(朝日新聞 2026/03/25)
中国で入院したとして医療保険の「入院一時金」を請求するケースが、複数の生命保険会社で急増していることが分かった。病名は入院しなくても治ることが多いという胃腸炎が大半で、生保側は一時金を目的にした「不要な入院」が多いとみている。
入院一時金は、病気やけがで入院した際、入院日数に関わらず、一括で支給される保険商品だ。日帰りや短期の入院でも、5万~30万円ほどがまとめて支払われる。
関係者によると、複数の生保で、契約後1年以内といった短期間で、中国の医療機関に入院したとして一時金を請求する例が増えている。

■2年で請求20倍
ある大手生保では中国分が2024年度は約1万3千件に上り、650件ほどだった22年度の約20倍に膨らんだ。25年度はさらに増える見通しだという。
入院先は特定の複数の医療機関に集中。病名は、基本的に自宅療養で済む場合が多いとされる胃腸炎が大半を占めるという。
民間の医療保険は、国内に居住実態があれば、国籍に関わらず原則契約できる。海外で受診しても、入院証明書があれば一時金は請求できる。
■春節で中国へ…
生保関係者は「春節(旧正月)などの長期休暇で日本から中国に行き、日本では入院が認められない軽度の疾患で入院して請求するケースが多い。生保側は契約上、支払わざるを得ない」と指摘。中国の医療機関を利用した、一時金目当ての不要な入院が急増しているとみている。
こうした保険制度を悪用した「モラルリスク」を防ぐため、複数の生保は審査の厳格化に乗り出した。病名が軽度の場合や、入院先が特定の医療機関の場合は、実態を調べるという。
金融庁も、複数の生保から聞き取り調査を行い、事態把握を進めている。
■睡眠時無呼吸症候群でも悪用
入院一時金は、日数計算が不要という支払い基準の分かりやすさから人気で、生保各社が販売に力を入れる。複数の保険商品を扱う乗り合い代理店も盛んに勧めている。
だが、モラルリスクで保険金の支払いが増えれば、全体の保険料が引き上げられて一般の契約者が損をする。
入院一時金が悪用された例は他にもあった。複数社の医療保険に加入した上で、国内で睡眠時無呼吸症候群の検査入院をし、多額の一時金を得るケースが数年前から急増。生保側は支払いを制限する対応をとった。(柴田秀並)
(朝日新聞 2026/04/10)
中国で入院したとして民間の医療保険の「入院一時金」を請求するケースが急増している問題で、片山さつき金融担当相は10日、「(契約者間の)公平性が疑われる」と述べ、問題視していることを明らかにした。生命保険会社の審査が適切に機能しているかなどを調べる考えも示した。
この問題は、契約後1年以内といった短期間のうちに中国の医療機関に入院したとして、一時金を請求する例が複数の生保で急増しているもの。日本では入院が認められない軽度の疾患で入院して請求するケースが多いという。生保側は中国の医療機関を利用した「一時金目当ての不要な入院」が大半とみている。
同日の閣議後会見で片山氏は「契約者間の公平性の確保や、適切な(一時金の)支払い管理は非常に重要だ」と語った。不要な入院が疑われる請求に生保各社が応じ続けた結果、保険料の上昇につながれば、関係のない契約者にまで不利益が及びかねないからだ。
一時金は高い場合には数十万円に設定されているケースもある。片山氏は、10万円ほどに下げる商品改定など「不公平性が疑われることが起きないよう(生保が)対応を取っている」と明らかにした。そのうえで「(生保の)業務運営がきちんと確保されるために、支払い管理や商品そのもののスキームも含めて確認していく」と述べた。
民間の医療保険は、国内に居住実態があれば、国籍に関わらず契約できるのが原則だ。海外で受診しても、入院証明書があれば一時金は請求できる。生保側が不要な入院だとみても、契約上一時金を支払わざるを得ないケースもあるとみられる。
ある大手生保では中国で入院したとして申請された件数が2024年度は約1万3千件に上り、650件ほどだった22年度の約20倍に膨らんだ。25年度はさらに増える見通し。入院先は特定の複数の医療機関に集中し、基本的に自宅療養で済む場合が多いとされる胃腸炎が大半を占めたという。(柴田秀並)

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