(朝鮮日報 2017/11/30)

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は29日、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射について、「絶対に座視しない」と述べる一方、「北朝鮮の誤判断」と「米国の先制攻撃」に同時に懸念を表明した。また、北朝鮮のミサイルをICBMだと断定した米日とは異なり、韓国政府は「ICBM級」「長距離弾道ミサイル」というあいまいな表現を使った。

■ICBMならば文大統領の「レッドライン」

 米日は同日、北朝鮮のミサイルを「米本土を攻撃可能なICBM」と位置づけた。

 マティス米国防長官はホワイトハウスで記者団に対し、「北朝鮮がICBMを発射した。過去に発射したミサイルよりも高く上昇した」と述べた。ホワイトハウスはトランプ大統領と日本の安倍晋三首相が行った緊急電話会談の写真を公表した際にも「北朝鮮のICBM発射」に関連したものだと説明した。

 一方、文大統領は同日午前6時に開いた国家安全保障会議(NSC)全体会議で「大陸を飛び越える北朝鮮の弾道ミサイルが完成したとすれば、状況が手の施しようもなく悪化しかねない」と述べた。

 韓国大統領府(青瓦台)と国防部当局者も「ICBM級」「長距離弾道ミサイル」という用語を使った。大統領府のユン・ヨンチャン国民疎通首席秘書官は同日夕、韓日首脳の電話会談に触れ、「北朝鮮のICBM級ミサイル発射」と表現した。ICBMと断言せず、あくまで「ICBM級」だと言った。射程距離などで技術的進展はあったが、大気圏再進入などICBMの完成までにはいくつかの段階が残っているため、追加的分析が必要との理由だった。しかし、そうした技術的理由以外に政治的配慮があると受け止められている。北朝鮮がICBMを完成したと言ってしまえば、韓国政府の「外交的方法を通じた北朝鮮核問題解決」が壁にぶつかるためだ。

 文大統領は今年8月、軍事的解決段階に進まざるを得ない状況である「レッドライン」について、「北朝鮮がICBMを完成させ、そこに核弾頭を搭載し兵器化することだ」と答えた。北朝鮮のミサイルがICBMならば、レッドライン問題が浮上し、対応手段が違ってくる。このため、文大統領と韓国政府は「北朝鮮の弾道ミサイルが完成したならば」という仮定法で評価を留保したとみられる。

■「米国の先制攻撃」に言及した意味

 文大統領は就任以降11回目となる北朝鮮のミサイル発射に対し、今回も「強く糾弾する。北朝鮮の挑発を決して座視しない」と述べた。安倍首相との電話会談でも「北朝鮮の安全保障上の脅威をこれ以上黙認できない。来月に中国を訪問する際、習近平国家主席にさらに強い役割を求める」と発言した。

 しかし、過去10回のミサイル発射とは異なり、今回は米国の「先制攻撃」にも初めて言及した。これまで文大統領は先制攻撃には触れず、「戦争反対」「平和」といった単語で先制攻撃に反対意向を示してきた。今回は「北朝鮮は状況を誤って判断し、我々を核で脅したり、米国が先制攻撃を念頭に置いたりする状況を防がなければならない」とい、北朝鮮と米国に対する懸念に同列で言及した。

 文大統領の発言は米国の先制攻撃が現実化段階に入っていると受け止めたためとみられる。このため、北朝鮮が自ら状況の深刻さに気づくべきだという意味合いを込めている。大統領府高官は「北朝鮮がそうした状況に向かってはならないという意味だ」と説明した。しかし、「北朝鮮の誤った判断」「米国の先制攻撃」を同列で扱ったことは適切なのかと指摘する声もある。元幹部外交官は「北朝鮮が我々を核で脅す状況を防がなければならず、北朝鮮は国際社会が先手の対応に出る状況をつくり出してはならない」といった表現にすべきだったと指摘する。これに関連し、大統領府幹部は韓米首脳の電話会談と関連し、「米国が強硬路線に向かうことを防ぐため、早期に意思疎通を図ったのか」との問いに対し、「そういう側面がある」と答えた。

 北朝鮮が75日ぶりに挑発を再開し、「北朝鮮の挑発中断→対話模索→北朝鮮の平昌五輪参加」という韓国政府の対北朝鮮対話構想も見直しが避けられなくなった。韓国政府の一部からは、北朝鮮が挑発を中断すれば、平昌五輪を契機に韓米合同軍事演習の一時中断・延期することも検討したが、今回の挑発でそうした前提が成り立たなくなった。


韓国紙2位も指摘↓

(中央日報 2017/11/30)

  文在寅(ムン・ジェイン)大統領が29日、「米国の先制打撃」に言及した。北朝鮮が「火星15」ミサイルを発射してから約3時間後のこの日午前6時、文大統領は国家安全保障会議(NSC)を招集した。この席で「大陸間を渡る北の弾道ミサイルが完成すれば、状況は手の施しようもなく悪化するおそれがある。北が状況を誤認して我々を核で威嚇したり米国が先制打撃を念頭に置いたりする状況を防がなければいけない」と述べた。 

  文大統領は大統領候補時代から「先制打撃は戦争」(大統領候補討論会)、「オプションの一つとして(米国が)話しているが、実行の可能性は高くない」(メディアのインタビュー)で話してきた。「先制打撃を防がなければいけない」というこの日の発言は、北朝鮮の実質的な核脅威と米国の対北朝鮮打撃の可能性を前提とする点で、過去よりも深刻に認識していることを表している。 

  NSCで文大統領は大陸間弾道ミサイル(ICBM)という表現の代わりに「大陸間を渡る弾道ミサイル」という言葉を使った。 

  文大統領は8月の就任100日目の会見で「(北核およびミサイルに関する) レッドライン(禁止線)は北がICBMを完成し、核弾頭を搭載して武器化すること」と規定し、あいまいな表現をしたという分析が出ている。 

  文大統領の状況認識は対応過程でも表れた。文大統領はこの日午前8時30分から20分間、トランプ米大統領と電話会談した。6回目の電話会談だが、北朝鮮の挑発当日に、それも5時間後に行われた「緊急電話会談」は初めてだ。文大統領は「両国が北の意図を総合的に勘案し、綿密に対応しよう」と述べた。トランプ大統領も「挑発に対する詳細かつ正確な評価と韓米外交当局間の緊密な対話に基づき、具体的な対応策に追加で合意しよう」と答えたという。結局、両首脳は「それぞれが追加で(挑発を)評価して対応策を検討した後、これに基づいて早期に後続の協議をしよう」ということに合意したと、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官は伝えた。 

  青瓦台関係者は「米国との追加議論の形式は決まっていない。各国の分析に基づき、両首脳がまた電話会談をしたりNSC間の対話などが可能だろう」と話した。 

  この関係者は、「今日の電話会談は先制打撃などを防ぐための措置なのか」という質問に対し、「そのような面を総合的に考慮したが、先制打撃に対する憂慮を伝えるラインまでは行かなかった。ミサイル挑発で北の問題が新たな局面に進む状況の変化があり得るため、速やかに電話会談をした」と答えた。 

  文大統領はこの日午後には安倍晋三首相と電話会談をした。両首脳は北朝鮮の脅威をこれ以上容認できないという点に共感し、30日の国連安全保障理事会緊急会議で対北朝鮮圧力をよりいっそう断固かつ強力に進めることにした。 

  文大統領は「来月中国を訪問し、習近平国家主席によりいっそう強力な役割をしてほしいと要請する計画」と明らかにし、安倍首相も「中国のさらなる役割が重要だ」という認識を示した。


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