(聯合ニュース 2025/08/11)
 韓国政府は11日、日本の植民地支配からの解放記念日「光復節」(15日)に合わせ、娘や息子の不正入学に絡む業務妨害罪などで懲役2年を言い渡され服役中の曺国(チョ・グク)元法務部長官ら83万6687人を15日付で特別赦免(恩赦)すると発表した。李在明(イ・ジェミョン)政権発足後、恩赦を与えるのは初めて。

 恩赦の対象者は一般刑事犯が1920人、政治家・公職者が27人、経済人が16人などとなっている。

 不正入学を巡る業務妨害罪などで懲役4年を言い渡された曺氏の妻のチョン・ギョンシム元東洋大教授や、旧日本軍の慰安婦被害者を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」への寄付金を横領した罪などに問われ懲役1年6カ月、執行猶予3年を言い渡された同団体前理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)前国会議員らも恩赦を受ける。

 恩赦には文在寅(ムン・ジェイン)元大統領側近の尹建永(ユン・ゴニョン)議員ら与党陣営の人物が多数含まれた。

 野党陣営からは洪文鐘(ホン・ムンジョン)元議員らが含まれた。

 財界では崔志成(チェ・ジソン)元サムスン電子副会長や張忠基(チャン・チュンギ)元サムスン電子社長、崔信源(チェ・シンウォン)元SKネットワークス会長らが恩赦・復権される。

 鄭成湖(チョン・ソンホ)法務部長官は今回の恩赦について、「国民統合の機会を設け、経済を活性化することに重点を置いた」として、「国民主権政府(李在明政権)発足後初めての恩赦を通じ、社会的な対立が解消し、国民統合が実現することを期待する」と述べた。


(朝鮮日報 2025/08/12)

 李在明(イ・ジェミョン)大統領は11日、曺国(チョ・グク)元韓国法務部(省に相当)長官や尹美香(ユン・ミヒャン)元議員ら与党系の政界関係者などへの大規模恩赦を断行した。歴代大統領による任期中最初の恩赦は主に民生問題での受刑者が大半だったが、李在明大統領は就任から2カ月で多くの政界関係者への恩赦を行った。ただし中には到底納得し難い人物も含まれている。

 曺国元長官夫妻による入試不正は厳しい学歴競争が続く韓国社会では典型的な不公正かつ不義な行為と認識されている。しかも曺国元長官は自らの一連の不正行為に反省や謝罪などは一切せず、その言動は自分が政治犯とでも考えているかのようだ。

 さらにひどいのは尹美香(ユン・ミヒャン)元議員だ。尹美香元議員は日本軍慰安婦被害者女性らへの寄付金を横領した容疑で大法院(最高裁判所に相当)で有罪が確定した。しかも尹美香元議員への恩赦が他でもない、光復節に行われるのは何かの不条理劇場を目の当たりにしているようだ。

 また恩赦対象者リストには意外な人物の名前もあった。収賄などの容疑で懲役2年の実刑判決を受けた殷秀美(ウン・スミ)元城南市長だ。殷秀美元市長は地元暴力団との関係でも大きな問題となった人物だ。李容九(イ・ヨング)元法務部次官は現職だった時にタクシー運転手を暴行し、その証拠を隠滅したとして有罪となった人物だ。他でもない法務部の次官がこんな下劣な犯行をするとはあきれてものが言えない。こんな人物が恩赦となれば法の権威は地に落ちてしまうだろう。

 また解職教師を不当に採用した容疑で有罪が確定したチョ・ヒヨン元ソウル市教育監も恩赦対象者リストに入った。将来を担う若者の教育を担当する責任者が不法行為で有罪となったが、チョ・ヒヨン元教育監は恥じ入るような態度は一切見せず、今回赦免されればさらに堂々と振る舞うだろう。韓国大統領府と法務部はこれらの人物まで赦免した理由については一切説明していない。我関せずで問題を起こし、事態が収まるのを静観するつもりのようだ。

 李在明大統領は今回の恩赦について「国民統合という時代の要求に見合ったものだ」と自画自賛しているが、贈収賄やタクシー運転手暴行、教師の不当採用は国民統合とは何の関係もない。李在明大統領が今回恩赦に踏み切ったのは彼らからの大統領選挙借金請求書を支払うためだろう。曺国元長官をはじめ恩赦対象となった政治家はその多くが文在寅(ムン・ジェイン)元大統領に近い人物であり、尹美香元議員には左翼系市民団体、チョ・ヒヨン元教育監には全教組というバックが控えている。

 野党も今回の恩赦を背後から後押しした。野党・国民の力の宋彦錫(ソン・オンソク)非常対策委員長は収賄・横領・背任などで有罪が確定した野党系の政治家への恩赦を求め、それが聞き入れられた。この意味のないリストを見れば嘆かわしいばかりだ。野党代表ではなく個人的に陳情したと疑わざるを得ない。

 恩赦に対する大統領の権限は法律の執行を無力化する。そのため恩赦は必要最低限にすべきであり、国民の大多数が納得できるものでなければならない。そう考えると今回の恩赦はあまりに不適切で度が過ぎたものだ。