(朝鮮日報 韓国語 2017/10/15)

イ・ホンチョン(李洪千)東京都市大学メディア情報学部教授(准教授)

『崩韓論』『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』『韓国破産 こうして反日国は、政治も経済も壊滅する』『さらば、自壊する韓国よ!』『韓国は、いつから卑しい国になったのか』『赤い韓国 危機を招く半島の真実』『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』『韓国人に生まれなくてよかった』『言いがかり国家「韓国」を黙らせる本』『日本よ、もう謝るな!』『韓国・韓国人の品性』…。

今年に入って日本で出版されたいわゆる『嫌韓書籍』の題名だ。韓国と韓国人を刺激するこのような嫌韓書籍は、日本の書店では堂々と一つのコーナーを飾っている。この中には数十万部が売れたベストセラーもある。去る2月に出版された『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』という本は、今まで何と40万部が売れた。この本はケント・ギルバートという親日指向のアメリカ人が、日本は肯定的に、韓国と中国は批判的に眺めた内容を盛り込んでいる。多分、日本の読者は韓中日でなく、第三者アメリカ人の見方で韓国・日本、中日関係を眺めたという点に関心を見せたのだろう。

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筆者は、昨年末からソウル大鶴峰財団(鶴峰奨学会)の支援を受けて日本の嫌韓についての研究を進めてきた。研究結果は先日、『日本出版メディアの嫌韓の現況と批判的考察』という題名の論文として出した。1992年に『嫌韓』という単語が日本メディアに初めて登場して以来、日本で起きている嫌韓の生産・消費構造を本格的に暴いたのは筆者の研究が初めてのようだ。この論文は日本メディアからも関心を集めた。日本のある週刊誌は去る9月、筆者の論文内容を記事で紹介し、筆者とのインタビューも行った。当時、日本週刊誌の記事の題名は〈なぜ嫌韓書籍は売れ続けるのか?第2次嫌韓書籍ブームが出版界を席巻中〉(SPA! 2017年9/12号「なぜ[ヘイト本]は売れ続けるのか?第2次ブームが書店を席巻中」)だった。

◇第2次嫌韓ブーム

この記事の題名の通り、嫌韓を本格的に研究した立場で筆者が注目するのは、最近の嫌韓の流れが第2次ブームとなっているという点だ。2013年から2014年まで殺到したいわゆる『ヘイト(hate)出版物』の第1次ブームに乗って嫌韓書籍が大挙出版されて以降、最近になって嫌韓書籍の第2次出版ブームが再び広がっている雰囲気だ。特に嫌韓第2次ブームがムン・ジェイン(文在寅)政府発足で触発された側面があるということは注目するに値する。これは、日本右翼にムン・ジェイン政府が否定的に見られているという点に起因する。嫌韓を主導するいわゆる『ネット右翼』(オンラインで活動する右翼)は、ムン政府を『反日』『親北朝鮮』と集中攻撃している。日本のメディアも韓国の去る5月の大統領選挙を前後して〈ムン氏は親北朝鮮、反日(立場)を貫徹するだろうか〉(読売)、〈親北朝鮮路線で韓国は(危機を)克服することができるだろうか〉(日経)など批判的な社説を載せてきた。特にムン・ジェイン政府がミサイル発射や核実験を敢行した北朝鮮に対し、依然として対話を強調すると、『親北朝鮮左派政権の宥和策』とし、強力な批判が提起されている。最近、日本の放送は『放送版嫌韓』と呼んでも良いほど韓国政府叩きに余念がない。

事実、排他主義を基盤にした右傾化の動きは単に日本だけの現象ではない。だが、私たちが日本の嫌韓の流れに特に注目しなければならない理由がある。韓国と韓国人に対する差別と敵対感を露骨に表わす嫌韓の動きは、地域安保の責任を負わなければならない韓日両国のパートナーシップを弱化させる結果をもたらすことになるためだ。北朝鮮のミサイル発射と核実験により、東北アジアの安保状況が質的に変化しているにもかかわらず、韓日両国が外交・経済・軍事的な面で滑らかな共同歩調を取れずにいるという指摘が出ている。これは、嫌韓で両国民の感情の溝が深まったことが一定の影響を及ぼしたと見ている。他民族、他国家、他宗教を排撃する排他主義は日本だけの現象ではないが、長期間にわたり続いている嫌韓書籍の出版と、それに対する人気は明らかに日本特有の現象だ。こうした現象を一部の保守的な日本人の極端な反応と片付けては嫌韓を正しく理解できない。嫌韓は韓中の経済外交力の強化、日本国内の韓流の拡散と定着、アメリカの一国覇権主義の弱化という国際関係の構造的な変動で発生する歪みを知らせるシグナルだ。私たちが嫌韓により一層関心を傾けなければならないのは、このようなシグナル音を早く把握することで、韓米日の同盟関係の亀裂を予防し、結果的に韓半島(朝鮮半島)問題の当事者として声を高めることができるためだ。

◇エリート層に拡散

最近の第2次嫌韓ブームで目につくことは、新たな嫌韓ムードが日本のエリート層にまで拡散している兆しだ。代表的な事例が、日本初の女性総理候補と目される小池百合子東京都知事の場合だ。『希望の党』を創党して10月22日に行われる日本総選挙で『打倒安倍』を叫んでいる小池は、良く知られているように安倍総理に劣らない極右人物だ。彼女は「関東大震災の時、朝鮮人虐殺はなかった」という嫌韓論者の主張に賛同し、去る9月1日に開かれた『関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭』に追悼文を送らなかった。慰霊祭が開かれる東京都墨田区の区長も彼女に同調して追悼文を送らなかった。

今年で43回目を迎える『関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭』に東京都知事が追悼文を送るのは、これまでのある種の慣例であった。小池知事も昨年には追悼文を送った。だが、小池は、去る3月に自民党都議会議員が慰霊碑に書かれた朝鮮人犠牲者数の客観性を取り上げながら追悼文発送を問題にすると、態度を変えた。彼女は都議会で、「追悼の辞を送ることを再考すべき」という議政質問がされると、待っていたというばかりに「再検討」を指示した。9月26日に開催された都議会本会議では「様々な内容の歴史的記述があることを承知している。だからこそ、何が明白な事実か歴史家が究明しなければならない」とし、関東大震災当時の朝鮮人虐殺に対する見解を明らかにしなかった。
(「さまざまな内容が史実として書かれていると承知をいたしております。だからこそ、何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだと申し上げております。」東京都議会会議録より)

日本人たちはインターネットだけ簡単に探しても多くの嫌韓情報に接することができる。慰安婦問題だけにしても歪曲された情報と写真が精巧な嫌韓論理とともによくまとめられている。歴史的事実に精通していない一般の日本人たちがこのような嫌韓論理に反論することは容易ではない。インターネットを検索し、自ら学習して、韓国に対して敵対的態度に急変する学生を今まで多数見た。

単に学生だけではない。筆者が以前に在職した大学のある同僚教授は、初めての授業時間で、独島が日本の領土という主張など領土問題を扱った日本外務省のパンフレット資料を学生たちに配り、パンフレットの内容を一文字も欠かさずに読みあげた。筆者が「講壇を韓日間の戦場にしてはいけない」と全体教員会議の席上で抗議するほどであった。

日本で嫌韓が生産されて消費される最も大きい広場は出版界だ。日本出版界で嫌韓書籍が絶えないのは日本出版界の不況とも無関係ではない。経営難に陥った日本出版業界は、お金になることならどんな内容でも出版するという雰囲気だ。このような状況で数十万部以上販売される嫌韓ベストセラーが登場すると、不況に陥った出版業者などの目が丸く大きくなった。容易に売れるテーマに、低予算でも利益を出すことができる嫌韓書籍は、すでに日本出版界で魅力的なアイテムとして定着した。

◇嫌韓生産地は出版界

嫌韓書籍は雰囲気が熱い時に合わせて出版してこそ販売を保証される。ブームに乗らなければならないという話だ。出版社が時期を合わせて出版するには自社の人材だけではつとまらない。この時、出版社の負担を減らすのが編集代行会社だ。注文に合わせて定められた日に原稿を納品する編集代行会社の存在は出版社の息の根をできるようにする。これら代行会社は、出版社からいろんな内容の嫌韓書籍を書いてほしいという注文が来れば、それに合わせて情報を書いて原稿を作成する。零細業者が少なくないため、原稿に対する責任感や罪悪感を感じる暇がない。それよりは、原稿の内容が出版社の注文によく合っているかがより重要だ。そうしてこそ次の仕事を保証されるためだ。2015年に『大嫌韓時代』を出版して話題を集めた『在日特権を許さない市民の会』(略称 在特会)会長の桜井誠もある出版社プランナーが抜擢した事例だ。嫌韓書籍出版に火を付けたものと評価を受けるいわゆる『マンガ嫌韓流』の著者である山野車輪も出版プランナーによって発掘された。

特定の国家や民族、宗教を対象にしなくても、差別意識と排他主義は人間の内面に存在する感情の一部分だ。問題は、このような感情が広範囲に広がってメディアや知識人、政治家がこれを利用したり、扇動するというところにある。

日本で『嫌韓』という単語がメディアに初めて登場したのは1992年だ。宮沢当時総理が韓国を訪問した直後のことだ。1992年11月8日付の産経新聞は、日本で嫌韓ムードが広がっているいくつかの理由を挙げたが、最初には韓国側が日王に過去の歴史に対して繰り返し謝罪を要求したことに対し、保守層を中心に反発が広がっているというものだった。2番目は88ソウルオリンピックを契機に日本人に韓国の存在感が増し、冷戦終結以降、韓国に対する日本人たちの認識が変化したというものだった。そして最後に従軍慰安婦問題で日本の自尊心が傷を受けたというものだった。

それなら日本人たちのうち嫌韓を叫ぶ人達は何人だろうか。これらの数字を具体的に把握することは容易ではないが、これらの活動がネット右翼の活動と重複するという点を考えれば、ネット右翼の規模と試算が可能である。日本の若い批評家である古谷経衡は、少し前の投票指向を基にネット右翼の数を計算したことがある。彼は2014年の選挙で自民党よりも右翼的な次世代の党(現 日本のこころ)の比例代表の得票と同年1月に行われた東京都知事選挙でネット右翼の圧倒的支持を受けた田母神候補の得票などを勘案し、ネット右翼の数を200万~250万人程度と推算した。これを援用した場合、嫌韓日本人の数は最大250万人を越えないという推算が可能だ。ネット右翼はいったいどんな人達だろうか。古谷経衡の分析によれば、ネット右翼は平均的にこうだ。『平均年俸450万円、一流大卒が60%、平均年齢は38歳、男性中心(60%以上)、東京・神奈川を中心にした首都圏居住者が60%程度、職業は自営業者が多数。』

◇ヘイトスピーチデモ隊

日本で嫌韓日本人に簡単に接することができる所は『ヘイトスピーチ(憎悪演説)』デモ現場だ。人種差別的な発言が普通に出てくるここでの定番のネタが嫌韓である。去る7月、筆者は家の近くの公園でヘイトスピーチデモが行われるという消息を聞き、カメラを持って現場に走って行った。ところが、デモ予定時間が過ぎても主催者の動きは見られず、むしろヘイトスピーチに反対する人達(彼らを日本では『カウンター』と呼ぶ)の数だけがさらに増えた。カウンターが道路に出ないように道路周辺に間隔を合わせて並ぶ警察の数も同時に増えた。

この日のヘイトスピーチデモは予告された場所から500mも離れた場所で展開された。日本で警察に申告した場所でない他の場所で集会が開かれるのはかなり異例だ。しばらく経ってデモの場所が変更したことを知った数百人のカウンターが現場に走って行き、結局、ヘイトスピーチデモ行進を妨げるカウンターの抗議でデモは10分を超えずに終わった。警察の護衛を受けなかったら、デモ隊を乗せたバスはカウンターに囲まれて現場を脱することができなかっただろう。

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日本では嫌韓が声を育てるほど、これらを妨げるカウンターの反対活動も活発になる。カウンターはヘイトスピーチデモを阻止するにとどまらない。カウンターの持続的な広報活動により、ヘイトスピーチデモの参加者とカウンターの数が一部地域では逆転することさえあった。東京都新宿区のコリアタウンで嫌韓デモが影をひそめるようになったのは、カウンターの活動が少なからず作用した。このような活動は、昨年5月のヘイトスピーチ対策法の通過という成果につながった。この法は、日本に合法的に居住する特定人種や民族、または、その子孫に対して差別を目的に生命、身体に危害を加えると告げたり侮辱するヘイトスピーチを許可しないと宣言している。また、日本政府と地方自治体に対して、差別的行為を解消する責任と努力義務を課している。表現の自由を侵害する恐れがあるという指摘ために罰則条項はなく、宣伝的な意味だけの中途半端な法として実効性に疑問を提起する声もあるが、この法の実際的効果は少なくない。法施行1年で極右指向団体のデモや集会が急減したためだ。

すべての韓国人が日本に対して好感を持たないように、すべての日本人たちが韓国に対して親近感を持たないのは当然のことだ。韓国について嫌なこと言う人達の存在がうれしくないため、彼らの存在がより目に付くのは当然の感情であろう。しかし、ネット右翼の数で見ることができるように、彼らが日本人の多数をなすものではないということは明らかだ。彼らよりは韓国に親近感を持つ日本人の数がより多く、嫌韓よりは親韓の歴史がより長い。何十年もの間、関東大震災で虐殺された朝鮮人の慰霊祭を行う日本人や、日帝強占期の時の徴用者などの遺骨を探して韓国に返還する運動を行う日本人もいる。また、慰安婦問題の真相を知らせる活動を行う日本人も少なくない。嫌韓に対する関心と同じくらい知韓、親韓にもより関心を持たなければならない。それこそが「善い朝鮮人も悪い朝鮮人もすべて敵だ」という嫌韓デモ隊のスローガンと嫌韓書籍出版を根絶させる基礎になるだろう。(機械翻訳 若干修正)

2017年10月15日