(八重山日報 2025/05/07)
 3日に民間機で尖閣諸島(石垣市)上空に向かったとされるパイロットの男性が6日までに、八重山日報の取材に応じ、当時の状況を証言した。新石垣空港を出発し、尖閣諸島上空まで10数㌔の距離に達したが、海上保安庁から無線で「周辺を航行する中国船からヘリが飛び立ったため危険」と退避を促す警告を受け、引き返したという。尖閣周辺海域では中国艦船が日本漁船の操業を妨害しているが、民間人が上空から尖閣諸島に接近するのも困難になっている現状が浮き彫りになった。

 民間機に搭乗していたのはパイロットの志磨弘章さん(81)=京都市=と知人数人。機材は志磨さんの自家用機だった。

 志磨さんによると、自家用機で石垣入りしたあと、3日午前11時40分ごろ、尖閣諸島上空に向かうため新石垣空港を離陸。0時20分ごろ、尖閣諸島に10数㌔まで迫った時、海保から無線が入った。中国船に搭載されたヘリが飛び立ったため「大変危険なので、この海域から退避せよ」と促された。

 志磨さんが尖閣諸島問題に関心を持ったのは2010年、尖閣沖で中国漁船が海保の巡視船に衝突した事件がきっかけ。逮捕した中国人船長を釈放した民主党政権の対応に疑問を抱いた。

 2015年には大阪航空局にフライトプランを提出し、自家用機で尖閣諸島上空を飛行。島々の写真も撮影した。当時、周辺海域で中国船の姿は確認できなかったが、巡視船は見えた。

 志磨さんは「民主党政権時の対応で、中国は『日本はちょっと脅せばすぐに逃げる』と思っているのではないか。今、尖閣諸島を守っているのは海保だが、国民として海保にすべて任せ、知らん顔をしているわけにはいかない」と強調。「一石を投じる意味があると思って今回(尖閣諸島上空への飛行を)実行した」と話した。


(産経新聞 2025/05/08)

石破茂首相と政府は平和ボケで事の重大性を分かっていないようだ。中国ヘリによる領空侵犯がはらむ危うさに気付き、態勢強化を図らなければ国を守り抜くことは難しい。

沖縄県・尖閣諸島周辺で3日、領海に侵入した中国海警局船からヘリコプター1機が飛び立ち領空を侵犯し、航空自衛隊のF15戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。当時、日本の小型民間機が周辺を飛んでいた。

外務省の船越健裕事務次官が中国の呉江浩駐日大使に厳重抗議し再発防止を求めた。

一方、中国外務省は駐北京の日本大使館の公使を呼び、日本の民間機が「中国の領空に不法に侵入した」と抗議した
。

尖閣諸島は日本固有の領土である。中国は共産党機関紙「人民日報」(昭和28年1月8日付)が、日本の琉球諸島を構成する島々に尖閣諸島を挙げたのを思い出すべきで、海警局には尖閣海域で法執行する権利はない。領空侵犯は許されず、尖閣海域から出ていくべきだ。

石破政権の対応が中途半端なのは情けない。今回の事件は昨夏の中国軍機による長崎県・男女群島沖での領空侵犯に匹敵するか、またはそれ以上の問題だ。石破首相や岩屋毅外相は怒りの声をあげるべきなのにそうしていない。態勢強化の指示も出していない。腰が引けた姿勢では空も海も島も守れまい。

今回の領空侵犯は、高速で飛ぶ空自ジェット戦闘機によって低速のヘリや小型ドローン(無人機)に対処する難しさを示した。鶏を割くに牛刀を用いるようなもので、侵犯が続けば空自は奔命に疲れるだけだ。

このままでは、中国のヘリやドローンがわが物顔で飛びかねない。中国ヘリが尖閣諸島に容易に着陸し、占拠できる状態を放置してはならない。

領空侵犯対応は2つの面で改善すべきだ。第1は、比較的低速のプロペラ機の戦闘機や、ヘリ、ドローンで対処する態勢の構築だ。第2は対応の主体の拡大だ。領空侵犯は自衛隊だけの任務で、尖閣諸島近傍にいる海上保安庁や沖縄県警には権限、任務が与えられていない。

眼前の脅威への備えを講じるのは国民に対する政府の義務だ。石破首相や国家安全保障局(NSS)は指導力を発揮し、できるだけ早期に効果的な態勢を確立してもらいたい。