日本の宇宙実験施設「きぼう」、アジアに無償開放
(日経新聞 2011/1/17)


韓国の機材、2013年にも打ち上げ

 政府は、日本が国際宇宙ステーション(ISS)に構える宇宙実験施設「きぼう」をアジア各国の研究開発に開放する。韓国航空宇宙研究院と生命工学や材料分野で連携し、韓国側の試験機材を日本が2013年にも打ち上げる。インドネシアやタイなど4カ国とも植物研究で合意。種子を20日発射の国産宇宙輸送機で運ぶ。宇宙の実験場を無償提供し、宇宙産業の育成を急ぐアジアの需要を取り込む。

 政府の宇宙開発戦略本部(本部長・菅直人首相)は、宇宙技術を海外に売り込むことを成長戦略に掲げる。独立行政法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)に「きぼうアジア利用推進室」を設け、昨夏からきぼうの活用策を検討してきた。

 ISSは日米欧ロなどの世界15カ国が参加する。アジアは日本に限られる。きぼうは機器スペースなど利用権の51%を日本、49%をISS推進役の米国が保有する。

 日本分について日本は自国かISS参加国の利用にこだわってきたが、アジアに門戸を開く方針に転換する。中国が11年から独自に宇宙基地の建設を始める見通し。日本はアジアと協力関係を築き、存在感を高める。

 20日に鹿児島県から打ち上げる国産宇宙輸送機「HTV2号機」にマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムが選んだトウガラシやトマトなどの種子を搭載。きぼうの無重量空間で数カ月保管。品種改良に役立てる。

 JAXAと韓国航空宇宙研究院は年内に、細胞培養など4分野で研究計画を策定。きぼうに持ち込む予定の韓国製の機材を共同利用する。インドネシア国立航空宇宙研究所とは主要農産物のバナナの研究を検討。熟して黄色くなる仕組みを探る。地上で鮮度を保つ方法を見つける。

 きぼうは地上約400キロメートルの上空を周回するISSにある施設。米ロの支援で日本人宇宙飛行士が断続的に滞在し、実験にあたる。日本が約7000億円かけて09年に完成。運用に日本は年約400億円を負担する。当初15年までの運用期間を5年延長する方針がこのほど決まった。 



「きぼう」開放 アジアの衛星打ち上げ需要取り込み
(日経新聞 2011/1/17)


 日本の有人宇宙実験施設「きぼう」の開放は、今後大きな需要が見込まれるアジア地域の人工衛星打ち上げビジネスを取り込む有力な交渉材料になる。

 世界の宇宙開発は、技術力や実績で米国とロシアが突出する。中国やインドなど新興国が追い上げ、勢力図が変わろうとしている。

 アジアでは人工衛星の打ち上げ技術を持つのは、日本と中国、インド。なかでも日本の主力ロケット「H2A」の打ち上げ成功率は94.4%と欧米と肩を並べる。中国、インドを抑えて高い信頼性を持つ。

 飛行士が活動する有人宇宙開発では、日本は中国に先を越される。だが宇宙飛行士の長期滞在やそれに伴う研究の蓄積は国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加する日本に一日の長がある。

 日本が手がける宇宙の無重量実験も、アジア各国・地域は手が届かない。きぼうを使ってもらい、宇宙への関心を引き出せたら、将来の市場拡大につながる。災害監視や農業管理など衛星利用へアジアの興味が向けば、日本が人工衛星の製造からロケットの打ち上げ、衛星の運用まで一貫したサービスを提供できる。原子力発電所や高速鉄道といったインフラ輸出の一つになる。

 中国は2011年から独自で宇宙基地の建設を進める計画とされる。きぼうの有用性をアピールし、日本がアジア各国・地域と協力関係を築けるかはここ数年が勝負といえる。




これ↓を見ると、将来の宇宙産業の顧客の囲い込みというよりは、韓国が3年前に提案してきた「きぼうの無償利用」を受け入れただけのような気がしてしまいますね。



韓国人宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗する際の活動に関する
日本韓国間の協力について

平成20年1月17日
宇宙航空研究開発機構


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び韓国宇宙研究所(KARI)は、平成20年4月に国際宇宙ステーション(ISS)に初の韓国人宇宙飛行士として滞在するコ・サン氏のISS滞在期間中の活動について、協力を行うことになりましたのでお知らせいたします。宇宙飛行士に関する日韓協力はこれが初めてであり、JAXAとKARIは本日、ソウル市内で文部科学省と韓国科学技術部との間で開催された日韓局長級会合の席上、両機関による協力に正式に合意しました。

 具体的な協力内容は、以下のとおりです。

   1. JAXAが開発した個人被ばく線量計Crew PADLES(クルーパドレス)をコ・サン宇宙飛行士が携帯し、線量計測を行います。帰還後、JAXAが筑波宇宙センターで解析し、測定結果をKARIへ提供する予定です。なお、この個人被ばく線量計は、「きぼう」日本実験棟に搭乗する日本人宇宙飛行士が携帯する予定のものと同様のものです。

   2. JAXAが現在ISSに保有するハイビジョンカメラと小型ハイビジョン信号変換装置を使用し、教育、広報普及を目的とした映像の取得や将来の遠隔医療に向けた撮影実験を共同で実施する予定です。このハイビジョンカメラシステムは、JAXAと米国航空宇宙局(NASA)との協力により、平成19年 10月にISSへ打ち上げられたものです。

 また、ISSに打上げ予定である日本実験棟「きぼう」共同利用に向けた検討(フィージビリティスタディ)についての協力についても正式に合意しました。



宇宙開発委員会(第3回)議事録・配付資料

1.日時
  平成20年1月23日(水曜日)14時~14時40分

2.場所
  文部科学省18階 宇宙開発委員会会議室

3.4(略)

5.出席者

宇宙開発委員会委員長 松尾弘毅
宇宙開発委員会委員 青江 茂
宇宙開発委員会委員 池上徹彦
宇宙開発委員会委員 野本陽代
宇宙開発委員会委員 森尾 稔
文部科学省研究開発局長 藤田明博
文部科学省大臣官房政策評価審議官 藤嶋信夫
文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当) 片岡 洋

文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長

中川健朗
(説明者)
(独)宇宙航空研究開発機構月・惑星探査推進グループプログラムディレクター

川口淳一郎

(独)宇宙航空研究開発機構有人宇宙環境利用プログラムグループ
宇宙環境利用センター長
田中哲夫

6.議事内容

(1)議題1.『第一回国際始原天体探査ワーキンググループ(IPEWG)会議開催報告』
  (略)

(2)議題2.『韓国人宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに搭乗する際の活動
      に関する日本韓国間の協力について』

 委3-2について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(田中有人宇宙環境利用プログラムグループ宇宙環境利用センター長)より報告があった。

【青江委員】
 ロシアのソユーズで行く。有償か。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 KARIはロシアに打上げ、滞在の経費を支払ったと聞いている。

【青江委員】
 有償であるか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 はい。有償である。

【青江委員】
 「きぼう」を韓国にも利用してもらうとして、その際は有償か。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 今回の協力検討は、どちらかと言えば無償で相互利用を実現できないかという形。

【青江委員】
 何でそういうふうにするのか。とにかく先方に、自分たちの実験装置を作って「きぼう」に持っていって、そこで設置して使ってみようという意欲が出てきたわけである。そうしたら、
有償でどうぞお使いくださいということでは何でいけないのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 韓国サイドとしては、日本と共同で使いたいという提案があったので、それをまず検討するということでやっている。なお、韓国が自分の実験を独自で使いたい、韓国だけで使いたいという要望があれば、当然、有償という形になってくると思っている。

【青江委員】
 今回の初期の段階は、独自で利用するというところまでは行っていないということか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 韓国側からは、共同でやりたいということで提案いただいている。

【青江委員】
 日本側にとってメリットは。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 実験装置をどのようなものにするかは、日本と韓国の科学者の要望に基づいて設定していこうというのがこの目的であって、この装置が使えれば、日本の実験実施にも役立つということで協力できるのではないかというのがこの内容である。

【青江委員】

 日本の研究者が持っている関心テーマ、テーマそのものが日本のこの「きぼう」を使ってのサイエンスのテーマ、いろいろやろうとしている。それは一定の競争条理にある。それはきちんとしたスクリーニング、その場での競争にたえるものか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 もちろん、そういう内容になると思っている。今回の日本側の実験内容については、今後、日本の科学コミュニティの評価を得て最終的に判断すると予定している。

【青江委員】
 それには日本側にも一定の費用が当然かかる。それで、対価をいただけば本当は入ってくる。その分を足して、それだけのお金をかけても日本のサイエンス・コミュニティのレビューをパスするものだという保証はできるか。要は日韓協力だからといって下駄を履いたサイエンスのテーマではないのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 日本の研究者の実験内容については、日本できちっと評価して競争にたえ得るものであるという確認をして実施する予定である。

【青江委員】
 日本の研究者の実験をやるのなら、そのテーマは必ず費用との関係で、日本のサイエンス・コミュニティのフラットな競争にたえ得るものというものでなければやらないということになっているのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 はい。当然、費用対効果という考え方が入るとは思う。

【青江委員】
 それはどういう意味か。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 今回、我々の一つの実験を実施していくために必要となる、そういうような実験機会というものが確保された段階で、どう実施していくかというのが宇宙実験の進め方になっているし、今回は新しい実験装置が利用可能な場合には、それを日本の科学のフラットな評価の中で選んでやっていくというふうに考えている。

【森尾委員】
 韓国が開発する小型実験装置というのは、まだ決まっていないのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 まだ決まっていない。

【森尾委員】
 今の御質問とも関連するのだと思うけれども、日本のサイエンス・コミュニティが将来実験したいと思うことがいろいろある中で、JAXA(ジャクサ)がある一定のレベル、限られたスペースとかあるだろうから、レベル以上のものを選択して優先権を与えて実験するというふうにされると思うのだけれども、それと同じように韓国が提案される実験装置を本当に実行するかどうかも同じレベルで判断してされるのか。

【青江委員】
 韓国がやることについては、それは勝手にやってもらえばいいが、一方、正当な対価をいただいたらいいのではないかと思う。無償だというのだったら、それだけの日本側のこの実施するテーマ、これが日本のいわゆるサイエンス・コミュニティのこの中で、平場でちゃんと勝ち残れるようなバリューの高いものであれば、それはそれで共同で無償。お互いに利益が要るから。それならどうにかセーフだと。そうでなければ、有償にしなくてはならない。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 はい。そのような進め方でいきたいと思っている。

【松尾委員長】
 APRSAFのワーキンググループで、それぞれ接触している。それとはどういう関係になるのか。最後はやはりバイの話になってしまうのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 APRSAFで実施の検討をしている協力には多分二つフェーズがあって、一つは、トライアル的に経験を積むという、非常に小さなリソースの中でそういうような経験を積んでいただくという、どちらかというと促進的な話。今回の韓国との協力はイコールパートナーとして協働して、ハイレベルな研究協力ができないかというところが検討のスタートである。

【青江委員】
  APRSAFにおいて、ある国に対して、「支援」というアプローチの仕方は、それはそれで一つあると思うのである。まさに今言われたとおり、イコールパートナーとしてやろうというのだったら、それはそれのやり方がある。だから、そこのところはきちんとしてくださいと言っているわけである。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 はい。明確に分けて、今回、イコールパートナーとして、研究内容についても両国の研究コミュニティが、きちんと必要性、実施意義を判断したものになれば一緒にやろうということでフィージビリティースタディをしようと思っている。

【池上委員】
 よくわからないのは、今回のフライトのための協力協定の話なのか、それとも「きぼう」まで展開した話なのか、これはどっちなのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 日韓協力の席上で、宇宙飛行士に関する協力を合意した際に、ちょうど同時期に具体的なJEM利用に向けた検討についての協力の合意もやったので、あわせて報告させていただいた。

【池上委員】
 カメラはなぜ使い方までいろいろ注文をつけて、貸すのか。韓国の飛行士が勝手に撮るというのでいいではないか。何か理由があるのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 何を撮っていくかというのは、あらかじめ決めておかないと宇宙飛行士も困るので、このカメラを使ってどういうものを撮るというのは、あらかじめ決めるというのが普通である。そういう意味で何を撮るかということをあらかじめ日韓で調整して決めたというふうに御理解いただきたい。

【池上委員】
 もちろん、彼が自由に撮るものもあるわけか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 韓国として、もちろん、あると思う。

【青江委員】
 これは日本の税金を使った施設なのである。これを無償で使わせたるのはいかがなものか。

【池上委員】
 国際協力という話であれば、今かけた金と、その使い方によってお互いの協力関係がさらに深まるということのリターンとを考えていくと、何がいいかについては、そう簡単にはいかない。

【青江委員】
 だから、そこはきちんと整理をして使い方を決めなければいけない。

【池上委員】
 表現の仕方が問題かもしれない。要するに全部事細かに決めてこうしろと言っているわけではないだろう。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 そんなことはやっていない。お貸しして、我々としてもその得たデータを活用したい。そのためには、こういう内容は撮ってくださいということはお願いしている。

【池上委員】
 放っておいても日本の技術は評価されるわけだから、いろいろ押しつける必要はないのであって、むしろ
使う側の韓国の最初の宇宙飛行士の立場に立って、彼が韓国人から拍手されるような使い方をしてもらうというようなことも十分配慮してあげなければいけない。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 もちろん、韓国としてはこういう使い方をするということで予定しているし、今、先生がおっしゃったようになっていると理解している。

【松尾委員長】
 逆の質問になるが、禁止条項はあるのか。

【JAXA(ジャクサ)(田中)】
 例えばその画像を使う際にいろいろな著作権の問題だとか、肖像権の問題が生ずるので、そこは画像を使う前にきちんと評価する必要があると思っている。そこは、ルールを作って対応している。
 なお、今回、撮ったデータについては、直接ヒューストンの方にダウンリンクすることも考えているし、撮ったテープを韓国が持ち帰るということを考えている。一部リアルタイムでやるという記事が出ていたのであるが、今のところリアルタイムでやるという予定はない。


(3)議題3.『その他』
 特段の質疑はなかった。
【以上で議事は終了】(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)





現在、池上徹彦氏が委員長に...


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宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1
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