韓国総力取材「慰安婦像」の正体を暴く!
(週刊文春 2017年12月7日号 2017/11/30)

■姉妹都市解消サンフランシスコ市長は「名誉ソウル市民」
■「米軍装甲車に轢かれた少女」慰安婦像モデルの真相
■慰安婦像を作り続ける彫刻家夫妻を本誌記者が直撃
■一体80万円で製作期間1カ月 慰安婦像製造工房に潜入

〈日本軍に性奴隷にされた数十万人の女性や少女の苦しみの証拠〉。サンフランシスコ市の慰安婦像に刻まれた言葉には、今さら驚かない。だが彼らが、かくも歪んだ情念を注ぐ対象について囁かれる〝ある秘密〟は興味深い。慰安婦像の謎を追って、取材班は韓国に飛んだ。

「サンフランシスコ市には『慰安婦像の受け入れをやめてください』と、ずーっと言ってきたが、全く聞き入れてもらえなかった。信頼関係を完全に破壊されたまま、姉妹都市を続けるわけにはいかない。十二月中に提携を解消します」

 本誌の取材に、怒りを露わにするのは大阪市の吉村洋文市長だ。

 十一月十四日、大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコ市の市議会が、中国系民間団体からの慰安婦像寄贈を受け入れる議案を全会一致で可決したことは、驚きをもって迎えられた。

「問題は、『性奴隷にされた数十万人の女性』などと記された碑文の内容が日本政府の公式見解とは異なることでした。サンフランシスコのエドウィン・リー市長は、大阪との姉妹都市提携を無視してまで、設置を強行しました」(外信部記者)

 リー市長の両親は一九三〇年代に中国から移住。リー氏は、苦学して人権派弁護士として身を立てた。

「サンフランシスコの中華街にある公営住宅をめぐるトラブルで住民側弁護士として戦った」(現地記者)

 その後、市の行政の内部通報の捜査に携わり、政界に進出。二〇一一年に初のアジア系市長として就任し、注目を集めた。

「特に反日的な言動が多いわけではありませんが、同市では中国系が約二割を占めています。リー市長は同じく姉妹都市であるソウルを訪問したこともあり、昨年、ソウルの名誉市民に選ばれました」(同前)

 今回の慰安婦像設置の背景にも、中韓の反日勢力の連携がある。

 像設置を主導したのは中国系市民団体「慰安婦正義連合」だが、これを支援したのが、グレンデール市で米国初の慰安婦像設置を推進した韓国系市民団体「KAFC」だったという。

「KAFC」のフィリス・キム代表が語る。

「一五年九月の市議会の公聴会の際、正義連合から相談を受けました。そこで旧知の元慰安婦である李容洙(イヨンス)さんに連絡し、演説をしてもらったのです」

 李さんは十一月七日に米国のトランプ大統領が訪韓した際の晩餐会に招かれ、〝独島エビ〟に舌鼓を打ったことでも知られる。

 最初に市議会に決議案を提出したエリック・マー元市議はこう称える。

「チマチョゴリを着たおばあさんが、何十人もの極右の日本人の前で真実を証言したことは非常に心が動かされました」

 公聴会には、日系人も参加し、「日本人差別に繋がる恐れがある」と懸念を述べたが、流れは止まらなかった。

「公聴会終了後、中国領事が正義連合の二人の関係者を晩餐会に招いて、労をねぎらう予定という中国系新聞の報道もありました」(現地在住日本人)

◇元慰安婦「姉妹都市解消はお笑い種」

 今回、サンフランシスコに寄贈される慰安婦像は、〈日本軍に性奴隷にされた数十万人の女性や少女〉の象徴として、中国、韓国、フィリピンの三人の女性が背中合わせで手を繋ぐ構図となっている。見守っているのは、最初に元慰安婦として名乗り出た女性だ。

 公募で選ばれた彫刻家のスティーブン・ホワイト氏は本誌の取材にこう答えた。

「本来の値段は三十九万八千ドルですが、(企画に感銘を受け)三十万ドルで請け負いました。(日本で反発があっても)この像に誇りを持っています」

 元慰安婦の李さんもこう語る。

「設置が認められて本当に嬉しいです。日系人が公聴会に来て反対意見を言っていたのはおかしなこと。大阪が姉妹都市を解消するなんて、お笑い種ですよ」

 実は、慰安婦像受け入れが決定した日、日本政府関係者に衝撃を与えたニュースがもうひとつあった。

 朴槿恵政権で駐日大使を務めた李丙琪(イ・ビョンギ)氏が大統領府に秘密資金を提供したとして逮捕されたのだ。

「だが本筋は別です」と官邸関係者は語る。

「李氏は、慰安婦問題の〈最終的かつ不可逆的な解決〉を確認した一五年十二月の日韓合意の際、国家情報院長で、谷内正太郎国家安全保障局長のカウンターパートとして主導的な役割を果たした。菅義偉官房長官は『李氏逮捕の真意は日韓合意の正当性をひっくり返すためじゃないか。メチヤクチャだ』と激怒していた」(同前)

 だが文在寅政権の〝反日暴走〟はとまらない。

 十一月二十四日には慰安婦をたたえる記念日を制定する法律が作られた。

「しかも前日には訪韓中の山口那津男公明党代表が安倍晋三首相の親書を持参し、文大統領と会談しています。今後は政府内に慰安婦研究所などの設立も予定されています。文政権は反日の象徴である慰安婦問題を前面に押し出して、国民の支持を集める方向へ突き進んでいます」(韓国人記者)

〝反日のキーパーソン〟となっているのが、二人の女性閣僚だという。

「一人は、韓国史上初の女性外務大臣、康京和(カンギョンファ)氏。文氏が〝慰安婦問題の適任者〟と評価する彼女は、『(日本大使館前の慰安婦像の)移転を日本が求めるほど、像はさらに作られる』と明言しています。もう一人は慰安婦記念事業を主管する女性家族省トップの鄭鉉栢(チョンヒョンベク)氏。彼女は韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)を支援し、元慰安婦たちと(日本へ抗議する)水曜集会に参加していました」(同前)

 だが、産経新聞ソウル駐在特別論説委員の黒田勝弘氏はこう語る。

「文氏は日韓合意について『当事者である慰安婦の意に反している』などと語っています。ところが、実際には生存する元慰安婦のうち、七割以上が合意に基づく慰労金の受領を表明しました。それでも、いま慰安婦問題が解決しては困る事情があるから、文氏は〝虚構〟を維持せざるを得ないのでしょう」

 その〝虚構〟を支えるシンボルとなっているのが、いまや世界中に立てられつつある慰安婦像であり、その〝ご本尊〟こそが、ソウル日本大使館前に一一年に立てちれた〝オリジナル〟の慰安婦像である。

「慰安婦の日」制定が決まった翌二十五日、夕刻。

 ソウル市内を激しい雷雨が襲う中、青瓦台からほど近い清渓広場には約百五十人の人々が集まっていた。

 主催者は昨年六月に設立された「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」。この団体の常任理事を務めるのは、挺対協の尹美香(ユンミヒャン)共同代表だ。

 挺対協は、〝オリジナル〟の慰安婦像設置を主導した団体でもある。

 この日は、国連が定めた「女性に対する暴力撤廃の国際デー」ということで、元慰安婦を顕彰する集会が開かれていた。会場に現れた尹氏に本誌記者が声をかけると、それまでのにこやかな表情を一変させ、「日本メディアの取材は受けない。特に文藝春秋の取材は受けない」と声を荒げる。

 サンフランシスコの慰安婦像については、「私達は関係ない。サンフランシスコの人に聞いて」。なおも質問を重ねると、記者を睨みつけ、「STOP!」と一喝するのだった。

 一方、会場の一角には三人の元慰安婦の老婆の姿があった。話しかけると、「体調が悪いのよ……」

 この日の最低気温はマイナス三℃。老婆には酷だ。だが、すぐに尹代表がやってきて、記者を押しのけ、こうまくしたてた。

「イベント中ですよ! 連絡してから来なさい!」

 そのころ、〝オリジナル〟の慰安婦像の周りには、二十人ほどの大学生が集まっていた。日韓合意破棄を主張する「ロウソク集会」があるという触れ込みだったが、定刻になっても彼らはオニギリを頬張り、談笑するばかり。慰安婦像の隣に置かれたテントの中にいた男子大学生に声をかけると、無邪気にこう話した。

「僕たちは少女像を守る会で、会員は約五十名です。韓日合意には反対の立場で、公的謝罪と法的賠償を求めています。毎日、このテントには二、三人で泊まります。僕は四日連続で泊まったことがありますよ。寒いですが、下に電気毛布を敷いてますから」

 そもそも、この慰安婦像自体、先の日韓合意において、撤去に向けて「適切に解決されるよう努力する」と決定したはずだが、集会は合意締結の日から開始され、六百九十七日目になるという。

◇米軍装甲車に轢かれた女子中学生

 一方で、彼らが拠り所とする〝オリジナル〟の慰安婦像をめぐっては、日本の官邸関係者も注目する「ある噂」がある。

 「あの慰安婦像はもともと、慰安婦とは全く関係ない、事故で亡くなった少女をモデルにした像を転用したものだというネット情報です」(別の官邸関係者)

 確かにネットを検索すると、〈慰安婦像のモデルは、〇二年六月十三日、韓国北部の楊州市で、米軍の装甲車に轢かれて死亡した二人の女子中学生の一人〉とする情報が流布している。

 実際、月刊誌「WiLL」一七年十月号は、「『慰安婦像』のモデルは米軍犠牲者の少女だった」と題して、被害者の一人、沈美善(シムミソン)さんと慰安婦像の写真を並べて掲載した。

◇「言われてみれば似ている」父は言った

 噂は真実なのか。

 ソウル市内から車で六十分強。事故現場の脇に建てられた追悼碑には二人の少女を悼む詩がハングルと英語で刻まれている。

 美善さんの自宅を訪ねると、父の沈洙輔(スボ)氏が穏やかな笑顔で迎え入れてくれた。

「事故自体は悔やんでも悔やみきれませんが、仕方がありません」

 慰安婦像のモデル説については「初めて聞きました」と言う。ところが、美善さんの遺影と慰安婦像が対比された「WiLL」の記事を手渡すと、「言われてみれば似ている。この記事をもらえませんか?」と目を細めて、こう続けた。

「まさか、美善と結びつくような話があるとは思いませんでした。本当に美善が少女像のモデルなら不愉快です。純粋な子どもに起こった事故を政治的な活動に利用しているということですから……」

 では、製作者はどう答えるのか。〝オリジナル〟の製作者は、彫刻家の金運成(キムウンソン)、ソギョン夫妻だ。今年六月、像のモデルについて彼らが答えた韓国紙のインタビューにはこうある。

〈最も長い時間をかけた工程は少女像の顔だった。犠牲になった数々の少女たちの悲しみ、怒りを込めなければならなかったし、(略)一人の顔のモデルで作ることはできなかった〉

 一方で、金夫妻は親北朝鮮団体「民族美術家協会」と関係が深く、反米活動に関わってきた。夫妻の知人が言う。

「彼らは、米軍の事故で亡くなった二人の少女たちの追悼碑の製作にも携わったそうです。夫妻はこれまで〝オリジナル〟をもとに国内向けに六十体以上、海外向けにも八体の像を製作してきたそうですが、そのルーツが反米の象徴だったとなれば、おかしな話になる。仮に事実であってもいまさら認めることはできないでしょうが……」

 記者は、真相を確かめるべくソウル近郊にある金夫妻の工房に向かった。

 黒いビニールハウスの工房入口には鍵がかけられており、その脇には四体の大型の銅像が無造作に置かれ不気味な雰囲気を醸し出している。よく見ると、そのうちの一体は慰安婦像のようだ。

 工房の隣に建つ古民家を訪ねると、丸メガネをかけた女性が現れた。妻の金ソギョン氏だ。

来意を告げると、「ちょっと待って」と家の中へ姿を消した。しばらくすると、夫の金運成氏が現れた。

「取材には応じられません。今まで日本のマスコミには、私が話したことと全く違う内容を報じられてしまいました。ですから信じていないのです。ただ私たちは日本を悪く見ているわけではありません。私たちはただ慰安婦の話を広めたいだけなのです」

 そう言い残すと、モデルについての質問をする間もなく自宅に入り、二度とドアを開けることはなかった。

 そのルーツに疑義を残しながらも、慰安婦像は拡散し続けている。

◇〝慰安婦像ビジネス〟に熱中寄る韓国

 今年八月、ソウル市内を巡回するバスの車内に五体の慰安婦像が設置された。その異様な光景は日本でも報じられたが、この像を作ったのも金夫妻だ。

「〝慰安婦バス〟は、十月で運行を終了しましたが、バスに乗っていた五体の慰安婦像が〝オリジナル〟と対面し、その後、大邸などの地方都市に運ばれ〝帰郷〟を果たすというパフォーマンスが行われました。各地方では慰安婦問題の啓蒙に活用されるそうです」(前出・韓国人記者)

 金夫妻は、尹美香氏の挺対協や前出の正義記憶財団と協力して、〝慰安婦像ビジネス〟に余念がない。

「最近ではクラウドファンディングを使って、慰安婦フィギュアの販売も手がけています。挺対協のイベントのほか、ネットなどで世界に向けて販売されています」(同前)

 フィギュアを実際に製作したベンチャー企業の社長に聞いた。

「挺対協から金夫妻を紹介され二万個を製作しました。余った約一億五千万ウォン(約千五百万円)の資金は挺対協に現金で渡しました」

 クラウドファンディングで集めた資金で、慰安婦をモチーフにしたネックレスなどを販売する企業も現れている。

「これまで十七億四千万ウォン(約一億七千万円)を集め、文房具から衣類まで幅広く慰安婦グッズを販売しています。ウチでは営業利益の五割は正義記憶財団に寄付しており、その総額は十一億四千万ウォン(約一億一千万円)に達しました」(広報担当者)

 いまや売れっ子となった金夫妻に製作を依頼するのも容易ではないという。

 自ら募金活動を行い、慰安婦像を設置した光州大学の学生が語る。

「当初は金夫妻に製作を依頼しましたが、『三千万ウォン(約三百万円)以上かかる』と言われ、断念しました」

 この学生の銅像を実際に製作したのは南楊州市の工房「太陽美術」だ。

 工房入口付近の足元には、鉄筋の屑が無造作に敷き詰められており、中には白い布でぐるぐる巻きにされた奇妙な大型の銅像も置かれている。この道三十年というベテラン職人のチェ・スンギュ代表が語る。

「普段は商業用の青銅品や芸術作品などなんでも作ってますよ。慰安婦像は本来、一体につき約一千二百万ウォン(約百二十万円)かかりますが、製作の理念に共感して八百万ウォン(約八十万円)で作ったのです。製作期間は一カ月ほどでしょうか」

 取材を通じて浮かび上がってくるのは、熱に浮かされたように、慰安婦像を量産し続ける人々の姿だ。

 印象的な場面がある。

 十一月二十五日に〝オリジナル〟の慰安婦像の傍らに集まっていた大学生たちが、定刻より三十分遅れで、「売国的な韓日合意を直ちに破棄せよ!」とシュプレヒコールを挙げたときのこと。行き交う人々は彼らにいぶかしげな視線を送るばかりで、演説に耳を傾ける人は皆無だった。

 前出の韓国人記者は「それも当然です」と頷く。

「文政権の最大の課題は経済政策です。文氏は公務員を八十一万人増やすなど雇用拡大を掲げ大統領に就任しましたが、実績はまったく上がっていない。特に若者の就職難は深刻で、韓国の大学では日本での就活を促す動きまで広がっています。やはり公約で脱原発を掲げた原発問題も新規開設の表明を余儀なくされた。結局、支持率を維持するための頼みの綱は〝反日〟、つまり慰安婦しかないのです」

 菅官房長官は、「このままでは、あの政権はもたない」と周囲に漏らしているというが、前出の黒田氏は文政権をこう喝破する。

「文氏は慰安婦像などのパフォーマンスが日韓関係に及ぼす悪影響に考えが及んでいません。支持層である市民団体の影響を受けるあまり国家としての判断が出来ていないのです」

 韓国にはこんなことわざがあるそうだ。

〈千両の借りも一言で返す〉

 口が上手ければ、莫大な借金を切り抜けることもできるというわけだが、今年六月、韓国与党「共に民主党」代表の秋美愛(チュミエ)氏が慰安婦問題について、このことわざを引用し、「約束なので守らなければならないというのは契約法上の論理にすぎない」として、日韓合意は守るに値しないと主張。日本側は、元慰安婦の支援団体に十億円を拠出しているが、ことわざの意味するところは、「お金よりも信頼が大事」なのだという。

 いったい、慰安婦から〝搾取〟しているのは、どちらか。