(朝鮮日報 2018/08/29)

 韓国政府はおよそ470兆ウォン(約47兆1000億円)に上る巨額の来年度予算を編成したが、一方で北朝鮮の人権問題と関連する予算については大幅に削減した。具体的には北朝鮮人権財団の運営に充てられる予算は108億ウォン(約11億円)から8億ウォン(約8000万円)となり、韓国統一部(省に相当、以下同じ)の予算も「北朝鮮の人権」という言葉が入るものは138億ウォン(約13億8000万円)から25億ウォン(約2億5000万円)に減った。

 韓国政府は国家人権委員会の北朝鮮人権担当部署を縮小し、また韓国外交部の北朝鮮人権国際協力大使も任命していない。北朝鮮の人権問題に取り組む弁護士団体の代表は「北朝鮮人権の団体は銀行口座が差し押さえられ家宅捜索を受けるなど、政府から厳しい圧力を受けている」と明らかにした。実際に一部の関連団体は過去に政府から支援を受けた事業費の使い道などについて捜索を受けたという。影響でこれらの関連団体では政府からの支援はもちろん、企業からの寄付も大幅に減っているそうだ。ある団体の代表は「このままでは団体そのものが立ちゆかない」と語る。

 これとは対照的に北朝鮮との経済協力や経済支援に使われる南北協力基金は9624億ウォン(約964億7000万円)から1兆1004億ウォン(約1103億円)に増額された。例えば南北経済協力の基盤を造成するための融資について見ると、200億ウォン(約20億円)から1197億ウォン(約120億円)へと6倍に増えた。現状では米国のトランプ大統領がポンペオ国務長官の訪朝をキャンセルさせるなど北朝鮮の非核化は進展が見られないが、それでも韓国政府は北朝鮮に支援する予算を先に増額した。順序が完全に逆だ。

 韓国における進歩左派は国内の人権問題については非常に神経質だが、今も奴隷のような生活を強いられている北朝鮮住民の人権問題からは完全に顔を背けている。旧西ドイツによるいわゆる「東方政策」を推し進めた故ブラント元西独首相は1970年の第1回東西ドイツ首脳会談の際「人権問題の進展を伴う関係改善がわれわれの目的だ」と明言した。これに対して南北首脳会談に臨んだ故・金大中(キム・デジュン)元大統領、故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、そして今の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はいずれも北朝鮮住民の人権を踏みにじる独裁者の気分を害しないよう特別に神経を使っていた。これでは彼らが口にする人権だとか民主主義という言葉は一体何を意味するのか全く理解できない。