(朝日新聞 2020/04/25)

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が日本に対し、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査キットなどの支援を検討していることが、文政権の高官らの話でわかった。販売や無償提供も想定しているとみられる。ただ、国内の対日世論を考慮し、日本政府からの要請を実施の前提とする方針だ。

 高官らによると、文政権は感染者数が拡大している日本で検査需要が高まると分析。マスクの提供や医療スタッフの派遣も含め、日本側の考えを聞くため、保健当局間での電話協議を提案している。支援を通じて、停滞する対日関係改善の足がかりを得たいとの思いもあるという。

 韓国保健福祉省によると、国内のPCR検査数は95万件を超える。日本は23日までで約22万1千件(厚生労働省の公表数値)だ。

 韓国の検査キットを日本国内で使う場合、日本の承認審査が必要になる。また、韓国では日本政府の対韓輸出規制強化が続くことに対する反発も続いている。このため、文政権は、日本の要請を受けて応じた形を取りたい考えという。

 韓国政府はかつて中東呼吸器症候群(MERS)の国内流行を許した教訓を受け、新型コロナの感染が国内で拡大する前から民間企業と調整して大量の検査キットを準備。現在の検査能力は1日1万5千~2万件とされる。全国600カ所近くで検体を採取し、研究機関など約120カ所で調べる態勢を取っており、最速約6時間で結果が判明するという。これまでにトランプ米大統領の要請に応じ、今月中旬に60万回分の検査キットを米国向けに輸出している。(ソウル=鈴木拓也)