(日テレNEWS/livedoor 2026/01/26)
「地上の楽園」とうたわれた北朝鮮への帰還事業に参加した脱北者ら4人が過酷な生活を余儀なくされたとして北朝鮮政府を訴えた裁判で、東京地裁は北朝鮮政府にあわせて8800万円の賠償を命じました。

この裁判は1960年以降、在日朝鮮人や日本人も含むその家族らを北朝鮮に渡航させ暮らしを始める「帰還事業」に参加し、その後、日本に逃れた脱北者ら4人が北朝鮮政府にあわせて4億円の損害賠償を求めているものです。4人は医療や教育が無償の「地上の楽園」などとウソの情報により渡航させられ、長期間過酷な生活を強いられたなどと主張しています。


一審の東京地裁は2022年、日本は北朝鮮を国家として承認していないことから、国家に対して裁判権が及ばない「主権免除」の原則は適用されないとした一方で、「北朝鮮内の行為は日本の裁判所に管轄権がない」などとして訴えを退けました。

しかし、二審の東京高裁は翌年、ウソの情報で日本から北朝鮮に渡航させその後、出国を許さなかったことを「1つの継続的な不法行為」と判断。当初は日本国内で権利の侵害が発生しており、「日本の裁判所に管轄権がある」として東京地裁で審理をやり直すよう命じていました。

原告の弁護団によりますと、日本の裁判所が北朝鮮政府に賠償命令を出すのは初めてだということです。


(毎日新聞/YAHOO 2026/01/26)

 在日朝鮮人らを対象にした「帰還事業」で北朝鮮に渡り、その後に脱北した4人(遺族含む)が、現地で劣悪な生活を強いられたとして北朝鮮政府に計4億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審判決で、東京地裁は26日、帰還事業の違法性を認め、北朝鮮に計8800万円の賠償を命じた。

 国交がない北朝鮮には判決文を送達できず、今後は「公示送達」の手続きで裁判所の掲示板に判決文が張り出される。掲示翌日から2週間以内に北朝鮮が控訴しなければ判決が確定する。賠償金が支払われない場合、原告側は不動産や預貯金など原則国内にある北朝鮮の財産を特定して裁判所に差し押さえを求めることができるが、実際に回収できるかは不透明だ。

 訴状によると、原告らは北朝鮮側から「地上の楽園」だと虚偽の勧誘を受け、1960~72年に北朝鮮に渡った。しかし、実際には最低限の食料も得られず、出国も許されなかったという。

 2001~03年に脱北したが、長期間にわたり移動の自由や自己決定権を侵害されたとして18年に提訴。北朝鮮は訴訟で反論する書面を提出しなかった。

 差し戻し前の東京地裁判決(22年3月)は北朝鮮の勧誘行為について、提訴時には不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が過ぎているとして請求を棄却。出国を禁止する留置行為は北朝鮮で起きたことで、日本の裁判所に管轄権はないとして訴えを却下した。

 これに対して東京高裁判決(23年10月)は、勧誘行為と留置行為は一つの継続的不法行為と捉えるべきだと指摘。管轄権は日本の裁判所にあるとし、地裁で改めて審理すべきだとした。【安元久美子】