(朝日新聞 2021/03/24)
韓国の元慰安婦の李容洙(イヨンス)さん(92)ら20人が日本政府に総額30億ウォン(約2億9千万円)の賠償を求めた訴訟の弁論が24日、ソウル中央地裁で再開する。米バイデン政権を介して日米韓3カ国協力の重要性を確認した日本と韓国だが、両国の関係改善には歴史問題にからむいくつもの訴訟が重くのしかかる。
李さんらが原告の訴訟は1月13日に判決が予定されていたが、直前に判決期日が取り消され、弁論の再開が決まった。裁判官は理由を明らかにしていない。
同地裁では1月8日に別の裁判官が、元慰安婦らが日本政府を相手取った同様の訴訟で、原告の請求を全面的に認める判決を出した。国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の原則「主権免除」が適用されるとの日本政府の主張は退けられた。法曹関係者によると、この判決を踏まえ、裁判官は追加審理が必要と判断した可能性があるという。
判決の言い渡し時期は見通せないが、日本政府は主権免除を理由に裁判自体への参加を拒んでいる。仮に原告が勝訴しても、1月8日の確定判決と同じく、日本政府が賠償に応じる見込みはない。原告側は勝訴した場合、韓国内にある日本政府の資産差し押さえも検討するが、在外公館の不可侵を定めたウィーン条約があり現実的には困難だ。
このため、李さんは2月、韓国政府に対して、日本の賠償責任を求めて国際司法裁判所(ICJ)への提訴を求めた。韓国政府は、元慰安婦たちの「意向を確認する」として、判断を示していない。
日本政府は、1965年の日韓請求権協定により、過去の植民地支配で生じた被害の補償問題は解決済みと主張する。だが、「被害者中心主義」を掲げる文在寅政権の発足後、日本にとっては厳しい司法判断が続く。
元徴用工訴訟では、2018年秋に韓国大法院(最高裁)が相次いで新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業に賠償を命じ、日韓関係が急速に冷え込むきっかけとなった。この訴訟をめぐっても、日本政府は請求権協定を理由に「判決は国際法違反」との立場を崩さない。このため、原告への支払いにあてるために韓国内の両社の資産を売却する「現金化」の手続きも進む。
ソウル中央地裁は16日、6年前の提訴以来、審理が行われてこなかった三井造船(現・三井E&S)やJX日鉱日石エネルギー(現・ENEOS)など日本企業17社を被告とする元徴用工訴訟について、訴訟書類を企業側に伝えたとみなす公示送達の手続きを取り、弁論の開始を決めた。
訴訟関係者によると、同地裁では667人の元徴用工や遺族が日本企業69社を相手取った大型訴訟も近く、公示送達により審理が始まる可能性があるという。裁判所のウェブサイトなどによると、韓国ではほかにも日本企業に賠償を求める14件の元徴用工訴訟が確認できる。
日米韓の協力で中国や北朝鮮を牽制(けんせい)したいバイデン米政権は今月、国務長官と国防長官を日韓に派遣し、地域の安全保障にとって3カ国の連携が不可欠と確認する共同声明を出した。文大統領も今年に入り、対日関係の改善に向けた意欲を示す。ただ、元徴用工や元慰安婦の問題をめぐる現状を打開する具体的な解決策の提示については「日本側への譲歩は政治的リスクが高い」(韓国大統領府の関係者)との意見が根強い。今後の裁判でも日本側に厳しい判断が相次げば、日韓関係はさらに厳しい状況に陥ることになりそうだ。(ソウル=鈴木拓也)
法治のふりなんてしないでとっとと判決を出せばいいのにね。
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