韓国・朝鮮籍 分離公表  北朝鮮 排除の布石か
(東京新聞 2016/03/19)

法務省は、これまで一括集計していた「韓国・朝鮮籍」の在留外国人数を、今月から分離して公表し始めた。自民党などの右派議員らの求めに応じた格好だ。日本の植民地支配に連なる朝鮮半島の分断の歴史を、日本政府自ら固定化することにならないか。(沢田千秋)

一括集計から一転 法務省

法務省は今月十一日、二〇一五年末の在留外国人数を発表した。例年、「韓国・朝鮮籍」は一括集計だったが、今年から分離。一二~一四年末のデータも、分類した数値を再掲載した。

一五年末は、「韓国籍」が四十五万七千七百七十二人、「朝鮮籍」が三万三千九百三十九人だった。「朝鮮籍」は「北朝鮮籍」を意味するのではなく、韓国籍を確認できない人を「朝鮮籍」と分類している。

 法務省出入国管理インテリジェンス・センターの担当者は「一二年七月に在留管理制度を変更したために分離した」と説明する。

 市区町村に届け出る外国人登録制度が廃止され、代わりに住民基本台帳で管理する在留カードを発行。法務省が直接、在留外国人数を把握できるようになった。「外国人登録制度では、それぞれの市町村が韓国、朝鮮を一括で集計していたため、分離できなかった。一括では実態が把握できない」(担当者)

担当者「管理制度変更のため」

 制度変更とは別に、自民党などの右派議員らから韓国と朝鮮の分離を求める声があった。担当者は議員の動きを認めた上で、「(一括集計には)一般からも疑問の声が寄せられていたが、あくまで在留管理制度の変更によって分離を始めた」と強調。制度変更から三年以上経過してからの実施については「準備時間が必要だった」と主張した。

 分離集計は妥当なのか。その是非を判断するためには、在日コリアンの歴史を知らなければならない。
            
 朝鮮籍の韓東贅(ハントンヒョン)・日本映画大准教授(社会学)によると、在日コリアンのルーツは一九一〇年の日韓併合にさかのぼる。日本の植民地だった朝鮮半島から多くの朝鮮人が生活のために流入。労働力としても動員され、四五年の終戦時は二百四十万人に達した。大多数は地理的な近さから、半島南部の出身だったという。その後、多くが帰国したが、生活基盤を築いた人々らは残留。五〇年の朝鮮戦争勃発によって帰国の機会はさらに失われ、日本社会に根を下ろしていった。

 彼らは終戦後も日本国籍だったが、四七年、外国人登録令施行で「朝鮮」と記された。韓氏は「朝鮮半島に国家が成立する前の記載なので、そもそも国籍を示しえない」と解説する。五〇年、在日コリアンのうち、希望者は「朝鮮」の記載を「韓国」へ変更できるようになり、日韓条約の締結(六五年)で事実上の国籍となった。当時の在日コリアンの半数の約三十万人が変更したとされる。

 なるほど、日本における「朝鮮籍」は国籍ではなく、植民地時代の朝鮮半島にルーツがあることを示す「記号」にすぎない。では、歴史的経緯から一括集計してきた「韓国・朝鮮籍」をあえて今、分離する狙いは何か。韓氏は「朝鮮籍を事実上、内心上、北朝鮮とつながりがある可能性がある『北朝鮮籍』とみなしていくのではないか。対北朝鮮制裁としての朝鮮籍者の排除につながりかねない」と危惧する。

 近年、韓国、朝鮮籍に付与された「特別永住権」を「在日特権」として批判する排外主義勢力がある。韓氏は、韓国と朝鮮の分離集計を望んだ右派政治家の胸の内をこう推測する。

 「反発が予想されるすべての特別永住者ではなく、例えば、みなし『北朝鮮籍』としての朝鮮籍者に限定して特別永住権の廃止を提案し、国民の支持を得ようとしていると懸念してしまうのは杞憂だろうか」


「特別永住者」なんて在留資格は、いつかは無くなるべきですね。

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 ※表は法務省公表資料を当ブログで加工したものです。

ザ・在日特権
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