(朝日新聞 2025/10/29)
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に高額献金をした被害者からの返金要求に対応する「補償委員会」が29日、設置された。教団側の要請を受けた外部弁護士ら5人が「教団から独立した立場」で補償の有無や金額を判断するという。

 一方、被害救済のために活動してきた全国統一教会被害対策弁護団は「教団からの独立性や公正性が不明だ」とするコメントを出した。

 委員会の発表によると、教団への献金や物品購入費用の返金を求める人や、その法定相続人から申告を受け付け、通帳や領収書などの証拠や聞き取りをもとに審査する。申し出が事実である可能性が高ければ、時効を理由に返金を拒むことはないという。申請は31日に開設する専用のサイトや郵送で、原則として来年3月末まで受け付けるとしている。

 高額献金をめぐっては、被害を訴える元信者らが申し立てた「集団調停」が東京地裁で進む。弁護団によると、被害者は今年5月までに計197人、請求額は約59億円。このうち42人は今月、教団側が13億円超の解決金を払う合意が成立した。

◇解散命令を避ける狙いも

 教団側は、返金の要求額が教団の受け取った金額を上回るなどと主張していたが、姿勢を転じた形だ。ただ、27日にも30人が約13億5600万円を求めて集団調停を新たに申し立てている。

 委員会の設置に対し、全国統一教会被害対策弁護団は「教団との契約に基づいて設置された組織であり、教団からの独立性や公正性が不明だ。被害者が適正な被害賠償を受けるためには、これまで通り東京地裁で公正な調停の手続きにのっとった審理のもと、賠償の要否や賠償額が判断されるべきだ」としている。被害の相談は弁護団(03・6261・6653)に電話してほしいという。

 教団の勅使河原秀行・教会改革推進本部長は29日、取材に応じ「被害者救済に向き合い、これまでの方針を転換して早期解決を図る」などと述べた。集団調停でまだ合意に至っていない被害者とも、早い解決を目指すと説明した。

 東京地裁は3月の決定で教団に解散を命じており、審理中の東京高裁も解散命令を支持すれば、宗教法人としての教団は解散し、清算手続きが始まる。勅使河原氏は、積極的に返金に対応するのは解散命令を回避したい狙いもあると述べた。(黒田早織 北野隆一 高島曜介)