(産経新聞 2025/3/11)
石破茂内閣は11日、1972年の日中共同声明について、地方自治体や首長、地方議会、地方議員は声明文にある「中国の立場を十分理解し、尊重」する法的義務の有無を尋ねた質問主意書に対し、「法的拘束力を有するものではない」とする答弁書を閣議決定した。声明について歴代内閣は法的拘束力を有しないとする立場を取っており、改めて地方議員らの活動を拘束するものではないことを示した形となる。
◇台湾交流中止要請を許容するのか
政治団体「NHKから国民を守る党」の浜田聡参院議員が質問主意書を提出した。
日中共同声明は、台湾の位置づけを「領土の不可分の一部」と表明する中国の立場について、日本政府は「十分理解し、尊重し」と定めている。
一方、2024年5月の台湾総統就任式の際、中国の薛剣駐大阪総領事は日本の与野党の国会議員に加え、首長や自治体職員、地方議員に「出席させるな」という要望書を発出した。同年6月の神戸市議会では、薛剣氏側が同市長宛てにファクスを送り「『就任式に出席せず』というような旨が、自治体幹部、あるいは議員に対し、コメントとして書かれていた」(市長室長)と明らかにされている。
それを踏まえて今回の質問主意書は「他国の外交官が、地方自治体や地方議員の台湾との交流や訪問に対して、中止を要請するという行為について政府は許容するのか」とただした。
◇神戸市議「地方の台湾交流が容認」
答弁書は、市長宛ての文書について「把握している。その他の宛先は網羅的に把握していない」とし、政府の対応について「現時点でお答えすることは控えたい」とするにとどめた。
薛剣氏は日中共同声明に関して「日本は一つの中国の原則について中国に厳粛な約束をした」とし、新総統に就任した頼清徳氏を挙げて「日本側が『台湾独立』勢力とのいかなる公的な付き合いや交流も約束違反」と主張する文書を与野党の国会議員に送付した経緯がある。
当時、市長室長と質疑した神戸市の上畠寛弘市議(自民党)は11日、産経新聞の取材に日中共同声明に関する今回の政府答弁書について「質問としては地方議員に関して尋ねられたものだ。地方議員や地方自治体の台湾との交流が容認されるということだ」と歓迎し、薛剣氏の主張について「根拠がなくなった」と語った。

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