(産経新聞 2020/08/19)

 韓国政府は19日、日本製産業用バルブへの反ダンピング(不当廉売)課税を撤廃した。課税は不当だとする日本側の提訴を受け、世界貿易機関(WTO)が昨年9月に協定違反を認定し、是正を勧告していた。経済産業省は同日、「WTO紛争解決手続きを通じ、問題措置の早期解消につながった」と評価する一方、韓国が本来の是正期限だった5月30日までに課税を撤廃しなかったことについては「是正勧告の誠実な履行とはいえず、遺憾だ」というコメントを出した。(高橋寛次、ソウル 名村隆寛)

 韓国政府は公式にコメントせず、日本の経産省が、19日午前0時の課税措置撤廃を確認し、発表した。韓国はWTOのルールで認められた2015年からの5年間の課税措置が満了したという理屈で、日本側の主張を受け入れたと認めたくなかったようだ。

 対象となったのは「空気圧伝送用バルブ」で、圧縮した空気の流れを制御する部品。自動車や家電など工場の組立工程で使われる。韓国は、日本企業が不当に低価格で輸出したと主張し、15年に11・66~22・77%の追加関税を適用した。日本は韓国の措置はWTO協定違反だとして提訴。WTOは1審に続き、最終審に当たる上級委員会も日本側の主張に軍配を上げ、昨年9月に韓国側の協定違反を認定していた。

 韓国は是正期限前日の今年5月29日、「再調査を行い、措置を是正した」と主張しすぐには課税を撤廃しなかった。8月18日の期間満了まで課税を続け、延長しないという形を取った。


(日本経済新聞 2020/08/19)

(略)産業用空気圧バルブの韓国への輸出額は年間約37億円で、日本側メーカーは5年間で約20億円の関税を追加で負担していた。経産省は「措置の撤廃はWTO紛争解決手続きの成果だ」としている。


(ニューシス 韓国語 2020/08/19)

〇昨年9月、WTO上訴機構で事実上、勝訴
〇国内生産者の再審要請なかっため期限で終了

韓国の日本産空気圧伝送用バルブへの反ダンピング措置が19日0時付で終了したことについて、日本政府は世界貿易機関(WTO)の紛争解決措置の成果だと明らかにした。これに対し産業通商資源部[省に相当]は「WTOの判定と関係ない」と線を引いた。

19日、産業通商資源部によれば、産経新聞と共同通信は本日、日本経済産業省の報道資料を基に「韓国がWTO紛争で日本に敗訴した産業用バルブに対する関税を撤廃した」と報道した。

日本経済産業省は該当報道資料で「アンチダンピング措置の終了は、WTO紛争解決手続きを通じ問題措置の早期解消につながった例として評価できます」と言及した。

これに先立ち日本政府は、韓国政府の日本産空気圧伝送用バルブに対する反ダンピング関税賦課措置をWTOに提訴した。このバルブは圧縮空気を利用して機械運動に関与する部品で、自動車、電子製品などに使われる。

韓国政府の立場はこれと異なる。提訴以後、WTOパネルおよび上訴手続きが進められ、昨年9月、最終的に韓国政府が事実上、勝訴した。

当時、WTO上訴機構は、価格効果分析方法の一部と秘密情報処理、公開要約情報水準を除き、日本側の主張をいずれも棄却した。反対に11個の主な争点ですべて韓国側の手をあげた。

産業部は本日、説明資料を出して「日本側の主張が引用された一部争点について、WTO手続きにより誠実に履行を完了し、日本とWTOに通知した」と明らかにした。それと共に「反ダンピング措置の終了は賦課期間の経過によるもので、国内生産者が再審要請をしなかったため」と説明した。

国内生産者は反ダンピング関税賦課以降、日本産バルブの輸入が大幅に減少して再審を要請しなかった。再審要請期限は反ダンピング措置終了の6か月前までだ。

産業部関係者は「韓国政府は去る5月29日付で配布した報道資料『WTO韓日空気圧バルブ反ダンピング紛争履行完了』で、ダンピング防止関税賦課措置は5年の賦課期間が満了する19日0時に期限終了する予定だと明らかにした」と伝えた。(機械翻訳 若干修正)


(経済産業省 2020/08/19)

1.概要
令和元年9月10日、WTO上級委員会は、我が国の申立てに基づき、日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置(以下、「本アンチダンピング措置」といいます。)につき、「千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」に整合しないと判断し、韓国に対し措置の是正を勧告しました。韓国は本年5月30日までに是正措置をとる旨、日本と合意しました。

韓国政府は、本年5月29日、対外的に以下の発表を行いました。

・本アンチダンピング措置の再調査を行い、協定不整合であった部分を是正したうえで、課税を継続する。
・本アンチダンピング措置は、5年の期間が満了する今年8月19日午前0時をもって終了する。
・本アンチダンピング措置は、上記発表の通り、本日正式に撤廃されました。

2.日本政府の受け止め
我が国は、これまでも韓国に対し、WTO協定に整合しない本アンチダンピング措置を速やかに撤廃することを繰り返し求めてきました。今回措置が撤廃されたことは、我が国が申し立てたWTO紛争解決手続の成果です。

アンチダンピング措置の期間は、原則として発動から5年間ですが、措置延長調査を行うことにより、それ以上に延長される余地もあります。そのような中、韓国政府の5月29日の発表に沿った今回の措置の撤廃は、問題となった措置を延長しない方針を早々に決定・公表した上で実際に措置が撤廃されたものであり、WTO紛争解決手続を通じ問題措置の早期解消につながった例として評価できます。

なお、韓国が本来の是正期限である5月30日を超えて課税を継続したことについては、WTOの是正勧告に沿った誠実な履行とは言えず、遺憾です。しかし、措置が8月で終了する旨が発表されたこと、及び、WTO紛争解決手続を通じて是正内容の適否を確認する手続には通常1~2年かかること等を考慮し、韓国の対応を注視してまいりました。また、本年6月15日には、日本側の関税譲許その他の義務の停止(韓国製品に対する関税引き上げ等。WTO協定上のいわゆる対抗措置)の権利を保全する手続(韓国との間で合意文を締結しWTOに通報)をとり、措置の早期撤廃を促していました。

3.今後の予定
韓国政府が措置を撤廃したことを踏まえ、対抗措置等、WTO上の更なる法的手続の実施は見合わせる方針です。

我が国は、今後も、WTO紛争解決手続を通じ、新興国等に多く見られる保護主義的な貿易救済措置の濫用はWTO協定上容認されないことを明確にし、かかる措置の是正・撤廃を目指していきます。

4.参考
 1.2.3(略)

 4.アンチダンピング措置の延長とは
  アンチダンピング措置は、発動から5年以内に終了するのが原則ですが、措置延長調査を行い、アンチダンピング措置を終了するとダンピング及び損害が存続し又は再発するおそれがあると認定する場合は、措置を延長することができます。

  現在韓国が日本製品に対し課税中のアンチダンピング措置5件のうち、4件は期間が延長されて課税が続いています。


結局、期限終了の6か月前、2月18日前には韓国政府は撤廃するしかないと判断していたわけですね。

幸い(?)反ダンピング措置期限の残りが少なく、WTO是正期限から3か月弱だったので、このくらいならうやむやにできると踏んで、5月29日の発表になったんですね。