(毎日新聞 2025/05/09)
 在留カードを偽造したとして、警視庁国際犯罪対策課は9日、いずれも中国籍で東京都大田区蒲田2の無職、杜晶江(としょうこう)(35)、李龍(りりゅう)(36)の両被告を入管難民法違反(在留カード偽造)の疑いで再逮捕したと発表した。

 再逮捕容疑は4月8日ごろ、大田区のビル1室の自宅で、ベトナム、スリランカ、中国など7カ国の外国人の在留カード30枚を偽造したとしている。容疑を認めているという。

 警視庁によると、2024年11月~今年3月、偽造カードを毎日約50枚作製して1枚1万円で販売し、約7500万円を売り上げたとみられる。SNS(交流サイト)上に広告を出し注文を受け付けていた。

 自宅から押収したパソコンからは、マイナンバーカードや戸籍謄本、学生証など外国人や日本人名義の偽造データ約1万件が見つかった。データは中国国内の指示役から送られたとみられる。

 2人は技能実習生として入国。4月、出入国管理法違反(不法残留)の疑いで逮捕、起訴されていた。【朝比奈由佳】



 外国人に交付される在留カードを偽造して販売したとして、警視庁国際犯罪対策課は9日、入管難民法違反(在留カード偽造)の疑いで、いずれも中国籍で東京都大田区、無職の杜晶江(35)と李龍(36)の両容疑者を逮捕したと発表した。

 同課によると、複数のブローカーが交流サイト(SNS)で偽造在留カード受注の広告を公開し、客からの依頼を中国にいるとみられる指示役に伝達。指示を受けた両容疑者が偽造、郵送していたという。

◆マイナカードなど画像データ1万件、日本人名義も

 逮捕容疑では、4月8日、両容疑者の自宅で、パソコンとプリンターを使い、ベトナムや中国など7カ国の在留カード30枚を偽造したとされる。同課によると、いずれも容疑を認めている。杜容疑者は「(中国の通信アプリ)ウィーチャットの仕事募集掲示板で始めた」と話しているという。

 押収したパソコンには、在留カードのほかにマイナンバーカードや戸籍謄本、学生証などの画像データが1万件残されており、日本人名義の物もあった。昨年11月から今年3月まで、1枚1万円程度で販売していたとみて調べている。

 両容疑者は技能実習先の同僚だった。いずれも逃亡しており、4月に入管難民法違反(不法残留)容疑で逮捕、起訴された。
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◆下町の古いマンションの一室が「偽造工場」に

 逮捕された中国籍の2容疑者は、特別な機材を使わずに「簡単には見分けがつかない」(捜査幹部)ほど精巧な偽造在留カードを量産していた。偽造カードはさまざまな事情から不法残留する外国人が働くために使われているが、企業のチェック体制は道半ばとの指摘がある。

 「偽造工場」は、大田区の下町に溶け込む古いマンションの一室にあった。杜晶江、李龍の両容疑者の自宅兼作業所にあった機材はパソコンとプリンター、裁断機程度。指示役から送られてきたデータを白紙のカードに印字すれば完成する。同庁国際犯罪対策課によると、杜容疑者は「1日50枚くらい作った」と供述しているという。

 在留カードは3カ月を超えて滞在する外国人に交付され、雇用主は確認の義務を負う。今回の偽造カードは本物同様の大きさで、偽造防止のためのホログラム入りラミネート加工も施されていた。識別番号は実在の番号を不正に入手して記載。顔写真や名前にひも付かない出入国在留管理庁の番号照会専用サイトをくぐり抜けるには、十分だったようだ。

◆偽造対策にアプリを導入していたのに

 こうした偽造カード対策として、入管庁は2020年末からカードのICチップを読み取るアプリを導入。警察庁によると偽造カードの所持・行使罪などの摘発件数は790件を記録した2020年まで右肩上がりで、入管庁がアプリを導入した翌年に減少に転じ、昨年は401件だった。

 ただ、外国人の雇用問題に詳しい杉田昌平弁護士によると、アプリを活用する企業は一部にとどまり、「カード確認の義務を知らない企業も少なくない」と明かす。コロナ禍後、外国人も再び増えており、「偽造カードが大量に流通すれば仕事が不当に奪われ、経済の安定が損なわれる。企業は、そもそも不法就労に追い込まれない労働環境をつくるとともに、チェック体制を強化するべきだ」と話した。(米田怜央)