(中央日報 2023/06/22)
韓国与党「国民の力」が中国人の地方選挙投票権を制限する内容の公職選挙法改正案を党論として推進する。

「国民の力」指導部関係者は21日、中央日報との通話で「韓国国民に投票権を付与する国の国民にだけ韓国も投票権を付与するのが相互主義次元で正しい。『外国人投票権制限法』を党論法案として推進するだろう」と話した。

これは金起炫(キム・ギヒョン)代表が20日の国会交渉団体代表演説で明らかにした「相互主義に立脚した外国人投票権制限」の方針の後続措置だ。金代表は演説で「中国にいる韓国国民には参政権が全く保障されていない。なぜ韓国だけがかんぬきを開けなければならないのか」と指摘した。

現行法は永住権を取得して3年が過ぎた満18歳以上の外国人に地方選挙(基礎・広域議員と団体長)投票権を付与する。

「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)、洪碩晙(ホン・ソクジュン)議員は昨年12月に外国人投票権制限法(公職選挙法改正案)を発議したが、与党はこれを党論として採択する予定だ。金代表は21日に中央日報との通話で「外国人投票権制限法に野党が同調しなければ次期総選挙の公約として掲げるだろう」と明らかにした。

①嫌中か、相互主義か

しかし争点は少なくないという見方が出ている。昨年3月基準で外国人選挙権者は12万7623人で、このうち78%の9万9969人が中国国籍だ。また邢海明駐韓中国大使が「ベッティング」発言をしてから起きた事案だ。野党が「嫌中政策」と反撃する理由だ。

与党は「相互主義に立脚した方針であるだけに特定国に向けた感情的措置ではない」という立場だ。「国民の力」指導部は「韓国が2006年の地方選挙から自国民に投票権を付与するとスペインは相互主義に基づき韓国国籍者に投票権を与えた。外国人投票権も国際基準や慣例に合わせなければならない」と話した。

2005年の法改正時と状況が変わった点も与党は強調している。当時の法改正は日本政府の在日同胞への参政権付与を促すための性格だったが、まだ日本政府は投票権を与えていない。「国民の力」関係者は「改正された法の実益が少なく原状回復すべきという意見も多い」とした。

ただ野党「共に民主党」関係者は、「外国人も税金を払っているだけに政治的意思決定過程に参加させなければならない。韓国は多文化時代に進入しており外国人の政治的権利をさらに拡大しなければならない」と明らかにした。

②「中国人が地方自治体首長の当落決定」

それなら実際に外国人有権者が状況を思うままにできるだろうか。外国人有権者は2006年の6726人から2022年には12万7623人と大きく膨らんだ。

与党は特に外国人有権者が多く居住するソウル南部や仁川(インチョン)、京畿道(キョンギド)南部地域などが彼らの集団的意志表示により当落が変わるとみている。「国民の力」関係者は「中国がカナダやオーストラリアなどで親中派の政治家を当選させるために選挙介入をしたという疑惑もある。中国人が集団で票を行使すれば自治体首長選挙への影響は少なくないだろう」と話す

③日米中は与えていない外国人投票権

現在、米国、中国、日本は外国人に投票権を付与していない。「投票権は国民主権の原理により国籍者にだけ付与された固有の権利」という論理だ。アジアに限定しても外国人に投票権を与えているのは韓国が唯一だ。

これに対し欧州は外国人投票権を広範囲に付与している。欧州連合(EU)加盟国であるアイルランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ベルギーなどは国籍を問わず外国人に地方選挙投票権を与えている。ドイツ、フランス、イタリアなどはEU加盟国の国籍者に限り、英国とオーストラリアは英連邦国国籍者に投票権を付与している。

「国民の力」関係者は「欧州諸国は移民政策を積極的に施行しているが、まだ移民を受け入れるのに消極的な韓国とは事情が異なる」とした。

④「野党の親中行動は票が目当て」vs「集団で投票は難しい」

法案改正時に与野党の得失はどうなるだろうか。現在としては「民主党は中国人の全面的な支持を受ける」(与党)という意見と「中国人だからと特定政党を支持したりせず法改正の影響力は限定的だろう」(野党)という主張に分かれる。

まだ外国人投票権が選挙に及ぼす影響に対して明確な分析はない。ただ神経戦は少なくなかった。特に2021年4月のソウル市長補欠選挙時に台湾国籍の華僑であるチャン・ヨンスン元華僑協会事務局長は民主党の朴映宣(パク・ヨンソン)候補を支持する演説をした。すると「国民の力」は「中国人の助けを受ける朴候補は『現代版閔妃』」と猛非難した。


(産経新聞 2023/06/22)

【ソウル=桜井紀雄】韓国の保守系与党「国民の力」の金起炫(キム・ギヒョン)代表が、韓国に住む中国人の一部に認められている地方選挙での投票権を制限する考えを表明したことが波紋を広げている。中国大使が尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の外交を批判する発言をしたことで政府・与党内の中国への反感が高まっていることに加え、与党側には嫌中感情の強い若者層を取り込む狙いもうかがえる。

「中国にいる韓国国民には参政権が全く保障されていない。なぜ私たちだけが門戸を開かなければならないのか」。金氏は20日、国会の演説でこう述べ、在韓中国人の投票権を制限する法改正を進める方針を示した。金氏は21日にも、野党が賛成しない場合、来春の総選挙で公約に掲げてでも改正を目指す考えを強調した。

韓国では2005年から外国人の地方参政権が認められ、現行法では、永住権の取得から3年が経過した18歳以上に地方選挙に限って投票権が付与される。昨年3月現在、該当する外国人有権者は約12万7000人だが、そのうち中国人は約10万人で8割近くを占める。

与党内では、中国人有権者が本国の意向を受けて親中傾向の強い革新系最大野党「共に民主党」に投票し、選挙結果を左右する事態も起こり得るとの懸念がくすぶっていた。

中国の邢海明(けいかいめい)駐韓大使が最近、共に民主党の李在明(イジェミョン)代表を招いた夕食会で、米中対立が深まる中、「中国の負けに賭ければ必ず後悔する」と対米連携を優先させる尹政権の外交を批判したことで、与党内の対中不信に拍車がかかった。

野党側は、与党の投票権制限案について保守層受けを狙った「嫌中政策」だと批判する。

韓国では、中国の強権姿勢への反発などから嫌中感情が急速に高まり、20~30代の約9割が中国に好感を持てないとする世論調査結果もある
。

与党側は、中国が在中韓国人に投票権を認めていない現状を踏まえた、相互主義に基づく投票権の制限だと説明するが、その投票行動が選挙に大きな影響を与えるとされる20~30代の取り込みを期待した対中強硬策だとの見方も出ている。

一方の野党側は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出計画を巡り、日本に融和的な尹政権に対する非難キャンペーンを連日繰り広げている。野党が掲げる「反日」と与党支持層で高まる「嫌中」が来年の総選挙の争点ともなりそうだ。


(中央日報 2023/06/23)

韓国で外国人の地方選挙投票権をめぐる議論が起き、日本の状況にも関心が集まっている。当初、2005年に国会で外国人の投票権を認める公職選挙法が可決された当時、日本国内の在日韓国人の参政権要求を国家的に支援するという意味が込められていたためだ。

結論的に、日本では中央選挙・地方選挙のいずれも外国人の投票権を認めていない。日本国憲法第15条は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定しており、これにより日本国籍を持つ成人にのみ投票権を付与する。したがって、外国人が選挙権を取得するためには、日本に帰化して日本国籍を取得することが必須だ。

在日韓国人の参政権が日本社会のイシューになったのは、他の永住権者とは異なる性格があるためだ。在日本大韓民国民団によると、韓国国籍を持った状態で日本永住権を持つのは現在、約45万人で、このうち30万人は「特別永住権」所持者だ。特別永住権所有者は第2次世界大戦が終わった当時、日本に居住していた韓半島(朝鮮半島)出身者とその子孫で、長くは4~5世代にわたって日本に定住してきた人々だ。

単純移住ではなく定住民で、日本人と同様に納税の義務を果たしているため、彼らには一定水準の参政権を付与すべきだという主張が出続けている。民団は1990年代以降、重点運動として「在日同胞自治体参政権獲得運動」を展開し、訴訟まで行ったが、1995年に日本最高裁で最終的に敗訴した。しかし、当時、最高裁は敗訴判決を下しつつも「外国人永住権者に対する地方選挙選挙権付与は違憲ではなく立法政策上の問題」という意見を出した。

これに伴い、日本最大野党・立憲民主党の一部議員と日本共産党などが1998年「永住外国人に対する地方自治体選挙権法案」を国会に提出した。しかし、自民党保守派と世論の反対に遭い、通過は毎度挫折した。

2018年8月には国連人種差別撤廃委員会が日本政府に在日韓国人が数世代にわたり地方自治体選挙権を持てないのは「差別的状況」と指摘し、参政権付与を勧告した。それにもかかわらず、日本政府は動いていない。民団のチョ・ヨンソ副局長は「今も日本の各行政機関と地方自治体などに在日韓国人の投票権を要求する書簡などを定期的に送っている」とし、「2010年代に入って韓日関係が悪化してからは、関連議論がなかなか進展していない」と述べた。

◆「中国人が押し寄せる」

外国人の政治参加に対する日本社会の拒否感は依然として残っている。2021年には東京都武蔵野市議会が3カ月以上居住した外国人に地方行政に関する住民投票に参加できるようにする条例案を提出したが、本会議で否決された。法的拘束力のない地方自治体所管の住民投票にもかかわらず、当時保守派は「外国人参政権の要求につながる」、「中国人が大挙して武蔵野に押し寄せる」と激しく反対した。

しかし、一部の自治体はすでに外国人の住民投票参加を認めている。武蔵野市によると、2021年基準で日本全国の基礎自治体1741カ所のうち住民投票制を導入したのは78カ所、このうち43自治体が外国人に投票資格を付与している。