(朝日新聞 2018/01/21)

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪への北朝鮮の参加を正式に決める国際オリンピック委員会(IOC)や南北朝鮮などの4者協議が20日、スイス・ローザンヌのIOC本部で開かれた。終了後、IOCのバッハ会長は、スケートやアイスホッケー、スキーの3競技に選手計22人が参加すると発表した。五輪初となる韓国とのアイスホッケー女子の合同チームや、開会式での「統一旗」を掲げた合同入場も認めた。

 合同チームはすでに出場権を得ていた韓国チームの登録選手23人を拡大し、北朝鮮選手を12人追加する特別措置を認めた。チーム名は「コリア」で、両国の国歌の代わりに朝鮮民謡「アリラン」の歌を使用する。

 特別措置をめぐっては、日本など対戦国から「不公正」と批判の声も上がっていた。スポーツを通じた平和実現と同時に公正さを担保しなければならないIOCは難しい判断を迫られたが、南北の合意を優先した形で、波紋を呼びそうだ。北朝鮮の張雄IOC委員は記者団に「満足している」と語った。

 合同入場は、五輪では2006年のトリノ冬季大会などでの前例がある。ただ、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄しない中、南北融和を強く印象づける演出は、北朝鮮の政治宣伝につながるとの批判を呼ぶ可能性もある。(ローザンヌ=武田肇)


(朝日新聞 2018/01/21)

 平昌(ピョンチャン)五輪(韓国)へ、北朝鮮の参加が正式に決まった。冬季五輪への参加は2大会ぶり。大会直前にスポーツ界に政治が持ち込まれ、国際オリンピック委員会(IOC)も南北両国の意向を受け入れた。アイスホッケー女子では、五輪初の南北合同チームが結成されることになった。

 韓国代表団を率いた都鍾煥(トジョンファン)文化体育観光相によると、協議で最も難航したのはアイスホッケー女子の合同チームに何人の北朝鮮選手を出場させるかだった。チームは韓国代表23人に北朝鮮選手12人を加えて構成されるが、ベンチ入りは22人。北朝鮮は各試合5人程度を求めたが、最終的に、指揮を執る韓国の代表監督が各試合で少なくとも3人をベンチ入りさせることでまとまった。

 都氏は「北朝鮮の選手ができるだけ早く韓国に来てチームワークを固めることでも同意できた」と言及した。(ローザンヌ=武田肇)

■政治決着、選手置き去り

 平昌冬季五輪への北朝鮮の参加が宣言された20日の会合は、IOC主導による儀式にすぎなかった。

 昨年12月、組織ぐるみのドーピングでロシア選手団の平昌派遣を禁じたときとは対照的だ。舞台は同じIOC本部。ほぼ関係者との接触が禁じられた前回と違い、この朝は玄関に赤じゅうたんが敷かれた。バッハIOC会長は会合冒頭の声明で「本日は五輪運動にとって素晴らしい瞬間だ」と前のめりだった。

 象徴的なのはアイスホッケー女子で韓国との合同チームを了承したことだ。

 IOCは五輪憲章で、こう記す。「独立性を守り、スポーツの自立性を保護するために行動する」「スポーツと選手を政治的、または商業的に不適切に利用することに反対する」

 しかし、今回、合同チームの編成は南北融和の象徴が欲しい韓国大統領府が主導したプラン。北朝鮮選手が入ることで出場時間が減るかもしれない韓国の選手が割を食う犠牲者になった。

 しかも、アイスホッケーはチーム戦術を磨き、1+1が3にも4にもなる連係プレーの習熟に味わいがある。今回は本来の答えの2にもならない懸念が強い。

 1991年に千葉市で開かれた卓球の世界選手権で南北合同チームが結成された時、パイプ役の荻村伊智朗・国際卓球連盟会長(当時)らが統一チームの練習場を確保するなどした。入念に環境を整え、女子団体の優勝に結実した。現場の意向を無視して土壇場で決めた今回は唐突すぎる。

 てんびんにかけられたのは、「平和の懸け橋」を演出したい功名心と、スポーツで尊ばれる公平さの担保。IOCは「アスリートファースト」の大義を捨てた。声明を読み上げたバッハ会長が質疑応答に応じなかった背景に、選手を軽んじる政治決着を指摘されたくない後ろめたさを感じた。(ローザンヌ=稲垣康介)

■IOCの決定の骨子

・北朝鮮の参加を例外措置として認める
・開会式では、南北が合同行進する。南北の選手1人ずつが一つの統一旗を持って先導する
・アルペンスキー3選手、ノルディックスキー距離3選手、アイスホッケー12選手、フィギュアスケート
・ペア2選手、ショートトラック2選手の3競技計22選手が参加・24人のコーチやスタッフ、21人のメディア関係者も参加
・アイスホッケー女子について南北の合同チームを認める
(合同チームは韓国の23選手に、北朝鮮の12選手を追加する。試合ごとに韓国の監督が試合に出場できる22選手を選ぶが、少なくとも3選手は北朝鮮の選手を含める。「コリア」として出場し、国旗国歌に代わり、統一旗と朝鮮民謡「アリラン」を使う)


3試合(+順位決定戦2試合)しかない中で、たぶん大統領府からは「北朝鮮選手全員を1試合は出すように」とプレッシャーをかけられるでしょうし(日本戦では南北同数?)、「せめて1勝」という思いもあるでしょうし、監督(カナダ人)は大変ですね。そして、出場機会を減らされる南選手、他チームに放り込まれ、ミスしたら・・・の北選手にも同情。

(スパイス 2017/12/07)

(略)出場国は計8チームで、上位4チームのA組と下位4チームのB組と分かれて予選を戦い、決勝トーナメントへは日本が所属するB組から2チームが出場できる。

A組ではアメリカ、カナダ、フィンランド、ロシアと、世界ランキング1位から4位までのチームが争う。日本は世界ランキング9位ながら、五輪予選大会で上位のドイツ(8位)を下して出場を決めた。B組は日本のほか、世界ランキング5位のスウェーデン、6位のスイス、そして開催国の韓国(同22位)の4チームとなっている。

日本が決勝トーナメントに進出するためには韓国はもちろんのこと、上位国のスウェーデンかスイスを撃破しなくてはならず、厳しい戦いが予想される。(略)



 平昌五輪のアイスホッケー女子には8チームが出場。1次リーグは世界ランキング上位のA組と、最終予選で出場を決めたチームや開催国などのB組に分かれて行われる。A組の1、2位は準決勝に進出。A組の3、4位とB組の1、2位で準々決勝を行う。


北朝鮮参加「従うしかない」=日本アイスホッケー連盟
(時事通信 2018/01/20)

 平昌五輪のアイスホッケー女子で、日本は2月14日の1次リーグB組最終戦で南北合同チームと対戦する。日本アイスホッケー連盟の八反田孝行強化本部長は、「われわれにはコントロールできないこと。決定に従うしかない」と淡々と語った。

 1チームの登録人数は23人までと定められているが、合同チームは特例で韓国の23人に北朝鮮の12人を加えた35人までが認められる(ベンチ入りは他チームと同じ22人まで)。そもそも北朝鮮は五輪予選に出場しておらず不公平に見えるが、八反田強化本部長は「いろいろな思いはあるが、それを言葉にすることはできない」と不満をのみ込むように話した。

 日本の世界ランキングは9位。22位の韓国と25位の北朝鮮の合同チームには実力で上回っているとみられる。八反田強化本部長は「われわれが目指すのはメダル獲得。目標はこの問題よりもっと先にある」と強調。合同チームを意識し過ぎず、競技そのものに集中して好成績を目指す姿勢を示した。