(朝日新聞 2016/03/09)
中国の王毅(ワンイー)外相は8日、全国人民代表大会(全人代)の記者会見で、日中関係について楽観を許さないとの認識を示し、「病気は根元から断たねばならない。中日関係の病根は、日本の指導者の対中認識にある」と述べた。歴史認識や南シナ海問題などをめぐって安倍政権への強い不信感を表明した形だ。
王氏はさらに、「日本の政府や指導者は関係を改善したいと言う一方で、様々な場面で中国に対し面倒を引き起こしている。裏表のある人間の典型的なやり方だ」と語り、「中国をパートナーと見なすのか、ライバルと見なすのか、日本側はこの問題を真剣に考えるべきだ」と訴えた。
日中間では2度の首脳会談を経て、経済交流を手始めに関係改善に向けた動きが出ていたが、南シナ海で中国が進める人工島造成などで米国と歩調を合わせて批判する日本側の動きに「安倍政権への不満が強まっている」(中国外務省関係者)。1月の台湾総統選で当選した民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席に接近しかねないとの警戒も加わり、不信感が増幅している。
核保安サミットや日本での日中韓首脳会談、中国での主要20カ国・地域(G20)首脳会議など首脳が顔を合わせる機会が控える。王氏は安倍政権に、対中関係改善に向けた意欲を促す狙いもあるとみられる。王氏は会見後、日本側が呼びかけている電話協議について「応じないということはない。すぐに(協議は)やる」と語った。
南シナ海をめぐっては、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が近く、中国の活動が違法かどうか司法判断を下す見通しだが、王氏は「受け入れない」と改めて反発。「軍事化のレッテルを中国に貼ることはできない。もっとふさわしい国がある」と米国を批判した。
一方、王氏は北朝鮮の核問題について「3、4カ国または5カ国での接触など柔軟な方法も含め開放的な態度をとる」と語った。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が北朝鮮を除いた5者協議を提案しており、これを踏まえた発言とみられる。王氏は、「朝鮮半島情勢は一触即発で火薬の臭いが充満している」と指摘。「各国がこれ以上対立を激化させないよう強く促す」と改めて呼びかけた。
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