(八重山日報 2025/08/18)
石垣市の中山義隆前市長(58)=自民、公明推薦=の失職に伴う出直し市長選は17日投開票され、中山氏が1万2923票を獲得、新人で前市議の砥板芳行氏(55)に1799票差をつけ、市政史上初となる5選を果たした。台湾航路開設事業をはじめ、中山氏が推進した主要事業が継続される。中山氏は自衛隊や尖閣諸島問題への対応など、自公政権との連携を重視した安全保障政策にも引き続き取り組むことになりそうだ。
今選挙は国保特別会計を巡る文書改ざんを受け、市議会で不信任決議を受けた中山氏が失職後、再出馬した初の出直し選。前回2022年市長選に続き、中山氏と砥板氏が一騎打ちの激戦を展開した。投票率は63%で、前回市長選を7・54ポイント下回り、過去最低となった。
中山氏は過去4回の市長選と同様の自公選挙協力体制を構築し、基礎票で優位に。台湾航路開設、ゴルフ場建設推進など、在任中に進めた事業の継続を訴えた。
「島を守る、人を守る」をスローガンに掲げ、4期15年の実績を訴えて多選批判をかわした。
砥板氏は「変えよう長期政権」「市民ファースト」を掲げ、中山氏の多選や、失職に至った経緯を厳しく批判。革新層を支持基盤としたが「オール沖縄」は名乗らず、行き過ぎた革新色を抑えて保守中道層にもアプローチした。
だが革新層以外への浸透が進まず、接戦に持ち込んだものの、前回市長選に続く苦杯をなめた。
中山氏の当選で、株式会社商船やいまが事業主体となって進めている台湾航路開設は、今秋の就航実現へ前進する。
中山氏は今後、県の開発許可や農地転用許可が出た株式会社ユニマットプレシャスのゴルフ場建設計画も、企業側に早期着工を働き掛けると見られる。
自衛隊石垣駐屯地の増強、日米共同訓練には自公政権と連携して柔軟に対応。台湾有事をにらんだ国民保護計画は政府にさらなる内容の充実を求める考えだ。
尖閣諸島問題では、周辺海域の現地調査や、政府への上陸許可申請など、在任中から進めてきた実効支配強化の政策に今後も取り組む。
中山氏の当選で、県内11市では「オール沖縄」勢力の支援を受けた市長が引き続きゼロに。市長選の結果は来年の知事選にも影響しそうだ。
(産経新聞 2025/08/17 )
尖閣諸島を抱える沖縄県石垣市で、議会から不信任決議を受けた中山義隆氏(58)の失職に伴う市長選が17日投開票され、無所属前職の中山氏=自民、公明推薦=の5選が確実となった。玉城デニー沖縄県知事を支持する「オール沖縄」勢力から実質的な支援を受けた無所属新人の砥板(といた)芳行氏(55)は及ばなかった。選挙結果によっては国の安全保障政策に影響を与える可能性もあったが、国境の島で暮らす市民は中山市政の継続を選択した。
「尖閣諸島の守りの手を緩めたり、中国に配慮するような発言が前に出たりすれば、国際的にも誤ったメッセージを発信してしまう」
中山氏はこう懸念し、有事の際に住民が一時避難できるシェルターの整備や危機管理体制の強化を選挙戦で訴えてきた。
これに対し、砥板氏は「非現実的な避難計画より島を戦場にさせないことを求める」と強調。政府の防衛力整備計画や陸上自衛隊石垣駐屯地の拡大強化に慎重な姿勢を示し、有事に備えた石垣空港の特定利用空港指定、日米共同の軍事訓練には反対の立場を取った。
市議会では執行部が出した専決処分の議案を巡り、決裁の日付の改竄や市の担当課長による虚偽答弁が発覚。6月に中山氏への不信任決議が可決された経緯があり、砥板氏は選挙戦で「独善的な市政運営、長期政権の弊害ここに極まる」と中山氏の政治手法と「多選」批判を展開した。
一方で、選挙事務所には玉城知事をはじめ共産党などオール沖縄勢力の国会議員の「為書き」が並んでいるのに「オール沖縄と連携していない」としてオール沖縄色を排除した。保革問わず「反中山」票を取り込む狙いがあったと考えられる。
尖閣周辺の海域では武装化した中国海警船の航行が常態化しているが、力による一方的な現状変更の試みを先鋭化させている中国に、沖縄県の玉城デニー知事は抗議しない考えを崩していない。
市政刷新を掲げるオール沖縄系市長が誕生していたら、尖閣に関する市のさまざまな施策も後退しかねなかった。過去3度行ってきた尖閣周辺の海洋調査なども、オール沖縄県政と同様に、中国側に配慮して見直される可能性があったためだ。
石垣市は国防の最前線だ。それだけに、この市長選の結果が持つ意味は大きい。尖閣「防衛」に弾みがつきそうだ。(大竹直樹)
▽石垣市長選開票結果(選管最終)
当12923中山義隆 無前
11124砥板芳行 無新

わずか1800票差に震撼した
※石垣市の選挙人総数は39千人余り
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