(共同通信 2025/05/17)
韓国国防省傘下の韓国国防研究院は17日までに、北朝鮮がロシアへの派兵や弾薬供与などの軍事支援で得た経済効果は総額で約28兆7千億ウォン(約3兆円)に上るとの推計を発表した。現金だけでなく兵器の現物取引や技術開発支援の費用も盛り込んだ。北朝鮮の軍事開発に充当される恐れがあると指摘している。

弾薬や砲弾の供与の割合が最も大きく約27兆4千億ウォンと算出。短距離弾道ミサイルや対戦車兵器、122ミリと152ミリの砲弾、長射程砲などが対象で、コンテナ2万1千個分を船舶で輸送したほか列車や航空便でも搬出した可能性に言及した。
派兵支援の効果は約4千億ウォンと見込んだ。
(朝日新聞 2025/05/19)
北朝鮮の核・ミサイル開発が事実上、野放しの状態だ。ロシアとの蜜月も深まっている。国際社会は北朝鮮の暴走を看過すべきではない。
核など軍事力増強にしがみつく北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記にとって最大の追い風は、ロシアとの軍事協力だ。昨年、どちらかが武力侵攻されて戦争状態になったら「軍事的およびその他の援助を提供する」と明記した条約を結んだ。
ロシアはウクライナ侵攻で兵力や砲弾が不足している。北朝鮮はロシアからの軍事技術の供与を期待する。利害の一致がロシアへの北朝鮮兵の派遣につながった。
両国は条約に基づく派遣と主張するが、国際法などに反するロシアのウクライナ侵攻に北朝鮮が加担したことにほかならない。
韓国の情報当局は、北朝鮮兵の約600人が死亡し、4千人以上が負傷したと推計している。それでも金総書記は核・ミサイル開発へのロシアの支援拡大を期待し、自国の兵士の犠牲をいとわなかったとみられる。
北朝鮮は、今年が最終年となる国防5カ年計画に沿って核・ミサイル開発を加速している。スウェーデンの研究機関の昨年の推計によれば、核弾頭約50発を保有している。前年より20発増やした。軍事偵察衛星や米国の本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発などに力を入れている。
5月8日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射した。ロシアへの輸出を念頭に置いた性能の点検だった可能性があるとの指摘も出ている。
国連安全保障理事会のもと北朝鮮の違法行為や制裁の履行状況を監視し、定期的に報告書を出してきた専門家パネルが昨年4月、ロシアの拒否権で活動終了を余儀なくされた。暗号資産を狙ったサイバー攻撃など、北朝鮮の関与が疑われる国際犯罪への監視の目が弱まった。
日米韓3カ国は、連携して北朝鮮に向き合ってきたが、トランプ米大統領は1期目に続き、北朝鮮との対話に意欲を見せている。問題は何をめざすかだ。トランプ氏が日韓の頭越しに北朝鮮を「核保有国」と認めてしまうのではないかとの懸念は残る。
韓国では6月に大統領選を経て新政権が発足する。対北朝鮮政策の方向性は見通せないが、直面する脅威への対応は日韓が共にする課題だ。
今後も日米韓の認識の共有と連携は欠かせない。北朝鮮に一定の影響力を持つ中国も巻き込み、北朝鮮に非核化を迫る構えを立て直すべき局面を迎えている。

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