(朝鮮日報 2026/10/26)
 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は19日、北朝鮮の核に言及しつつ「核兵器というもので実戦を戦うつもりなのか」と述べた。「それは最後の防御兵器に当たる」とも語った。韓半島で戦争が起きても、金正恩(キム・ジョンウン)は核を使わないか、先制攻撃はしないだろう―という意味だ。

 北朝鮮の金正恩総書記は第9回朝鮮労働党大会の報告で「韓国の完全崩壊の可能性は排除できない」と述べた。これは、韓半島有事の際に核攻撃で韓国国民を皆殺しにできるという意味で、公然たる脅迫だ。2023年に憲法を改正して核保有を明記したかと思えば、連日のように韓国を核攻撃できるミサイルシステムを改良している。既存の弾道ミサイルに極超音速ミサイル、潜水艦発射ミサイル、ドローンなどを混ぜて発射すれば、韓米連合軍も事実上、迎撃は不可能だ。このうち数発が韓国に落ちるだけでも壊滅的な打撃を受ける。

 金正恩が「最も敵対的な実体である韓国を同族という範疇から永遠に排除する」と宣言して以降、北朝鮮軍の核運用は攻勢的に変わりつつある。核搭載が可能な放射砲(多連装ロケット)などを最前線に展開している。通常戦力の戦略では韓国軍が優位にあることは、金正恩もよく知っている。韓半島有事の際、北朝鮮が通常戦力だけで対応すると、どうして自信を持って予測できるのか。金正恩自身も正確には分からないだろう。むやみに核を使うはずはないが、極端な状況に追い込まれれば、どのような突発的決定が下されるか誰にも断定できない。

 李大統領は、韓国の国防費は北朝鮮のGDPの1.5倍で、軍事力は世界5位だと述べた。これは核を除いた評価だ。北朝鮮の核一つだけでも、韓国の軍事力全体を相殺して余りある可能性がある。それが核だ。核には核でしか対応できないが、現在の韓米同盟を見れば、米国の「核の傘」が適時に開くかどうかは誰にも保証できない。現在の国軍統帥権者である大統領は、北朝鮮が「まさか」核を使うだろうか、「まさか」韓国を先制攻撃するだろうか、という考えを持っているようだ。

 金大中(キム・デジュン)元大統領は、北朝鮮が核を開発するはずがないと述べた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は、北朝鮮には核を開発する能力がないと言っていたが、核実験を行うと、北朝鮮の核は「防衛用」だと主張した。それでどうなったか。

 国家安全保障とは、最悪の状況を想定して備えることだ。北朝鮮の意図は正確には分からず、いつでも変わり得る。国民の生命と財産を守るには、相手の意図ではなく能力に基づいて安保戦略を組み立てなければならない。