(朝日新聞 2019/11/03)

 慰安婦問題をめぐり、今年2月に上皇さま(当時は天皇陛下)による謝罪を求めた韓国の文喜相(ムンヒサン)・国会議長(74)が、4日に東京である20カ国・地域(G20)国会議長会議を前に、朝日新聞のインタビューに応じた。自身の当時の発言について、「心が傷ついた方々に、申し訳ないとの心をお伝えしたい」と謝罪した。

 文氏は「慰安婦問題では両国間の合意や談話があったが、解決できていない。被害者の心にしこりと恨み、嘆きが残っているからだ。心の痛みを癒やすことが解決の中心だと強調するなかでの発言だった」と釈明。そのうえで「慰安婦問題は心の問題だと思っている。日本から心のこもった謝罪の言葉が一つでもあれば、解決できると考えている」と述べた。

 問題の発言は、2月にあった米メディアとのインタビューで出た。文氏は当時、上皇さまを「戦犯の息子」とも呼んだ。この点についての見解も問うたが、直接は答えなかった。

 文氏の発言は日本で大きな反発を招き、当時の河野太郎外相が韓国の康京和(カンギョンファ)外相に謝罪や撤回を求めるなど外交問題化。文氏は6月に訪韓した鳩山由紀夫元首相に謝罪する発言をした。

 一方、元徴用工訴訟について、文氏は原告らや韓国世論が納得できるような支援法案を作ったと話した。韓国では与野党が様々な支援法案を国会に出している。文氏は自らの法案を明かさなかった。国会関係者によると、原告らへの支援に充てるため、被告の日本企業のほか、韓国企業の参加、韓国国民の寄付も財源として検討する内容という。

 文氏は「訪日で日本側の反応を探り、国会提出を見極めたい」と語った。国会審議を主導して複数の法案を一本化させ、韓国内で解決への機運を高めたい思惑がありそうだ。

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 今回の文氏の訪日では山東昭子参院議長との会談が開かれる可能性もあったが、山東氏側が拒否した。山東氏は10月に文氏の慰安婦問題をめぐる発言撤回を求める書簡を送っていた。(ソウル=神谷毅、武田肇)

■元徴用工問題で政治家の役割を強調

 韓国国会の文喜相(ムンヒサン)議長は10月下旬に行った朝日新聞のインタビューで、元徴用工訴訟をめぐり、原告らを支援する独自の法案を作るとともに、問題解決に向けて国会審議をリードする考えを明らかにした。また、日韓関係の改善に向け、両国の政治家が努力する必要性を強調した。

 文在寅(ムンジェイン)大統領は元徴用工の原告らが納得できる形での解決を強調してきた。朴槿恵(パククネ)前政権が2015年に日本と交わした慰安婦合意に一部の元慰安婦が反発し、文大統領も合意を批判してきたためだ。

 文議長はインタビューで、韓国政府は日本企業に賠償を命じた大法院(最高裁)判決に従う必要があって動きにくく、原告らや世論に受け入れられる案をつくるのも簡単でないと指摘。そのうえで、「政治家なら動ける」と述べた。

 韓国で政府が認定した元徴用工ら約14万9千人のうち、日本企業を訴えた原告は約1千人にとどまる。原告団は大法院判決をてこに、訴訟に加わっていない人たちも支援を受けられる制度整備を求めている。

 国会には与野党から支援法案が複数提出されており、文議長は「まとめて審議できる」と指摘し、「解決法の模索は可能だ」と述べた。また「被害者と日韓の関連企業が和解を通じて問題を解決することが最も望ましい」とも話した。

 ただ、日本政府は被告の日本企業に負担が生じる形の解決案は受け入れられないとの立場だ。文議長は戦後に日韓が緊張した多くの局面を振り返り、「かつては韓日双方の議員連盟の政治家が重要な役割を担った。韓日の政治指導者、特に議会は今の葛藤を解消するため全力投球しなければならない。事態を放置することは、決して両国国民の利益ではない」と述べた。

 さらに、1998年に小渕恵三首相と金大中(キムデジュン)大統領が未来志向の協力をうたった「日韓パートナーシップ宣言」を挙げ、「宣言の核心は、過去の直視も同時にうたったことだ。韓日の首脳会談を開いて新たな宣言を出し、両国関係の礎を残すため、安倍晋三首相の政治決断とリーダーシップに期待する」と語った。

 そのうえで「夢のような話」とことわったうえで、文大統領の故郷の韓国南部の釜山と、安倍首相の選挙区の下関はフェリー航路でつながっていると強調。「韓日の縁を結ぶその船上で新たな宣言を出せれば象徴的で、両国民も世界も喜ぶのでは」とも主張した。

 また、「韓日関係の悪化は、歴史、法律、経済、安保が複雑に絡まりあっているが、私は心の問題だと考えている。首脳同士が会って心の問題をめぐる雰囲気を変えれば、不買運動や日本旅行の自粛も、一瞬のうちになくなる」と話した。

 文議長は、北朝鮮問題をめぐる日本の関与への期待にも言及した。「朝鮮半島の平和プロセスで日本は決定的な役割を果たすが、南北が統一されるまで北朝鮮は社会主義体制で、中国、ロシアと行動する」と指摘。「韓日は東アジアで、普遍的価値の民主主義と市場経済、法治、人権を共有し、世界のモデルになった」とし、「韓日は米国と共に自由民主主義と市場経済を尊重しており、長い目でみれば今の状況はなんとか解決しないといけない」と述べた。(ソウル=神谷毅、武田肇)

■略歴

 文喜相氏 ムン・ヒサン 1992年に国会議員に初当選し、6選。盧武鉉(ノムヒョン)政権で大統領府の秘書室長(2003~04年)などを務め、18年7月から国会議長。


「『戦争犯罪の主犯の息子』とは言っていない」という韓国側の発言を、ブルームバーグ側のコメントを載せずに報じた朝日新聞が、『“改めて”謝罪した』ことにするためにインタビューしたんでしょうね。

2019年02月09日
2019年02月12日