(朝日新聞 2023/07/31)
 9月1日で100年となる関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典の主催者が7月31日、追悼文を送るよう小池百合子知事あてに要請した。小池知事は就任翌年の2017年以降、それまでの都知事が続けていた追悼文の送付をやめている。要請に対し、都の担当者は「結論が出たら(主催者に)伝える」としている。

 式典は1974年から例年、9月1日に都慰霊堂がある横網町公園(墨田区)で開催。震災で「暴動を起こした」というデマを信じた住民らに虐殺された朝鮮人らを追悼している。

 小池知事は2017年以降、「犠牲となったすべての方々に哀悼の意を表しており、個々の行事への送付は控える」として同式典に追悼文を送っていない。今年2月の都議会でも姿勢を変えない考えを述べていた。

 要請した式典実行委員会の宮川泰彦委員長(82)は31日に記者会見し、「個々の追悼文は控えるという説明は理解出来ない。二度手間といっているように映る。歴史的事実を認めたくないという姿勢なのか」と批判した。

 小池知事は虐殺の有無について、これまで「歴史家がひもとくもの」として認識を明言していない。宮川氏は「触れたくない、答えたくないという政治家が使う言葉。小池知事も逃げ回る政治家と同じなのかと思ってしまう」とも話した。

 関東大震災での朝鮮人虐殺を巡っては、昨年、人権施策担当の都職員が、都が委託した外郭団体の人権企画展で朝鮮人虐殺を事実として述べた場面がある映像の上映に難色を示すメールを団体側に送った問題が発覚。その際、知事が追悼文を送っていないことに触れ、上映について「都知事がこうした立場をとっているにもかかわらず、朝鮮人虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念があります」などと伝えていた。都は、メールについて「必要のない表現だった」と釈明している。

 宮川氏は「行政職員が忖度(そんたく)する形で影響が出ている。一般市民も、追悼文が送られない式典というのはそのくらいのものでしかないと思ってしまう」と指摘し、「過去の歴史を見つめて二度と同じ間違いを繰り返さないと語り継いでいくことが大切。100年という年になぜ虐殺が起きたかを考えてほしい」と語った。(土舘聡一)


(毎日新聞 2023/07/31)

 1923年の関東大震災で、虐殺された朝鮮人らを悼む式典を9月1日に開く実行委員会が31日、式典に小池百合子東京都知事が追悼文を送るよう都に要請した。小池知事は初当選した2016年に追悼文を出したが、17年からは送付をやめた。都の担当者は「検討して回答する」と話した。

 式典は、日韓関係にまつわる学習会などを開いてきた「日朝協会都連合会」などが実行委員会を作り、1974年から都立横網町公園(墨田区)で開催、歴代知事は追悼文を送ってきた。小池知事は不送付の理由を「全ての犠牲者に哀悼の意を示しており、個別の追悼文は控える」としてきた。

 都は昨年、現代美術家・飯山由貴さんの朝鮮人虐殺に触れた映像作品を都施設で上映することを不許可にした。都の担当者は「朝鮮人大虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念がある」としている。実行委の宮川泰彦委員長は記者会見でこのことを聞かれると、「(職員は)知事の姿勢をそんたくしたのではないか。(不送付の)職員への影響は大きい」と懸念を述べ、「従前の知事同様に追悼文の送付を心から願う」と話した。

 震災当時、混乱の中で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマを信じた住民や官憲が多数の朝鮮人らを殺害した。【南茂芽育】 

2022年08月31日
2022年10月29日