(NHK 2019/12/25)

カジノを含むIR・統合型リゾート施設などを担当する内閣府の副大臣を務め、自民党を離党[本日午前]した秋元司衆議院議員がIRへの参入を目指していた中国企業から現金300万円などの賄賂を受け取っていた疑いがあるとして東京地検特捜部に収賄の疑いで逮捕されました。秋元議員は24日夜、NHKの取材に対し、「企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切ない」などと不正への関与を強く否定していました。

収賄の疑いで逮捕されたのは、国土交通省や内閣府などの元副大臣で自民党を離党した衆議院議員、秋元司容疑者(48)です。

また中国・深※センに本社がありスポーツくじなどの事業を手がける「500ドットコム」の顧問の紺野昌彦容疑者(48)と仲里勝憲容疑者(47)、それに日本法人の元取締役の鄭希容疑者(37)の3人が、贈賄の疑いで逮捕されました。

東京地検特捜部の調べによりますと、秋元議員はIR・統合型リゾート施設などを担当する内閣府の副大臣を務めていたおととし9月、IRへの参入を目指していた「500ドットコム」側から東京都内で現金300万円の賄賂を受け取ったとして収賄の疑いが持たれています。

また秋元議員は去年2月、企業側から家族とともに北海道旅行への招待を受け航空機代や宿泊費などおよそ70万円相当の利益供与を受けた疑いも持たれています。

東京地検特捜部は紺野容疑者らが海外から数百万円の現金を国内に不正に持ち込んだ疑いがあるとして外国為替法違反の疑いで捜査を進め、今月19日には関係先として秋元議員の事務所などを捜索していました。

秋元議員は副大臣就任後のおととし12月、中国・深センにある500ドットコムの本社を訪問し経営トップと面会したほか、去年2月には、この企業がIRの誘致計画に投資する意向を示していた北海道留寿都村を訪れ、村長や北海道庁の幹部らと面会していました。

特捜部はIRへの参入をめぐる癒着の実態解明を進めるものとみられます。

秋元議員は24日夜、NHKの取材に対し、「企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なくカネを受け取ったこともない」などと説明し不正への関与を強く否定していました。
※深セン=(土偏に川)

◇秋元議員 拘置所に到着

秋元議員を乗せた車は、午後0時40分すぎに東京 小菅の東京拘置所に到着しました。

車の後部座席のカーテンは閉まっていて、車内の様子をうかがうことはできませんでした。

◇秋元議員「カネ受け取っていない」

秋元司衆議院議員は、24日夜、NHKの電話取材に応じ、「中国企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なく、カネを受け取ったこともない」などと不正への関与を強く否定していました。

この中で秋元議員は、おととし12月、中国・深センにある中国企業の本社を訪問し、経営トップと面会したことについて、「深センはIT企業が集積するスマートシティで、企業の活躍ぶりを見たいと思って視察に訪れた。そのついでに、この年の8月にシンポジウムで知り合いになった中国企業を訪問しただけだ。そのときにはIRの話もしていないし、カネももらっていない」と説明しました。

また中国企業がIRの誘致計画に投資する意向を示していた北海道留寿都村を去年2月に訪れたことについては、「地元の企業から遊びに来ないかと言われて家族旅行に行った」と話していました。

そのうえで秋元議員は、「中国企業側から陳情を受けたり便宜を図ったりしたことは一切なく、カネを受け取ったこともない。IRの整備法が成立する前の段階なのに、どうやったら便宜を図れるのか」などと述べ、不正への関与を強く否定していました。

◇秋元司衆議院議員とは

自民党の秋元司衆議院議員は東京都出身の48歳。

国会議員の秘書を経て平成16年の参議院選挙で初当選し1期務めました。

平成24年と平成26年の衆議院選挙では江東区が選挙区の東京15区から立候補し、いずれも比例代表で復活当選しました。

前回の衆議院選挙では小選挙区で初めて当選し、おととし8月から国土交通省の副大臣を、去年10月からことし9月まで環境省の副大臣を務めました。

ことし9月まで内閣府の副大臣も兼務し、去年10月まではIR・統合型リゾート施設などを担当していました。

◇IR・統合型リゾート施設とは

IR・統合型リゾート施設はカジノのほかホテルや商業施設、国際会議場などが一体となった複合施設で、政府の成長戦略の1つに位置づけられています。

平成28年12月にIRの整備を推進する法律が成立し、全国の自治体でIRの誘致に向けた活発になったほか参入を目指す海外の企業が積極的に営業活動を展開し始めました。

この法律で1年以内をめどにIRの整備に必要な法整備を行うことが政府に義務づけられ、去年7月、IRの整備法が成立しました。

成立した法律では、施設の整備区域について、当面は全国で3か所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしているほか、事業者に対してカジノの収益の30%を国に納付することを義務づけています。

観光庁がことし9月までに全国の都道府県と政令市に対し、IRを誘致する意向があるかアンケートを行ったところ北海道、千葉市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府と大阪市、和歌山県、長崎県の8つの地域の9つの自治体が、整備計画の申請を予定、または検討していると回答しました。

このうち北海道では苫小牧市、釧路市、留寿都村が誘致を表明していましたが、ことし11月、北海道の鈴木知事は自然環境への懸念などを理由に誘致を断念する意向を表明していました。

◇IRをめぐる状況

IRをめぐっては、観光庁が行ったアンケートに対し、北海道、千葉市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府と大阪市、和歌山県、それに長崎県の8つの地域の9つの自治体が誘致の意向を示し、このうち北海道は先月、自然環境への懸念などを理由に当面、誘致を断念することを発表しています。

また、大阪府と大阪市は、ほかの自治体に先駆けて、24日からIR事業者の公募を始めました。

大阪では、2025年の「大阪・関西万博」の会場と同じ大阪 夢洲への誘致を目指していて、アメリカに拠点を置く「MGMリゾーツ・インターナショナル」と日本のオリックスの共同グループ、シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」、マカオでIRを運営するGalaxyEntertainmentの日本法人が、事業のコンセプトを提出しています。

府と市では、来年の6月ごろに事業者を決定して、具体的な整備計画を策定する方針で、再来年の1月以降、国に申請を行うことにしています。

◇留寿都村の場谷村長「怒り覚えている」

秋元議員が逮捕されたことを受けて、北海道留寿都村の場谷常八村長は、「留寿都村は、世界一安全で安心なIRを迎え入れようということでコンセンサスを得て前に進めてきたし、国に対しても依存症対策を十分にやってほしいと呼びかけてきた。このようなダーティーな事件が起きたことは大変ショックで衝撃を受けているし、大変怒りを覚えている。1日も早く真相を解明してほしいと願うのみだ。今回の事件によるイメージダウンをどう回復していくか、今後みんなで力を合わせて取り組んでいきたい」と話しました。

◇自民 菅官房長官「捜査に関わり、答え控える」

菅官房長官は、記者会見で「今回の件がIRと関係するかどうかも含めて、捜査機関の活動内容に関わることから、答えは差し控えたい。政府としては、できるだけ早期にIRの整備による効果が実現できるよう着実に進めていきたい」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は、政府の関係者と事業者との接触について、「IRに関係する省庁の職員らが、事業者から制度立案の参考とするための話を聞くことはあったかもしれないが、事業者との接触が一概に禁止されるものではない。政務三役は、行政の中立性や国民の信頼に配慮しながら、個別の状況に応じて適切に判断すべきものだ」と述べました。

一方、来月設置されるカジノ管理委員会について「委員長と4人の委員の下に、独立した職権行使が保証されている。事務局職員についても、こうした委員会の指揮命令のもとに、具体的な事務を遂行するものであり、カジノ規制の公正性や中立性は確保されると考えている」と述べました。

◇自民 河村元官房長官「見守るしかない」

秋元議員が所属する自民党二階派の会長代行を務める河村元官房長官は、NHKの取材に対し、「最近こういう例はなく、副大臣までやった人間なので、政権運営に影響がないと言えば、うそになるが、今は見守るしかないと思っている。逮捕されれば、同時に離党すると思うが、本人は『関与していない』と言っているので、すぐに議員辞職はしないのではないか」と述べました。

◇自民 中谷元防衛大臣「みずから説明を」

自民党の中谷元防衛大臣は、NHKの取材に対し、「収賄はもってのほかで、李下に冠を正さずだ。疑惑については、みずからがきちんと説明すべきだ。IRに関する疑惑なら政権への影響は深刻だ」と述べました。

◇立民 安住国対委員長「構造的な問題 国会で追及」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「IR・統合型リゾート施設などを担当した副大臣が逮捕されたことは、まさに構造的な問題だ。閉会中審査を求めるなど、国会で厳しく追及していく。安倍政権は『カジノで地域経済の活性化を』と言ってきたが、もう一度、原点に立ち返って、カジノは不正の温床になると認識すべきだ」と述べました。

◇国民 玉木代表「徹底的に調査を」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で、「極めて重大な事案であり、事実であれば議員辞職に値する案件だ。どのような利権の構造があったかや、ほかに同じような事案がないのか、徹底的に調査する必要がある。カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備法が成立した過程も検証するため、速やかに内閣委員会や予算委員会の閉会中審査の開催を求めたい」と述べました。

◇公明 山口代表「ゆゆしき事態」

公明党の山口代表は、訪問先のミャンマーで記者団に対し「現職の国会議員が逮捕されたことは極めて遺憾で、ゆゆしき事態だ。副大臣就任中の出来事だったとすれば、断じてあるまじきことだ。徹底して事実の解明を進めてもらい、そのうえで国民の信頼をいかに回復するか、政治全体として取り組まなければならない」と述べました。

◇共産 小池書記局長「議員辞職を求める」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「極めて重大な事態で、秋元氏には、議員辞職を求める。自民党の候補者として公認し、内閣府の副大臣などに任命した安倍総理大臣の責任は重大だ」と述べました。

そのうえで「カジノ利権の闇の深さを示すもので、徹底的な解明が必要だ。国会の責務として、衆・参両院で内閣委員会の閉会中審査を行い、全面的な解明を行うよう与党側に求めたい」と述べました。


派閥のボスは↓


(朝日新聞 2019/12/25)

自民党・二階俊博幹事長(発言録)

 (秋元司衆院議員の逮捕を受けて)党としてこういう事態が起こったことに関しては大変残念でありますし、今後こういったことに対して厳重に対応していきたい。

 本日、秋元衆院議員から離党届が提出された。捜査の最中でありますから、その推移を慎重に見守りたい。捜査の状況は我々もわかっていない。本人は強く嫌疑を否定されているようだ。(議員辞職の必要性は)これからの本人の判断だ。(状況次第で復党の可能性は)当然ありますよ。

 IR(統合型リゾート)そのものは、誰か個人に限定して政策を進めているわけではなく、直接の関係はない。安倍政権そのものが関与したわけではなく、政権に与える影響は別の問題だ。(25日、党本部で記者団に対して)


オープンすればメインの外国人客は中国人でしょうから、中国企業は関わろうとするし、当然、賄賂や接待攻勢があるのは分かりきっているのに、議員も政府も党も脇が甘いですね。

お金を出さないのも、お金を受け取るのも慣れすぎちゃったんですかね。


 カジノ中毒相談5万人 韓国、経済振興策の裏で
(朝日新聞 2014/03/14)

 夜通しルーレット台に張り付いた韓国人男性(63)の目は真っ赤に充血していた。

 かつての炭鉱の町に2000年、開業した韓国北部のカジノリゾート「江原(カンウォン)ランド」。男性はこの3カ月で27回、カジノに通った。この日、約70万ウォン(約6万6千円)を一晩で失い、「中毒管理センター」で初めてのカウンセリングを受けた。

 カジノにのめり込んだのは1年半前。1日で300万ウォン(約28万円)勝って味をしめた。趣味の乗馬をやめ、カジノの金を捻出するために酒やたばこも買わなくなった。仕事が休みになると、家族に内緒でソウルから 高速バス でやって来る。「友人は絶対に連れて来ない。ダメになるのは私一人でいいから」

 中毒管理センターはランドが開設。カウンセリングのほか、専門家がギャンブル依存症かどうか判別し、重症者には病院の案内をしている。カジノ客なら無料で利用でき、利用者は開設から13年間で約5万人に上る。依存症対策の先例として、カジノの誘致を目指す日本の自治体の県議も視察に訪れたという。

 センターの目と鼻の先には、カジノのきらびやかなネオンが光る。男性も「カウンセリングを受けたからもう大丈夫」と言いながら、再びカジノのゲートをくぐって行った。

 カジノで財産を失い、ランド周辺の安宿やサウナに住み着く「カジノホームレス」も問題になっている。

 「今も100人以上いる。カジノで働いて金をため、またカジノで失っての繰り返し」。地元の警察署のベテラン警察官は苦笑した。治安の良さを強調しながらも、「他人の 身分証 を使った違法な入場はほぼ毎日。違法な闇金や金を失った客が放火することもある」。開業後、ランド内で自殺した客は48人を数える。

 ランド側も対策を打ってきた。当初は24時間営業だったが20時間に短縮。客は入場記録が管理され、1カ月の利用回数は15回に制限されている。

 暴力団のカジノ運営への介入が問題視された過去がある韓国で、ランドは炭鉱閉鎖後の経済振興策として誘致され、国内で唯一、例外的に自国民の入場が認められた。12年の入場者数は約300万人。国へ納める税金も年間5千億ウォン(約475億円)に上るという。約3千人いる従業員の6割は地元採用だ。


 それでも、かつてカジノを誘致した住民団体代表の崔慶植(チェキョンシク)さん(52)は「カジノができてよかったことは何もない」と不満げだ。

 カジノが開業した年に約2万5千人いた人口は、約1万5千人にまで減った。子育て中の若い世代が町を出てしまい、 人口減少 に歯止めがかからないという。

 「カジノができて町は質屋と飲み屋が増え、性的なマッサージ店もできた。この環境で子どもを育てたいと思う人はいないでしょ」。崔さんはつぶやいた。
     ◇
 韓国にある17カ所のカジノのうち、韓国人が入場できるのは江原ランドだけだ。12年の入場者数は約300万人で、全てのカジノの総売り上げの半分を占める。ギャンブル産業の問題に取り組む政府機関の試算では、10年の韓国の賭博中毒による経済的損失は約78兆ウォン(約7兆4千億円)。担当者は「カジノは中毒率が最も高い。勝った時に得られる金額が大きく、愛好家が最後に行き着く」と指摘する。(略)