(朝日新聞 2023/06/29)
 日本と韓国の両政府は29日、通貨下落などの緊急時にドルなどを融通し合う「通貨スワップ協定」を約8年ぶりに再開することで合意した。日韓関係の悪化で再開に向けた議論は長らく中断されたままだったが、両政府の関係改善が経済面にも波及している。

 鈴木俊一財務相と韓国の秋慶鎬(チュギョンホ)・経済副首相兼企画財政相が財務省内で会談し、100億ドル(1兆4400億円)分の融通枠を再開させることで合意した。金融危機などによって韓国が要請すれば日本の持つ米ドルと韓国のウォンを、日本が要請すれば韓国の持つ米ドルと日本の円を、それぞれ交換する仕組みだ。

 日本も韓国も足もとでは十分な外貨準備があるため、協定再開は金融協力の「象徴」としての意味合いが強い。

 日韓の通貨スワップは、1997年のアジア通貨危機を受けて2001年に運用が始まった。融通枠は一時、最大700億ドルまで拡充したが、12年に李明博(イミョンバク)大統領の竹島上陸などで関係が悪化し、徐々に縮小。最後に残っていた100億ドルの枠も、15年2月に期限を延長せずに終了した。

 16年には再締結に向けて議論を再開することで合意したが、その後、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する「少女像」が設置されたことへの対抗措置として、17年に日本政府が協議中断を発表していた。

 日韓関係は最大の懸案だった徴用工問題について韓国側が今年3月に「解決策」を公表。以降、首脳が互いの国を訪問する「シャトル外交」の再開など改善が急速に進んでいる。

 7月には経済産業省が安全保障上問題がない国として輸出手続きを簡略化する「グループA(ホワイト国)」に韓国を再指定する予定で、経済面での協力強化も進んでいる。(松山尚幹)


(産経新聞 2023/06/29)

日韓両政府が29日、金融危機時に外貨を融通する通貨交換(スワップ)協定の再開に合意した。日韓関係の冷え込みを象徴する課題の一つだっただけに、合意で両国経済は大きく歩み寄ることになる。ただ、通貨スワップ協定が日本経済にもたらすメリットは乏しく、韓国支援という側面が大きいのが実態だ。

通貨スワップは金融危機などでドルやユーロといった外貨が国外に流出するなどした際、事前に取り決めた条件で国家間で通貨を融通する仕組みだ。

日本は米国と中央銀行間で金額上限のない通貨スワップ協定を結んでおり、金融市場が混乱した場合、いくらでもドルを入手することができるため、あえて韓国と交換する必要はない。そのため、対等に見える日韓通貨スワップは、事実上、日本が韓国を支援する仕組みとも言える。(略)