(ハンギョレ新聞 2026/04/20)
〇1週間ほど情報提供が停止中 
〇韓国統一部長官「核施設の位置」発言の余波

 北朝鮮のウラン濃縮施設が「平安北道亀城市(クソンシ)」にも存在するとの発言を韓国のチョン・ドンヨン統一部長官がした後、米国からの一日あたり50~100件ほどの北朝鮮に関する情報の提供が停止していることが確認された。

 与党の高位情報筋は19日、ハンギョレに「(米国から提供される北朝鮮情報は)一日に50~100枚ほどたまっていたが、現在は情報共有が行われていない。深刻な問題」だとして、「早急にこの問題を解決しなければならない」と語った。米国が北朝鮮関連情報の共有を制限しはじめたのは1週間ほど前だという。

 米国が問題視したチョン長官の発言は、先月6日の国会外交統一委員会で、北朝鮮のウラン濃縮施設の稼働地域として「平安北道亀城市」に初めて言及したもの。チョン長官は「国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が3月2日の理事会でおこなった報告の中に、非常に深刻な報告がある」とし、「現在、寧辺(ヨンビョン)と亀城、降仙(カンソン)にウラン濃縮施設があり、イランの濃縮ウランは(濃縮率が)60%なのに対し、北朝鮮は90%の兵器級ウランを製造していると報告した」と述べた。さらに、「李在明(イ・ジェミョン)大統領は『これをまず停止させることが重要』だと述べた」と言及している。

 米国の北朝鮮情報は衛星、通信の傍受、偵察機などの偵察資産を使って収集したもの。核施設の位置などは最高レベルの機密に分類される。具体的な位置や状況が公開されれば衛星の軌道や傍受対象の通信網などが逆追跡され、北朝鮮に偽装、遮蔽、通信の変更をされる可能性がある。米国は、そうなることによって情報網が無力化され、同盟国同士の信頼が損なわれる可能性があることを懸念しているという。チョン長官の発言後、米国は複数のチャンネルを通して韓国政府に抗議してきたという。

 このことについて統一部のチャン・ユンジョン副報道官は17日のブリーフィングで、「チョン長官は国際研究機関の報告書などの公開情報にもとづいて亀城に言及した」として、「米国側に十分に説明した。米側も理解したと認識している」と釈明した。

 統一部は18日の声明でも、「亀城におけるウラン濃縮の可能性は、すでに『2016年米国科学国際安全保障研究所(ISIS)報告書』の発表以降、最近まで、複数の研究機関や主要メディアが報じている」と述べた。この報告書は、北朝鮮のウラン濃縮施設が寧辺以外にも存在する可能性を指摘しつつ、「初期の遠心分離機の研究開発施設は寧辺の核施設から西に約45キロ離れた方峴(パンヒョン)空軍基地のそばに位置しているとみられる」と述べている。方峴空軍基地は亀城市に近く、これまでにウラン濃縮施設の稼働が公式に確認されたことはない場所。

政府レベルで公式に確認された施設は、現在までのところ平安北道の寧辺と南浦市(ナムポシ)の降仙の2つのみ
。

 政府の関係者は「チョン長官の語った情報は非常に敏感で大きいもの」だとして、「(米国が)チョン長官の説明を受け入れていたなら、情報を制限しないだろう。この問題の解決に向けて外交的に努力している」と語った。ソ・ヨンジ記者


(読売新聞 2026/04/21)

【ソウル=仲川高志】韓国政府で対北朝鮮政策を統括する 鄭東泳(チョンドンヨン)統一相が、機密情報である北朝鮮のウラン濃縮施設の位置を公言し、波紋を広げている。米側は、自国の偵察衛星などで入手し韓国に提供した情報を鄭氏が話したと疑い、北朝鮮情報の韓国への提供を縮小するなど、同盟を揺るがしかねない事態に発展している。

 米側が問題視しているのは、鄭氏が3月6日の韓国国会外交統一委員会で、北朝鮮のウラン濃縮施設の所在地について、既に知られている北西部の 寧辺(ヨンビョン)や 平壌(ピョンヤン)近郊の 降仙(カンソン)に加え、北西部の 亀城(クソン)を挙げた発言だ。韓国政府高官が「第3の施設」について公に言及したのは初めてとみられる。

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 核関連施設の位置情報は、米側が偵察衛星などを使って入手し、韓国に提供する重要情報だ。韓国政府関係者によると、鄭氏の発言に対して米側から抗議を受けたほか、北朝鮮に関する情報の韓国側との共有が縮小されたという。

 鄭氏は20日、自身の発言について、「何度も学界とメディアで取り上げられた公開情報に基づいている」と述べ、米側の提供情報を基に述べたわけではないと反論した。統一省も同趣旨の釈明をしているが、米側の抗議の有無や情報共有縮小を巡っては確認を避けている。保守系野党「国民の力」の 宋彦錫(ソンオンソク)院内代表は20日、「統一相は外交・安全保障上の重大事態を引き起こした。 李在明(イジェミョン)大統領は直ちに更迭すべきだ」と批判した。

◇不信感

 米側の韓国側に対する不信感は、鄭氏の今回の発言だけが原因ではない。北朝鮮問題を巡り、米側が抑止と圧力の維持を重視するのに対し、韓国は対話と関係改善を軸とするアプローチを模索するなど、米韓両国のスタンスの違いが背景にある。

 鄭氏は左派の 盧武鉉(ノムヒョン)政権でも統一相を務めた、李政権内の対北朝鮮融和派の代表格だ。3月の米韓定例合同軍事演習「フリーダム・シールド(自由の盾)」では、北朝鮮を刺激しないよう、期間中に部隊を動かす野外機動訓練を縮小するよう米側に求め、米側を困惑させたとされる。

 統一省が15日に国会に報告した、今後5年間の対北朝鮮政策の指針となる「第5次南北関係発展基本計画」も、朝鮮半島の緊張緩和に向け、協力と対話を模索する内容だ。北朝鮮を巡る政策の足並みをそろえられるかどうかが米側の不信感の解消のカギを握ることになりそうだ。