、鉄道各社の多くは、外国人観光客向けの情報発信のあり方を示した国土交通省のガイドラインを踏まえつつ、工夫をこらしている。
東京都交通局では、駅や車内の表示は基本的に日英中韓の4言語だが、駅の掲示板などでは常に日本語を表示。4言語と日英の2言語を使い分ける京急電鉄も、駅に表示される行き先については日本語を常に表記する仕組みだ。東京メトロでは日本語と外国語を交互に表示しているほか、外国語には原則、ひらがなでルビをふっている。
京王電鉄は、災害時の情報発信も考慮して4言語を表示しているという。車内画面で日本語(漢字・ひらがな)を優先的に表示しており、これまでに日本語の表示時間が短いといった苦情などは確認されていないという。JR東日本と西武鉄道では、基本的に駅、車両ともに日英の2言語表示。西武鉄道は、一部の特急の車内表示に4言語を採り入れているという。
■数秒~十数秒待てば日本語表示
いずれも数秒から十数秒で日本語が出るのになぜ、多言語表示に対して批判的な声が上がるのか。 ヘイトスピーチに詳しい大阪公立大の明戸隆浩准教授(社会学)は、「掲示板の見にくさなどは実際にある問題で、誰にとっても見やすい案内板を目指すべきだという主張は理解できる。ただ、その問題に接続して『排除すればいい』という主張をあおる人がいる」と話す。「生活に関わる問題提起と、そこに接続しようとする排外主義を切り離す必要がある」と指摘する。
明戸准教授が背景にあるとみるのが、「将来不安」だ。「日本や世界の先行きへの不安が高まるなかで、社会的に立場の弱いマイノリティーがはけ口になりやすい」と言う。こうした排除をあおるような言説が広まることで、自治体や市民団体が地域の外国人向けに行っている多言語での生活情報や相談員サービスなども、「お金の無駄」と切り捨てられることを懸念する。
労働力不足の日本では今後も、外国人を受け入れ続けることになる見通しだ。「これからも言葉や文化の違いを乗り越える必要が出てくる。自分たちの利便性を損なうものは『排除すればいい』では共生できない」と話している。(平川仁、中野浩至)
■主な鉄道各社の行き先表示の例
【JR東日本】 駅では日本語と英語を表示
【京王電鉄】 駅の看板や車内案内では4言語(日英中韓)表記。車内では日本語を優先的に表示
【京急電鉄】 駅コンコースとホームの電光掲示板では4言語と2言語を表示。日本語は常時表示
【西武鉄道】 駅では日本語と英語を交互に表示
【東武鉄道】 駅構内と車内の案内は4言語表記
【東京都交通局】 基本的に4言語表記。駅の掲示板などでは日本語の漢字が常時表示
【東京メトロ】 駅では4言語表記。原則として日本語と外国語を交互に表示し、ひらがなのルビも併記(鉄道各社の回答から)

日本は未だに多文化共生を叫ぶサヨクさんが多いけど、外国人犯罪は凶悪化・集団化して国民の安寧を脅かしている
もう性善説前提の甘い論理は通用しない
specificasia
が
しました