(聯合ニュース 2021/09/29)

 韓日関係の改善に消極的だった菅義偉首相の後任を選ぶ自民党総裁選が29日にあり、穏健派とされる岸田文雄前政調会長が選出されたものの、冷え込んだ両国関係に画期的な変化をもたらす可能性は低いとみられる。

 両国のあつれきは韓国裁判所が日本企業や日本政府に対し、強制徴用被害者や慰安婦被害者への賠償を命じる判決を下したことを受け、日本側が事実上の報復として対韓輸出規制を強化したことで始まったが、これらの問題に対する岸田氏の見解はこれまでの日本政府の立場と変わらない。

 岸田氏は自民党内ではハト派として知られるものの、韓国の専門家らは自民党のトップが変わっても、政策路線に大きな変化は期待できず、日本国内の雰囲気も韓国に友好的ではないとみている。

 菅政権は強制徴用や慰安婦問題を巡る両国のあつれきは韓国側に原因があると主張しているが、岸田氏も同様の立場を示している。

 岸田氏は安倍晋三政権で4年8カ月にわたり外相を務め、両国が慰安婦問題を巡る合意に至った2015年当時も外相を務めていた。自身が主導的な役割を果たしてなされた合意を履行しない韓国政府に対して不満もあるようだ。

 岸田氏は今月18日に行われた日本記者クラブ主催の自民党総裁選候補者による討論会で、日本は慰安婦合意の内容をすべて履行したとし、問題解決のボールは韓国側にあると考えると話した。

 韓国・国民大の李元徳(イ・ウォンドク)教授(日本学)は「岸田氏は安倍氏や菅氏より、韓国との関係改善のために誠意あるアプローチをする可能性はあるが、懸案については容易ではないだろう」とし、岸田氏が首相に就任しても韓日関係に大きな変化は起きそうにないと見通した。

 一方で、北朝鮮核問題を巡る協力は今後も続くものとみられる。日本は北朝鮮の核・ミサイル問題に限っては韓国と意思疎通を続けており、韓国も朝鮮半島平和プロセスの進展のために日本の協力が必要な状況にある。


(朝鮮日報 2021/09/29)

 岸田文雄元外相(64)が、菅義偉首相(73)の後継となる日本の次期指導者に確定した。岸田氏は29日、菅首相の任期満了に伴って行われた自民党総裁選の決選投票で、全429票のうち過半数を超える257票を獲得し、新総裁に選ばれた。岸田氏は来月4日の臨時国会での首相指名選挙を経て日本の第100代首相に選出された後、新内閣を発足させ、近く行われる衆議院総選挙に臨む。議会では自民党と公明党の連立与党が過半数を占めており、首相選出は確実な状況だ。

 この日行われた自民党総裁選の1回目の投票では、岸田氏が全764票(国会議員382票、党員・党友382票)のうち256票を獲得して1位になるという異変が起きた。岸田氏は国会議員票146票、党員・党友票110票を獲得。当初、1回目の投票で1位が有力視されていた河野太郎・行政改革担当相は、国会議員票86票、党員・党友票169票で計255票にとどまった。

 過半数得票者がいなかった場合に上位2人の候補が決選投票を行うという自民党総裁選の規則に則り、河野氏と岸田氏は国会議員票382票と都道府県連票47票をめぐって再び激突。岸田氏は決選投票で257票を獲得し、河野氏(170票)を87票差で破った。河野氏の当選を阻止しようとした安倍晋三前首相ら保守主流勢力の票が岸田氏に集まり、岸田氏が当選したとみられている。

 安倍内閣で4年7か月にわたって外相を務めた岸田氏は、2015年の韓日慰安婦合意を主導した人物だ。そのため、慰安婦や強制徴用被害者の賠償問題に関しては「韓国が国際法と国際合意を遵守すべき」として「韓日関係改善のボールは韓国にある」と強調している。岸田内閣は、米日関係と価値を共有する国々との外交を主軸とする安倍氏の外交路線も踏襲する方針だ。ただし、岸田氏はアジア・太平洋外交を強調する自民党の名門派閥「宏池会」を継承しているため、「岸田内閣が今年の衆議院選挙と来年の参議院選挙で良い結果を収めて安定すれば、この先の韓日関係の改善も期待できるかもしれない」との評価も出ている。

 宏池会は伝統的に、韓国・中国といった周辺国との外交を重視している。宏池会が輩出した代表的な首相としては、朴正煕(パク・チョンヒ)国家再建最高会議議長(当時)と韓日国交正常化を初めて議論した池田勇人、「金鍾泌(キム・ジョンピル)-大平メモ」の当事者だった大平正芳、太平洋戦争に対する反省と責任を主張した宮沢喜一が挙げられる。


(中央日報 2021/09/29)

29日に行われた日本の自民党総裁選挙は予想より簡単に岸田文雄前政務調査会長の勝利で終わった。岸田氏は1回目の投票で河野太郎行政改革担当相を1票差で押さえ、その後に続いた決選投票では257対170と大差で勝利した。

日本の新首相になる岸田新総裁は1957年生まれで、東京生まれだが広島に政治的基盤を置いている。衆議院議員に9回当選し外相や自民党政調会長など要職を歴任したが目立った動きを見せず河野氏らスタータイプの政治家に比べると大衆的な認知度は高くない。

祖父の岸田正記氏、父の岸田文武氏はともに経済人出身の政治家だ。駐在員として派遣された父親に同行し米ニューヨークで小学校に通って体験した人種差別を契機に政治家の夢を持ったという。早稲田大学法学部を卒業後、日本長期信用銀行で働き1993年に父親の選挙区を受け継いで衆議院議員に初めて当選した。当時ともに初当選議員として国会に入った同期が安倍晋三前首相だ。

伝統的に周辺国との友好関係を強調してきた派閥の宏池会(現在の岸田派)のトップであり、派閥性向で見れば自民党内でリベラル、穏健保守政治家に分類される。しかし思想的に異なる安倍前首相とも対立せず従順的な立場を取り、安倍氏の後に続く「後継者」に挙げられてきた。2007年の第1次安倍内閣では内閣府特命担当大臣として初入閣し、第2次安倍内閣では外相と防衛相を務めた。2015年の外相在任当時には安倍前首相に代わり「韓日慰安婦合意」に直接署名した人物でもある。

銀行員出身で産業分野に顔が広く、特に自動車業界と密接な関係を結んでいる。日本メディアによると、1988年に結婚した裕子夫人も広島出身で、結婚前に広島に基盤を置く自動車メーカーのマツダで役員秘書として勤務していた。こうした縁から自動車産業に格別の関心を持つことになったという。

今回の総裁選挙では「令和版所得倍増政策」を経済公約に掲げた。アベノミクスの金融緩和政策など成長戦略はそのまま維持するが、利益が企業だけでなく個人にも等しく行き渡るよう分配を強化するという計画だ。成長促進に向け消費税を向こう10年は引き上げないと明らかにした。

自身の政治哲学を明確に表わさない岸田氏が作っていく日本がどのような姿になるのか描き出すのは容易ではない。政治学者で東京工業大学教授の中島岳志氏は『自民党 価値とリスクのマトリクス』という著書で岸田氏を、ビジョンを示さず敵を作らないことで有力な地位を手に入れてきた順応型だと表現した。

自らも昨年出版した『岸田ビジョン』という著書で重要と考える価値として「信頼」と「協力」を掲げ、「リーダーは、人を輝かせるためにある」と主張したりもした。今回の選挙で自民党の実力者である安倍前首相、麻生太郎副総理の支持を背景に首相に上がっただけに、安倍氏と麻生氏の陰から抜け出せなかった菅義偉首相の前轍を踏むことになるかもしれないとの話がすでに出ている。

プロ野球チーム広島カープの熱心なファンだ。英語に堪能で2016年の外相在任時には広島を訪問した当時のオバマ米大統領を直接案内する姿が話題になったりもした。「日本の政界で最も酒が強い」という評で、ロシアのプーチン大統領と昼間からウォッカ対決を行ったという噂が広がったほどの酒好きとしても知られている。