(日本経済新聞 2019/01/07)
2019年の日中韓の関係について各国の経営者に尋ねたところ、日本企業の「親中離韓」が今後一段と進む見通しが鮮明となった。韓国では元徴用工訴訟で日本企業への賠償命令が相次ぎ、日韓両国で5割超が関係悪化を見込む。日中関係は18年10月の首脳会談を受けて関係改善が進んでおり、ビジネス交流の拡大にも期待が高まる。


「判決は日韓請求権協定や日本政府の見解に反している」。18年11月、新日鉄住金の宮本勝弘副社長は韓国大法院(最高裁)が元徴用工への損害賠償を同社に命じたことに対して遺憾の意を示した。原告側は韓国の裁判所に新日鉄住金の資産差し押さえの強制執行を申請した。同様の判決は三菱重工業にも出た。
日韓関係が今後悪化すると答えたのは日本で53%、韓国で54%に達した。要因として日本の69%、韓国の45%が元徴用工問題を挙げた。韓国では慰安婦問題も28%に上った。18年12月には海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍にレーダー照射される問題が起こり、日韓関係の新たな火種となった。19年に設備投資を増やすべき国はどこかを聞いた質問でも、「韓国」と回答した日本企業はゼロ。韓国への投資に対する慎重姿勢が鮮明となった。
日本貿易振興機構(JETRO)の石毛博行理事長は元徴用工裁判の判決について「日本企業が韓国でビジネスを行う上で法的な安定性に不安を抱く要素になる」と指摘する。
対照的に日中関係は改善を見込む声が多かった。日本の45%、中国の77%が、今後も関係は改善すると予想した。日中ともに6割前後が日中首脳会談の実現を関係改善の要因に挙げる。
対照的に日中関係は改善を見込む声が多かった。日本の45%、中国の77%が、今後も関係は改善すると予想した。日中ともに6割前後が日中首脳会談の実現を関係改善の要因に挙げる。
「日中と第三国がウィンウィンになる案件をつくっていく」。日立製作所の中西宏明会長は18年10月、北京のイベントで強調した。首脳会談に伴い日本企業のトップら500人が訪中し日中連携による第三国へのインフラ投資などを協議した。第三国市場開拓の合意事業は52件で、「事業金額は200億ドルに達した」(中国の李克強=リー・クォーチャン=首相)。
中国企業の50%は日中関係が改善する要因として「観光・民間交流の拡大」を挙げた。アリババ集団の日本法人の香山誠社長は「日本でキャッシュレス決済のインフラが整えば、訪日中国人の消費額は5兆~10兆円に拡大する」と指摘するなど、日中のビジネスの連携に高い期待を寄せる。
(日本経済新聞 2019/01/06)
調査の概要 日中韓経営者アンケートは、日本経済新聞、韓国の毎日経済新聞、中国・人民日報系日刊紙の環球時報の3紙が共同で2016年12月に実施した。日本と中国は各100社、韓国は104社の経営者が回答した。回答企業の主な業種は各国で製造業が最も多く、日本では50%、中国は48%、韓国は58%だった。
