(朝日新聞 2025/06/19)
 東京都議選の杉並区から無所属[社民党・新社会党 推薦]で立候補している金正則氏(70)と金氏の事務所が18日、SNSを中心に自身へのヘイトスピーチが繰り返されているとして、「公正な選挙への妨害で、民主主義への攻撃ともいえる」との抗議声明を発表した。街頭演説でもスタッフが嫌がらせや差別的言動を受けていると訴えている。

 金氏は在日コリアンで、68歳のときに日本国籍を取得したことを公表している。

 事務所によると、SNS上で現在、「在日いらん」「自分の国に帰ってくれ」といった内容の書き込みが大量に確認されているという。これまでも街頭で「朝鮮人じゃないか」と言われたほか、事務所をのぞき込まれて「在日!」と叫ばれたこともあったという。

 都議選告示を前にした9日、杉並区での諸派の立候補予定者が記者会見をした際、同席した埼玉県戸田市の河合悠祐市議が金氏を名指しして「売国奴とも言うべき候補者がいる」などと発言。金氏の事務所によると、この会見内容がSNSで広がった後にヘイトスピーチが増えたという。

 金氏と事務所は声明で「選挙活動を行うための環境が、危険にさらされている。すべてのヘイトスピーチに対し強く抗議する」と主張している。



 参院選への前哨戦と位置付けられる東京都議会選挙は6月22日に投開票日を迎える。42ある選挙区の中で最大の激戦区と言われているのが杉並選挙区だ。定数6に対して17人の候補者が乱立し、「身内」同士が激突。在日コリアン3世候補と「外国人優遇反対」を訴える候補がいがみ合い、警察が出動する騒ぎまで起きている。(略)

◇「ヘイトはやめろ」「外国人は出ていけ」警察まで出動

 一方、左派はどうかというと、

「こちらも、共産、立憲、生活者ネットワーク、れいわが激しくしのぎを削っている状態で、まさに四つ巴という様相。特に共産党とれいわは支持層が被り、お互いを激しくライバル視しています。左派が割れる中、毎回、7位8位と、一定の票を獲得してきた生活が漁夫の利で最後の1議席を奪取するのではという見方もあります」(同)

 そんな上位争いとは別に、下位では穏やかではないいがみ合いが起きている。社民党候補[無所属 社民党・新社会党 推薦]で在日コリアン3世の金正則氏と、日本保守党候補で元杉並区議の佐々木千夏氏の両陣営だ。

 金氏は23年に日本国籍を取ったばかりの市場分析会社社長。ヘイトスピーチのSNS投稿をされたと高校時代の同級生の男性相手に訴訟を起こし、勝訴したことで知られる。

一方、佐々木氏が所属する日本保守党とは、百田尚樹氏が党首を務める同名の党とは別の政治団体で、外国人優遇反対を訴えている
。

「週末、外国人排斥論者で知られる埼玉県戸田市議の『ジョーカー議員』こと河合ゆうすけ氏が佐々木氏の応援に駆けつけ、高円寺駅前では『ヘイトはやめろ』『外国人は出ていけ』と怒号が飛び交い、警察まで出動する騒ぎになりました」(同)(略)