【こちら特報部】「外国人採用見直し」アンケート、答えられるのは「日本国籍」住民だけ 三重県のやり方は「二重差別では」(東京新聞 2026/01/25)
三重県の一見(いちみ)勝之知事が、外国籍職員の採用を取りやめる方向で検討しているとした発言を受け、外国人の人権問題に取り組んできた7団体が、国会内で記者会見した。国籍を理由に情報漏えいを疑うのは「外国人への偏見に基づいた差別そのもの」として、発言の撤回を求めるとともに、日本人のみを対象として採用の継続を問う県民アンケートの中止を求めた。(安藤恭子)
◆「外国人は情報漏洩するだろうという偏見を根拠にした人権侵害」
「国籍要件自体が差別なのに、アンケートも『外国人は危ない人ですよ』と拡散するような内容。二重の差別にあたる」
首都圏や関西の7団体が共同で行った22日の記者会見で、「外国人人権法連絡会」の殷(いん)勇基弁護士がこう危ぶんだ。
一見知事が「情報漏えいの観点から、見直した方がいいと思っている」と発言したのは昨年12月25日の記者会見。一般事務職などの外国人採用を巡り、1999年度から撤廃していた「国籍要件」の復活を検討するとした。「機微にわたる情報」として、県民の個人情報や伊勢神宮を参拝する要人の動線などを挙げた。
同連絡会は、この日の会見に先立ち声明を発表。一見知事の発言は、外国籍職員が情報漏えいを行うだろうという「偏見」を根拠とする「『公務就任権』という人権の侵害」と指摘し、憲法が保障する職業選択の自由も侵されるとした。
◆「明文化された法規定ないのに」70年前の見解を「拡大解釈」
「兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会」は、三重を含む12府県と政令指定都市の20市全てが国籍要件を撤廃しているが、外国籍の職員は、昇任や職種で制約を受けていると報告。
その根拠とされる「公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を要する」という内閣法制局の1953年の見解を挙げ、「明文化された法規定がないのに、この見解が拡大解釈されてきた」と問題視した。
「いま働いている外国籍の職員は、どうなるんですか?」。高校卒業後、兵庫県尼崎市役所に入庁した黄光男(ファンクァンナム)さん(70)は会見で、こう問いかけた。
建築職として都市計画の許認可に携わり、今も後進を指導している。「私の仕事は日本人職員と同じ。公権力行使に当たるかどうか、考える暇はない。与えられた職務を粛々と遂行してきた」と振り返り、「三重の方針は絶対に許されない」と力を込めた。
◆当事者除外の調査は「国際人権の原則に反する」
高校教員として外国籍の生徒と向き合ってきた「全国在日外国人教育研究協議会」の小綿(こわた)剛さん(70)も「公務員を志望する子がいた時に、外国人は『情報漏えいするかもしれないから、受けちゃダメという県がある』とは、とても言えない。聞いた子どもがどんな気持ちになるだろうか、胸が痛くなる」と明かした。
三重県は26日から、日本国籍の住民を対象とする「みえ県民1万人アンケート」を始め、最終判断に向けた検討材料とする。前出の殷弁護士は「当事者の外国籍住民を除外するのは、『Nothing About Us Without Us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)』という国際人権の原則に反する」と主張した。
三重県は今後、外国籍住民の声を聴くつもりはあるのか。「こちら特報部」の取材に、人事課の担当者は「さまざまな意見を把握している。多文化共生に反しない形で、丁寧に適切に、検討を進めていきたい」と述べるにとどめた。
「移住者と連帯する全国ネットワーク」共同代表理事の鈴木江理子・国士舘大教授は、政府が打ち出している「秩序ある共生社会の実現」という言葉の下で、「外国人の規制強化が進められている」と指摘した。「行政に都合のいい多文化共生ではなく、権利の主体として外国人を位置付け、対等な人間として共に生きる社会をつくりたい」と述べた。
(朝日新聞 2026/01/25)
三重県の一見(いちみ)勝之知事が、一般事務を中心に外国籍職員の採用を見直す方針を示した。26日から始まる県内有権者1万人へのアンケートなどを踏まえて判断するという。方針の撤回を求めたい。
職員採用で国籍要件を廃止する自治体が出てきたのは、1970年代。当時の背景には在日韓国・朝鮮人への就職差別問題があり、要件撤廃を求める動きが続いてきた。
国は「公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員には日本国籍を必要とする」として、自治体でも外国籍採用は適当ではないとする。しかし、96年に当時の自治相(現総務相)は「運用の面において工夫をし、適切な措置を講じれば解決の道は開かれる」との談話を発表した。国籍差別の解消と国際化の流れなどから、要件廃止は各地に広がった。
三重県も99年度実施の採用試験から一般事務職の国籍要件を廃止。許認可や立ち入り検査といった公権力の行使が業務の大半の5職種のみに残す。県によると、三重を含む12府県が一般事務職の国籍要件を廃止している。
しかし一見知事は、一般事務職員も県民の個人情報や要人の動静、インフラや種苗開発の重要な情報に触れられると指摘。特定の国を名指しせずに「秘密を他国の法律に基づいて漏らしてしまう可能性が出てきた」と、見直しの必要性を主張する。中国企業や国民に諜報(ちょうほう)活動への協力を義務づけた中国の「国家情報法」を意識したものとみられるが、外国人をスパイ視するような偏見を招きかねない。
国籍に関係なく職員が情報を漏らす可能性はある。取るべきは個別の漏洩(ろうえい)対策だ。三重県の方針へ感想を問われた愛知県の大村秀章知事は「情報管理は外国籍を含めた職員に周知徹底しており、外国籍職員の情報漏洩はない」と、国籍要件復活を否定する。
三重県のアンケートでは「公務員の守秘義務に抵触する事案の発生」が懸念されるとして外国人採用の是非を問う。人権団体だけでなく、県内の複数の市長からも差別や偏見を助長する恐れが指摘されている。県はアンケートから質問を削除すべきだろう。
三重県は90年代に自動車や電機の関連工場などで働く南米の日系人が増え始めた。昨年6月末現在で7万1千人の外国人が暮らす。全国知事会は昨年11月、多文化共生社会の実現を目指す共同宣言をまとめた。外国籍住民の地域社会への包摂に向けて自治体は職員への門戸を広げるときなのに、三重県の方針は流れに逆行する。再考が必要だ。

在日半島人に関しては特別永住許可取消・制度廃止して国外追放しようぜ
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